表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【第4巻10/24発売!】高校時代に傲慢だった女王様との同棲生活は意外と居心地が悪くない  作者: ミソネタ・ドザえもん
蚊帳の外の女王様

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

127/164

傍若無人

 翌朝、いつもの時間に目を覚まして、林の作ってくれた朝食を食べて、俺は家を出た。

 しばらく電車に揺られて、大学に到着した。早朝の大学は、お昼頃騒がしい学食でさえ人入りがあまり多くない。


「ふう」


 そんな学食に快適さを感じながら、俺は椅子に座って予習を始めた。

 しばらくカリカリシャープペンシルを走らせながら、ふと俺は昨晩の林とのやり取りを思い出していた。


 今朝は何も言わなかったが、そういえば寝る前にあいつ、俺に今日学生誰かと話せとか無理難題をふっかけてきていたな。

 俺はため息を吐いた。

 まったく、あいつの女王様みたいな突拍子もない発言には困らされるばかりだな。

 以前も思ったことだが、今、俺は別に友達なんて求めていないし、何なら常日頃からウェイウェイ言う連中と仲良くなんて出来っこない。


 ……ただ、ご褒美、か。

 ぶっちゃけ、ご褒美を頂戴出来ないのは少し惜しくもある。

 実を言うと、最近の俺は少し金欠だ。林を匿ったからそうなっているわけではない。これでも、高校時代からアルバイトに勤しみ、貯金を貯めていたからすぐになんとかなるくらいの懐事情というわけではない。

 ただ、林と同棲するようになってからというもの、帰省の回数がとても多い。

 これまで数ヶ月、一切地元に寄り付かなかった、というのに、この三ヶ月だけで一体、俺は何度林と一緒に地元に帰省をしたことか。

 勿論、それが悪いというわけではないのだが、先月末、月当たりの収支を見て、少し面食らったのは事実だ。


 まあ、金欠気味のあいつの財布からお金を出させるのは忍びないけれど、向こうが言い出したことだし、多少はな。


 ……金欠というのなら、あいつこそ財布、大丈夫なのか?

 あいつ、件のDV男から開放される前は、専業主婦のような扱いをされてパートも出来ていなかったはずだ。


 俺と同棲して三ヶ月とはいえ……そんな目覚ましい貯蓄が出来るはずもない。

 

 何だかたかだか数千円とはいえ、あいつの財布から金を出させるのは申し訳なくなるな。


 ……うん。

 このご褒美は駄目だ。止めよう。

 ご褒美は要らないから、学生と話さなかった。

 そう言ってこの一件は終わらせてしまおう。


 ブー。


 グッドタイミングでスマホが鳴り、俺は画面を開いた。

 通知は林からのメッセージを表示していた。


 ロック画面を開き、メッセージを開いた。

 どうやら画像のようだ。


 俺はギョッとした。

 林の送ってきたメッセージ。

 それは、梱包された何か、と『この前の梱包余ってた』のメッセージ。

 

『余っていたじゃないが?』


 慌てて、俺は林にメッセージを送った。


『通販サイトで調べたら、これ結構高いね』


『売る必要ないのに、なんで調べるんだ?』


『学生の誰かと話せなかったら掃除用具を売る。そういう約束だったよね、山本』


『違うけど?』


 おかしい。

 もしかしてこの一晩の内に、人物関係は一緒の別世界にでも、俺は流れ着いたのだろうか?


『じゃあ追加ね!』


『追加ね、じゃないが』


 林からの返事がない。

 どうやら無視を決め込むつもりらしい。


 ……クソッッッ。

 こんな……。

 こんな横暴、あっていいのか?

 こんな……こんな横暴、酷い。酷いじゃないかっっ!


 そりゃあ、確かに最近、掃除用具増えてきたなあって、あいつの前で呟いたけども……。

 少しは掃除用具整理するかーって言ったけども。


 この辺、使いづらいから売ってもいいかなって言ったけどもっ!


 ……あれ、別に全然問題ない気がしてきた。

 

 スマホが震えた。林からのメッセージだ。どうやら無視を決め込んでいたわけではなく、作業中だったようだ。


『あんた、この辺の掃除用具なら売られてもいいかーなんて思い始めてないでしょうね』


『鋭いな』


『自白すんなし』


 怒りマークのスタンプが届いた後、更に林からメッセージが飛んできた。


『別に、誰かと話すくらい、ちゃちゃっとやっちゃいなよ』


『まあ、それが一番手っ取り早い』


『でしょ?』


『おう』


 ……まあ、掃除用具を売るにしろ、わざわざ林の手を煩わせる必要は一切ない。

 それどころか、そんなことで手を煩わせたら、そのことが引っかかって林に少し遠慮をしてしまうではないか。


 何をするにしても、自分から行動を起こす。

 そうしないと気持ち悪い。

 そういう考え方をするのが、俺という面倒くさい男のはずではないか。


 一瞬でも彼女にそれをさせてもいいかと思ったのは、情けない話だな。

 まあ、それくらい林に気を許している証拠、ということか。

 勿論、こんなことは口が裂けても本人には絶対に言わないが。


 ともあれ、林の言う通りだ。

 こんなしょうもない約束事、さっさと終わらせてしまおう。

 そうだ。

 それが良い。


 実を言うと、策はある。

 さっき思いついた、とびきりの策だ。


『なあ、林よ』


『何?』


『笠原はセーフか?』


『アウト』


 俺の策が潰えた瞬間である。

見てわかる通り、新キャラを出そうとしている。

一月近く更新をサボり、キャラの性格、口調も忘れかけているこの時期に、新キャラを出そうとしている。


この意味わかるか?

俺にはわからん。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 以心伝心すぎて笑う
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ