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【第5巻5/22発売!】高校時代に傲慢だった女王様との同棲生活は意外と居心地が悪くない  作者: ミソネタ・ドザえもん
心配する女王様

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林恵と変化がわからない部屋

「そろそろリビングに行こうか」


 しばらくお話をした末、志穂ちゃんに言われた。

 妹だからわかるのだろうが、多分そろそろ山本の掃除が終わるのだろう。

 志穂ちゃんの後に続き、あたしはリビングに向かった。


「おう、丁度終わったところだ」


「そっか。綺麗になったね」


 リビングに到着すると、山本はこちらに気づきドヤ顔を見せた。

 むふーっとする顔を見ながら、あたしはリビング中を見回した。このリビングに足を踏み入れるのは、この家に到着してすぐから二度目だ。


 ……まだ二度目しか来たことのない部屋だけど、思ってしまう。


 どこが綺麗になったか、わからない。


 満足げな山本の顔には既視感を感じる。

 あれは、東京の部屋でも掃除後、あいつが時折見せる恍惚とした顔だ。


 だけど、その恍惚な顔を見ながらあたしは思っていた。

 いや、どこが変わったかわかんねえよ、と。


 そういう時に限って、山本はあたしを見るのだ。褒めて褒めて、と。

 その様子はさながら、数センチ髪を切り友達と会う女の子。些細な変化すら見逃して欲しくない、エゴの塊であるそんな人と重なるのだ。


「志穂ちゃん、どこが綺麗になったかわかる?」


 こういう時の山本は多分褒めておいた方がいい。

 そう思って、あたしは隣の志穂ちゃんにそれを尋ねた。今、あたしは完全な戦力外。


 ここは、志穂ちゃんを頼らざるを得ない。


「ううん。全然」


「……え」


「いいのいいの。お兄ちゃんはその内自己完結するから。むしろ、あんまり気にしない方がいいよ。どうせ後々になって、あそこの掃除が足りなかったなあ、とか言い出すから。下手に褒めると反感買うよ?」


「なにそれめんどくさ」


 山本には聞こえない声で、あたし達は呆れ合う。

 家族から山本の話を聞くと、余計に山本という人間の生態に呆れ返るばかりだ。


 それにしても志穂ちゃん、山本との付き合い方が上手だな。

 この細かく神経質な男の妹を十数年やっていれば、自ずとこうなるとでも言うのだろうか。


「お兄ちゃん、一度お風呂に入ってきたら? 埃っぽいよ?」


「え? ああ、そうするか」


 山本はようやくマスクを外し、それをゴミ箱に捨てながら歩き出した。

 向かう先は、どうやらお風呂のようだ。


 ……あれだけ実家に帰るのを嫌がった割に、随分と我が物顔で行動しているな。

 あたしは思った。

 一応、あたしがここに来たのは、あいつが実家に帰りたくないと駄々をこねたからだ。しかし、今の様子を見ていると、なんだかんだあいつは平常で行動を出来ているようだし、取り越し苦労だったかもしれない。


「なんか、心配して損したかも」


 あたしは呟いた。


「え、何が?」


 そして、それを志穂ちゃんに聞き返された。

 しまった。隣に志穂ちゃんがいるのも忘れて声に出してしまった。


「……あいつ、実家に帰るの嫌がっていたから。それであたし、一応付いてきたんだ」


 しかし、誤魔化す必要もないと判断して、あたしは事のあらましを志穂ちゃんに教えた。

 さっきまで散々志穂ちゃんと話して、少しだけ警戒心が薄まっていたのかもしれない。


「あー……そっか」


 志穂ちゃんは、少し寂しそうな顔をした。


「メグちゃん。あたしとお兄ちゃん、血が繋がってないんだ」


 そうして志穂ちゃんは、唐突にカミングアウトをするのだった。


「へー……えっ」


 何の気なしに返事をした後、重すぎる話に変な声が出た。


 血が、繋がってない?

 そう言えば二人は、年の差がそれなりにある兄妹だ。


「あ、ごめん。正確には半分は一緒」


「半分……」


「あたしとお兄ちゃん、お父さんが違うんだ」


 志穂ちゃんの顔には、きっと山本が実家に戻りたくないと思っていたのは、それが理由だと書かれていた。

取って付けたような血縁関係!

後付じゃないよ! 嘘だよ!


評価、ブクマ、感想よろしくお願いします!!!

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― 新着の感想 ―
それが年齢差の理由かぁ。
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