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なんでもするって言ったよね?  作者: 天一神 桜霞
第二章 紅に散る花影
18/24

⑤ 看板娘のおもてなし

 川沿いを離れてしばらく歩くと、土道が石畳に変わり、町の外壁が見えてきた。

 木と石を組み合わせた素朴な造りだが、門前にはそれなりに人の往来がある。

 荷馬車、行商人、旅人――誰もが門番の前で列を作り、名前や目的を告げている。


 その場の流れに合わせて、俺とランダも列に加わった。

 順番が来ると、門番のしけた男が面倒くさそうに顔を上げる。

「名前と用件を」

「ジャック。宿を取るだけだ」

「ジャック…? で、そっちは?」

「私はランダ、ジャック様の従者です」

 その呼び方に門番がわずかに眉を動かし、俺たちへじろじろと失礼な視線を送ってくる。

「ジャックといえば、手配犯の切り裂きジャックってひでえ殺人鬼がいてだな…」

「知っている。だが、そいつは単独で動いてるって噂じゃなかったか?」

 こいつをどう説明する――と言葉を続けるまでも無く、ランダを顎で指した。

「確かに、その噂は耳に入ってる。だが、そのみすぼらしい身なりを含めても……」

「もしそうだとしても、普通に考えてこんなところで馬鹿正直に自らの名を明かすと思うか?」

「ああ…それもそうだ」

 この男が俺に対する悪口を口走ったことで、隣に立つランダはピクリ動いて衝動に駆られそうだったので、何もさせないうちに相手を黙らせた。

「それに…、こんな良い女を連れてるわけねぇもんなあ…」

「うっ…、気持ち悪い……」

 舌なめずりをしてランダを視姦する門番に対し、顔をしかめるのも無理はない。

「なあ、お嬢さん。こんなしょうもない男なんてほっといて、俺のところに来いよ。もっと良い思いをさせてやるぜ…ひーひっひ」

「丁重にお断りします」

 もしかして、こいつはナンパ目的で門番なんて仕事をやっているのだろうか。

 だとしたら、なかなか面白い手を使っているものだが、今回ばかりは相手が悪い。

 というより、その露骨なまでの気持ち悪い態度を少しは隠す努力をした方が良さそうだ。

「悪いが、本人もこう言ってることだ。さっさと諦めて通してもらおうか」

「へいへい。ったく、こんな男の何が良いんだが…。ほらよ、さっさと行きな」

 投げ捨てるように寄越した通行証を受け取り、すぐにその場を後にしようとする。

 余程嫌な思いをしたのか、ランダは俺との距離を詰めてきて、まるで恋人のような距離感を見せつけるように腕を絡めてきた。

「早く行きましょう、ジャック様」

「これで少しは分かったか? ブヒ族の連中と違って、人間の価値観からすればお前は特別良い女なんだよ」

「そうかもしれませんが…、私はジャック様にそう思っていただければ、他の男なんてどうでも良いです」

「ふっ…、まあそれもそうだ」


 早足で門をくぐった瞬間、喧騒と匂いが押し寄せてくる。

 焼き立てのパンの香り、干物の匂い、油煙、そしてこれは…女の匂い。

 それらが雑多に混ざり合って、町特有の活気を作っていた。

「まずは宿でも探すか」

 そう言いかけた時、路地裏から甲高い悲鳴が響いた。

 若い女の声だ。

 逃げ惑う足音と、何かを倒す音が続く。

 普通の旅人なら関わらずに通り過ぎようとするだろう。

 だが、俺は足を止めた。

 面白そうな匂いがしたからだ。

「ランダ、行くぞ」

「はい、ジャック様」

 路地に入ると、二人組の男が一人の若い女を壁際に押し付けていた。

 服は乱れてなかなか立派に育った果実を覗かせており、目は怯えで見開かれている。

 男たちは酔っているのか、動きが雑だ。

「嬢ちゃん、いいじゃねぇか。ちょっと遊ぼうぜ」

 俺は足音を隠そうともせず、ゆっくりと歩み寄った。

「よう、楽しそうな宴をやってるな」

 振り向いた男たちが一瞬きょとんとし、次の瞬間にはニヤついた。

「何だ? お前もこの女が目当てか?」

「さあ、お目当てはどっちだろうな…」

 改めて女を見てみると、ランダには遠く及ばないもののただの町娘にしてはそこそこ良い部類だろう。

「おい、女」

「ヒィッ!?」

「助けて欲しいか?」

「あんっ? おい、兄ちゃん…何ほざいて――」

「俺はこの女に聞いてるんだ」

 すぐに出てきた手を受け止めると、そのままいなして男を地に這いつくばらせる。

「た、助けてっ! お願い! なんでもするから!」

「ほぉ、殊勝な心意気だ。…良いだろう」

 欲しかった言葉が聞けると、足元に寝ていた男の頭を踏みつける。

「ぐふぅっ!?」

「お前ぇ…ちょっと調子に乗り過ぎだぜっ!」

 お仲間が酷い扱いを受けたことで神経を逆撫でられたもう一人の男は、助けを求める女を放り出して飛び込んでくる。

 その手には短いが鋭い刃物が握られており、その得物で俺を仕留めようという殺意まで伝わってくる。

「――だが、弱い」

「なんっ、だと!? ぐっ、あ”あっ!?」

 この程度の相手に刀を抜く必要などあるはずもなく、相手の勢いを利用して投げ飛ばせば宙に舞った男はそのまま地面に叩きつけられてお仲間とお揃いの格好になる。

「相手が悪かったな…」

 男と一緒に宙から舞って来たナイフを空中で手に入れると、地に伏したままの男二人の頭にそれぞれ「バ」「カ」と文字を書いて嘲笑った。

「お見事です、ジャック様」

「…? 称賛されるほどのことか?」

 俺の所業に目を伏せるどころか、目を輝かせてみていたランダはうっとりと心酔していた。

 とはいえ、この程度の相手では正直喜べるような話ではない。

「あ、あの…ありがとうございます」

 事なきを得た女は少し怯えた様子で近づいてくると、そう礼を述べた。

 だが、それを突き返すように女を見下した。

「言葉だけの礼など不要だ。そんなものでは腹も満たされない」

「も、もちろんです。それで、もしよろしければ…私の実家は宿屋を営んでおりますので、今晩泊まるところがまだお決まりになっていないようでしたら、是非私の家に…」

「ほう、ちょうど宿を探しているところだったんだ。渡りに船とはこのことだな。もちろん、恩人から金を取ることは無いんだろう?」

「はいっ! 当然です、一泊二食のお食事つきでどうでしょう。そちらもお付きの方のご一緒に」

「一泊…? まあこの町に長居をするつもりも無かったから、それでもいいか」

「良かったですね、ジャック様」

「あぁ、本当にな。くくっ…」

「…? では、そのように手配しておきますね」

「あぁ、そうしてくれ。忘れるなよ、一泊二食付きだってな」

「え、えぇ、もちろん。宿の場所はこの先の路地を右に曲がったところの突き当たりです。ドウムインという宿屋ですので」

「分かった。俺たちはもう少し町を回ってみようと思う。だから、日が暮れた頃にでも改めて向かうとしよう」

「はい、お待ちしております。それでは、私もまだ仕事の途中でして…服も着替えないといけませんので、これで…」

「あぁ、楽しみにしているぞ」

「では、失礼します」

 はだけてしまった胸元を抑えて足早に掛けていく女の尻を眺めながら、後の楽しみに想像を巡らせた。

「でも、良かったんですかジャック様? 珍しいですよね、普通に帰してしまうだなんて」

「そうか? 普通に帰してはしまったが、まだ取り立てはこれからだ。くくくっ…タダで一泊して、女の二食付きとは朝までしっぽり楽しんで良いって言ってるようなものだ」

「…ジャック様にはそのような解釈で話が進んでいたのですね。通りであっさり逃がしてしまったはずです」

「あぁ、そうさ。それも自分から助けたお礼にその身を差し出すとは、なかなか分かっている女だ」

「ジャック様もお戯れが過ぎますよ。女が必要であれば、私がいつでもお相手いたしますのに…」

「それは分かっているさ。だが、お前だけでは満たされない欲求というものがあるのも事実。今晩だけはあの女に譲ってやれ」

「ジャック様がそういうのでしたら、仕方ありませんね」

 少し不満な様子を残しつつも一応納得はした彼女は、再び俺の後に続いて歩き出した。


 ここ、サンドウジという町では様々な物が行き交う。所謂交易都市という奴だ。

 なので、数日前に訪ねたゴージのいる村とは比べ物にならないほど人が通りを歩いている。

 とはいえ、パラミが営む酒場「フェキュリス」のあるコクシムの街はもっと大きいので、所詮は中規模の城壁都市だ。

 ここには周辺農村からの穀物・家畜、鉱山からの鉱石はもちろん、裏ではもっとヤバいものや奴隷の人身売買も行われているという話を聞いたことがある。

 他人から聞いた話など眉唾物に過ぎないので、実際はどうかなんてものは確かめてみなければ分からない。

 それはともかく、町を歩きながらランダと店を見て回っていれば、あっという間に日が暮れてしまうほど物に溢れているのは確かなようだ。

「ドウムイン…、あれか」

 宿屋の娘に言われた場所へ向かえば、それらしい建物が目に入った。

 石造りの二階建てで外壁はやや古びているが、玄関周りや花壇を見れば丁寧に手入れされているのは分かる。

 ドウムインと書かれた看板には半月を模した銀の飾りがあり、今のように暗くなってくるとランプの光で淡く輝いて来客を温かく迎え入れている。

 造り自体は立派な玄関扉を押し開けると、ほの暗い灯りと温かな空気が俺たちを出迎えた。

 石造りの壁と木の梁が、ほどよく年季を感じさせるがボロいというほどではない。

 客はまばらで、数組の商人らしき連中が食事を取りながら談笑している。

 なるほど。確かになかなか良い宿だ。

 宿の雰囲気も悪くないし、漂う料理の香りも美味しそうだと思わされる。

「いらっしゃいませ」

 何より良いのは看板娘であろう彼女がなかなか美味そうな女だからだ。

 明るく出迎えた声の主を見ると、濃い栗色の髪を揺らしながら、先程は見られなかった笑顔で近づいてくる。

 やはりというか当然というか、着替えてしまったのでさっきほどは胸元が覗けないのが残念無念。

「お待ちしておりました。ジャックさんとお連れ様、お望みの通りお部屋とお食事をご用意しております」

「あぁ、どうも」

「そうそう、ご挨拶が遅れてすみません。改めまして、私リヴィアと申します。さっきは危ない所を助けて頂いてありがとうございました」

「いやいや、その見返りは今からきっちりもらうから…感謝されるようなほどでも無いって」

「あらあら、ご謙遜を」

 宿の入口で挨拶を交わしていると、さらに二人の男女がやってきてリヴィアと名乗った娘の後ろに立ち止まった。

「娘の窮地を救ってくれてどうもありがとう」

「いえ、大したことでは」

「そうかい? そう言ってもらえると助かるよ。この町は特に夜になると物騒でね。気を付けるように言い聞かせてはいるんだが、今回はまだ日も明るいうちに絡まれたみたいで…」

「はははっ、魅力的なお嬢さんを持つと気苦労が絶えませんね」

「いやぁ、もうそうなんだよ。分かってくれるかい?」

「ええ、まあなんとなく。俺も一人の男なんで」

「あなた、もうその辺で良いにしましょう。こんなところで長々と立ち話させてるわけにもいかないでしょう」

「おおっと、そうだったな。では、ジャックくん…とそのお連れ様も、今夜はごゆるりとお過ごしください。当店自慢の料理も是非お楽しみあれ」

「はい、それではお言葉に甘えて」

「うんうん、ではね…。あとはリヴィアに任せるとしよう。お部屋までご案内して差し上げなさい」

「はぁい。分かってますって、パパ。さっ、荷物もお運びしますね」

「あぁ、いや…それは平気だ。か弱い女に重たいものを持たせると、視線が痛いからな」

「あらま…、じゃあお願いしますね。お部屋は2階になります、どうぞこちらへ」

 背を向けた娘と退散した両親の目から逃れると、プルプルと小刻みに震えているランダへ耳打ちした。

「さっきから何を堪えているんだ?」

「い、いえ…勘違いしているあの方たちが面白くて…ぷすっ」

「ふっ、確かにな。だが、笑っているのがバレると台無しになるだろ。もう少し辛抱していろ」

「はい…、かしこまりました」

 俺の前を歩き、ひらひらと舞うスカートは男を誘っているようにしか見えない。

 今にも後ろから襲い掛かってやりたい衝動に駆られるが、ランダに言った通りもう少しの辛抱なのである。

 二人してそれぞれ笑いと性的衝動を抑えながら、やがて彼女に案内された二階の突き当たりにある部屋へ入る。

 木製の大きなベッドと清潔なシーツ、窓からはサンドウジの夜景が覗く。

「どうでしょう? お部屋の方は気に入っていただけましたか?」

「あぁ、なかなかだな。普通に泊まったら、相応の出費をしなければならなかっただろう」

 景色を眺めるふりをして窓際までリヴィアを誘い出すと、その間にしれっとドアに近づいていたランダが部屋に鍵をかけた。

「あの…、どうして鍵を?」

 カチャリという聞きなれた音を聞いて不審に思ったリヴィアは、振り向いてそう尋ねた。

「なぁに、今に分かる。それより、夕食の用意はどうなっている?」

「あ、はい。夕食は一階でお召し上がりいただけます。今夜は狩り立てのアグレッシブルのローストと、香草入りのキノコスープをご用意しております」

「くくっ、そうじゃないだろ? 俺が聞いているのは――」

 まるで油断していた彼女をベッドに押し倒すと、その服に手を掛ける。

「俺の今晩のメシである、お前のことさ」

「――っ!!」

 突然の出来事に悲鳴を上げようとしたところで、その唇を奪ってしまえばそれも叶わずかき消されてしまう。

 だが、声も出せない状況の中で暴れる女の衣服を脱がそうとするのはいいが、これはなかなか骨の折れる作業だ。

 このまま破いてでも肌を晒させるというのも一興だが、こういう場合は至って単純な処置を施すことで事は簡単になる。

 服に掛けていた手を彼女の首元に動かすと、そのまま力を入れて圧迫する。

「んぐっ、んんぅ!?」

「お前がなんでもするって言ったんだろう? だったら、俺はその言葉通りの報酬を貰うまでだ。…俺は何か間違ったことを言っているか? なぁ、ランダ」

「いいえ、何も。全てジャック様の仰る通りです」

「そうだろうそうだろう。お前もそう思わないか、リヴィアぁ?」

「ぞんな…酷ぃ…」

「酷い…? 俺は確かにあの状況から助けてやったんだ。なら、今度はお前が約束を守る番だと思うんだが…?」

「そうです、その通りでございます」

 一人ではなかなか無かった合いの手がランダから飛んできて、より気分を盛り上げてくれる。

「う…そ…っ、げふっ、げふげふっ!」

「だが、まあ仕方ない。もしどうしても嫌だというなら、もう夜が更けてくる今からでもこの町のどこか…そうだが、女に飢えた男どものいる場所にでもお前を捨ててきても良いんだぞ?」

「……この、外道っ!」

「そうか。人を外道呼ばわりするようなら、今の提案の方が良さそうだな。では、早速――」

「ま、待って! …分かった、分かったから。私があなたの相手をする。だから、これ以上酷いことは…」

「あぁ、分かっているとも。お前がちゃぁんと俺の期待に応えてくれるなら、な」

「…分かった。言う通りにします」

 大人しくなった彼女に触れようと改めて手を伸ばすと、皮膚が触れ合った瞬間ビクッと身体を震わせた。

 けれども、抵抗とは僅かなそればかりなもので、服に手を掛けて肌を晒してももはやなすがままになっていた。

「ふぅん…、大きさはまずまずと言ったところか」

 露わになった膨らみに何の躊躇いも無く手を伸ばして揉みしだき始めても、彼女の瞳は空虚を見つめるばかりで俺を映していない。

「さて、今日の夕食はキノコスープとか言っていたな。どれ、店員のお前にも俺からキノコスープを味わわせてやろう。精々、しっかり味を噛み締めて一滴残らず飲み干すが良い。…くくくっ」

「あぁん…、本当なら私が頂けるはずだったのにぃ…」

 文字通り指を咥えて待っているランダを尻目に、大人しくなった女の口へ自らを強引に突き入れるのだった。



「それにしても、遅いわねぇ…。積もる話でもあるのかしら?」

 恩人である来客を部屋に送っていったっきり、戻ってこない一行を不審に思っていたのリヴィアの母だった。

「ふむぅ、今日の残りはあと彼の分だけなんだがなあ…」

 リヴィアの父も頭を傾げ、どうしたものかと首をひねっている。

「どれ、仕方ない。少し様子を見てくるとするか」

「そうですね。あまりお客人の部屋を訪ねるのは気が引けますけど…」

「その間に他の片付けでもしといてくれ」

「はいはい、分かってますよ」

 リヴィアの父は残りの雑事を妻に任せて、歩きなれた階段を上っていく。

 すると、リヴィアたちが向かった突き当たりの部屋に向かうに従って、僅かに声が聞こえてきた。

「ねぇ、まだっ、なのぉ? いつまで続けるわけぇ?」

「俺が満足するまでだ。分かったら、少しは俺を高ぶらせてみろ」

 くぐもった声でも自分の娘の声くらいは分かるのだろう。

 確かにまだ彼女たちが部屋にいて何やら話しているのが聞こえると、ドアをノックしようとした。

 しかし、その瞬間聞いたことの無い娘の嬌声が聞こえた気がして、不意に手を止めてしまった。

「まさか…」

 そう、まさかと思ってドアをこっそり開けてしまいたい衝動に駆られた彼はドアをノックするのではなく、開こうとした。

 しかし、中から鍵がかかっていて開く様子はない。

 ならばとドアの隙間から覗き見ようとする妙な根性を発揮するが、これもまた失敗に終わる。

 けれども、ドアに耳を近づけたことでよりハッキリと中の声が聞こえるようになった。

「あっ、あっ、あんっ、あんっ、気持ちイイっ、もっと突いてぇっ! リヴィアの中、めちゃくちゃにしてぇっ!」

「な…なんという事だ」

 あんなに可愛かった我が子はいつの間にか立派に成長して、一人の女性として覚醒していたのだ。

 しかも、彼には娘を上回るほどの美少女がいたというのに、それを差し置いて彼の相手をしている様子。

 嬉しいやら悔しいやら様々な感情が巡る中、父にもただ一人の男としての衝動がやってくる。

 無意識に股間へ伸びてしまった手に気づくことも無く、父親はドア越しに娘の成長を喜び、下半身から涙を流し続けたのだった。


 

「あぁっ、もうっ、最悪…っ、なんでまた朝っぱらからこんなことを…んもぅっ!」

 サンドウジの町が暗黒に包まれても散々弄ばれた少女は、夜が明けても彼に股を開いて身体を明け渡していた。

「悪態吐いてる暇があったら、せいぜい俺を愉しませるために腰を振ってその無駄に大きくなった胸で誘うんだな」

「分かってるわよ。だからこうして、あっ、ちょっとぉ…っ」

 自ら男の上に跨って腰を振る姿は、昨夜の抱き始めた頃の姿とは大違いだ。

 その身を鷲掴みにして女の嬌声を引き出してやれば、さらに快感は引き上げられる。

「まあしかし、あのまま終わってしまわなくて良かった。もし、あんなふざけた態度で朝まで耐え忍べば済むと思っていたのなら、野盗連中の前にでも裸のまま放り投げるところだった」

「えぇ? またそんなこと考えてたの…? 危なかったぁ…」

 そう。リヴィアと名乗った彼女はお楽しみの早々に心を閉ざしてしまい、随分と興ざめしてしまったものだ。

 あの状態でもある程度は楽しめるが、それもすぐに飽きてしまうので今言った通り始末してしまおうかと考えていた。

 しかし、彼女もそれではいけないと悟ったのか、あるいは本能的な危機感を察知したのか。

 さっさと満足させて終わらせようという考えに至ったようで、そう切り替えてからずっとこの調子である。

 途中、飽きて寝てしまったが、その間も彼女が逃げることは無かった。

 寝落ちしてしまったと気づいた時には、もう既に彼女の姿は無いものだと思っていたので意外だったのを覚えている。

 ランダが見張っていたのか、あるいはここで逃げても改めて報復に遭うと考えたのかは定かではないが、これ幸いと寝ている彼女を犯し始めたのはついさっきの出来事だ。

 ちなみに、ランダはあきれ果てて疲れたのか、こんな状況でも隣でスヤスヤと寝入っている。

「ほらっ、早く満足して出しなさいよっ! あっ、もうっ、おっぱい触り過ぎなのよぉ…」

 機能出会った時から考えると彼女の口が急に悪くなったようにも感じられる物言いだったが、恩人や客に対して接するのであればもちろんこのような話し方をしないだろう。

 だが、今の彼女にとって俺はただの迷惑な客か。あるいはそれ以上に迷惑な相手なのだろう。

 であれば、これだけ口の悪い話し方でも無理はない。

 しかし、それでも俺を放そうとせず積極的に腰を振って満足させようとしているのだから、実に滑稽で愉快な光景である。

「さて、そろそろいいにするか」

「ん? やっと満足したの? だったら、さっさと――あぁんっ!」

 彼女を押し倒して体位を入れ替えると、その身体を突き上げるように奥深くまで俺という存在を響かせる。

「んぁっ、ふかっイぃっ! これっ、こぇっ、らめぇっ!」

 何がダメなものなのか。

 先程よりも明らかに声を上げて快感に喘ぎ、それに合わせて身体も収縮を繰り返して男を放そうとしない。

「あ”あっ! らめっ、こわれりゅぅっ! ま、まん…壊れるぅ!」

「良かったな。穴の一つも使い物にならなくなったら、襲われることも減るだろうさ。…まあ、結婚も遠のくだろうがな」

「だめぇ、ダメダメダメぇっ! あ”あイグぅっ! イグイグっ! イ”っぢゃうぅぅぅっっ!!」

 実際のところ、ここの穴がダメになったとしても彼女が襲われなくなることは無いだろう。

 女には他にも穴が2つある上に、こいつの胸は男を挟めるほどの大きさもある。

 ヤりようなどいくらでもあるのだ。

「さあ、しっかり受け止めろよ。俺という存在をお前のナカにもう一度刻み付けてやる」

 彼女の両手を引いて逃がす術を失くすと、そのままありったけのチカラで彼女の身体を突き上げた。

「もう、ダメっぇっ!! イっくぅぅううぅうぅぅぅうぅぅっうぅっっ!!」

「うっ…!!」

 好きでもない男にイかされた女はこれでもかと締め付けを強くし、その結果俺もほとんど同時に快感の波を解き放つことになった。

「はぁ…はぁ……」

「んぁ…ぁぁっ……あっ、ぁぁ……」

 ようやく少しは満足のいく快感が得られたことで、再びベッドへ身体を投げ出した。

 ボフッと身体を受け止めてくれるベッドも、昨夜からよく鳴いていたものだ。

「あぁ…腹減ったな…」

「むにゅむにゅ…ジャック様ぁ……」

 激しくベッドが揺られたことでランダも起きてしまったのかと思えば、ただの寝言だったらしい。

 そういえば、夕食を摂る為に1階へ降りることも無かったが、彼女の両親からは不審に思われただろうか。

「まあ、どうでもいいか」

 寝ている間も俺を慕う女の頭を優しく撫でながら、僅かばかりの気掛かりも移ろいでしまう。

 そんなことより――と思ってしまうのが、男なのだ。

「リヴィアとか言ったか? 終わったんなら、最後はしっかりお掃除したらどうだ?」

「嘘…まだやらせる気…?」

「俺は別に構わんさ。野盗共にマワされる地獄へ行きたいのなら、な」

「…分かったわよ。どっちにしても、私からしたら悪夢みたいなもんだけどね」

 文句を言いながら丁寧に男をしゃぶる姿も、また愉快なものだ。

「くくっ、悪夢で済めば良かったのになぁ…。お前も運の無い女だ」

「あんたの所為なんだけどね?」

「あぁ? そうだったか? こういうのは自己責任って言うと思うんだが?」

「もうなんでもいいわよ。どうせ結果は変わらないわ」

「ふんっ、なんでも…か。そう軽々と口にするから災いを招くんだ」

「最初から災いが無ければ、寄ってくることも無いでしょうに…んぷぅっ!?」

 ああ言えばこう言う面倒な女の口を塞ぐため、頭を押さえつけてより深く咥えさせた。

「一晩経っても減らず口は変わらないか。…まあいい、これで今回の礼はしっかりともらった。あぁ、後で朝食くらいは貰って行くがな」

「ぷはっ…。はぁ、やっと解放される…」

「そうだな。とりあえず今回のところは、な」

「え…? どういうこと?」

「またこの町に来ることがあったら立ち寄ってやろうと思ってな。その時はまたたっぷりサービスしてもらうとしよう」

「嫌よ、もう二度と来ないで」

「おいおい、客がまた来ようと思っているのになんて言い草だ。まあ、それくらい威勢がいい方が良い」

「…はぁ、なんだってこんな男に好かれちゃうかな…私」

「モテる女は大変そうだな」

「あんたの所為でね…」

 彼女の言い分は一見間違ってないようにも聞こえるが、それは男を惹き付けてしまう自分自身にも責任があるという事を理解できていないからだ。

 こうして俺がやらなくても、いつかは誰かが同じようにして彼女の身体を蝕んでいったことだろう。


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