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戦争の理由

この国に来た当初は不安しかなかった。


特に黒尽くめの人の反応が最悪だったからだ。


そもそもマセナ国に来た理由はこの国が隣国と戦闘状態に入り、傭兵を募集していると、自国の酒場の酔っ払いが世間話で話しいるのを聞いたからだ。

そこからは行商人等にも裏を取り事実である事が分かった。


俺としては早くマールに会うためにも功績を欲していたので、馬車を乗り継ぎ、やっとの思いでこの国に来た。


傭兵を募兵している施設に何とか到着し、登録を済ませ、作戦内容の確認と顔合わせをした日、ストライテン将軍に初めて会った。

その場は集まった傭兵達が互いに名乗りを上げていた時だ。それ俺以外の傭兵が名乗る度に「成る程。」「そうか。」と反応していた将軍が。


「どうも、ケント・タイラーです。前歴としては、軍役を経験しています。得意な武器は銃です。」


「…、次。」


…俺だけに実に素っ気なく、彼女は目線も合わせなかった。


ちなみに、ストライテン将軍は、兜を脱ぐと、褐色でドレッドヘアー、切れ長の眼をしたスタイル抜群の女性です。ただの美人ですね。


無視されたのが気になって思わず、会議後に立派な白い髭をたくわえたベテランっぽい副官に尋ねた。


「すいません。将軍の機嫌が悪いように見受けられますが、何か不手際などありましたか?名乗りが簡潔過ぎましたか?」


「いや、ベラベラとしゃべる人間を将軍は好みませんが、すまない。ここだけの話、本心では傭兵を雇うのが好かんのでしょうな。」


「はあ、そうですか…、ただ、特に私は嫌われている気がするのですが。」


「まあ、その…。ちょっと耳を拝借。」


「はあ。」


手招きに応じ、耳をかす。


「実は若造で銃を使う輩を特に好かんのだ。まあ、君だな。」


「…。」


俺、どストライクだね、逆の意味で。

それにしても、副官さんはなんておしゃべりなのでしょうか…。

その後、この国と他国との戦争理由も聞いてしまった…。


それよりもこのままだとマズイという危機感だけはひしひしと感じた。


その後、境界域の哨戒等地味な作戦で軍の補助的な任務を行ってきたが、峠での奇襲作戦という派手な舞台にも参加が許され、作戦会議ので最終確認時にアピールの意味も込めて発言をした。


「~という布陣でいく。何か質問はないか。」


「…。」


「ないか…では、うん?」


手を上げ、将軍にアピールする。


「少し、よろしいでしょうか。」


「なんだ。発言を許可する。」


「はっ、奇襲作戦に関しては相手の冷静さを奪う素晴らしい内容ですが、敵の指揮官が優秀な場合、こちら側の被害が大きくなる可能があります。相手の足止めと攪乱の策を講じればさらに作戦の確実性が増すと考えます。」


「一理あるが、具体的な案はあるか?」


「はい!峠の下り側に障害物の設置し前進に対する威圧感を敵に与え、指揮官の注意を前方に向けさせる為に弓や銃での牽制攻撃はなどは如何でしょうか?」


「成る程、悪くはない。障害物に関しては対応しよう。牽制に関しては、確かお前は銃使いだったな。余程の自信があるようだ。出来るものならやれ、ただし…。」


と言われ、先ほどの戦闘に至る訳である。

それにしても普通一人でやらせますかね?


意図は読めてはいた。少し生意気に思われたのか、俺に恥を掻かせるつもりだったのであろう。


この時代、銃の運用方法としては横一列に隊列を組み、複数で発砲するのが一般的だ。その際、溝のないマスケット銃を使用することが多い。

銃は威力があるが指向性は悪く精密な射撃が出来ない代物であるという認識があるのだろ。

合わせて、従来の前装式を想定している為、弾込めにも時間が掛かり連射性に乏しい。

一人の銃使いがいたとて、戦況は変化しないと判断されたのだろう。


そして、恥をかかせて発言の信憑性を落とし、今後の会議中での発言を出来なくさせる。そういう理由での作戦採用なのだろう。


まあ、なんとか上手くいったけど…。


それにしても、疲れた。

主に穴掘りの文句をぶつぶつ言いながら、あてがわれた宿のベッドに身体を沈める。


…メシが想定より悪くないのは当初意外だったなぁとか考えながら、目を瞑る。


ふと、ベテランの副官の話が過ぎった。


今回の戦争の発端は、表向き敵国の侵略なっているが、本当は指揮に関わる位にしょうもない理由だった。


そもそもこんな質素過ぎる国を狙う理由がないことは地理的観点からも明らかだ。


本当の戦争理由は先月行われた両国の親睦の席でこの国の外務大臣が酔っぱらい過ぎてつい、相手国の悪口を言ったらしい。


「子作りだけが上手な平凡な国だ。」と。


確かに、現在の国王は子供が十三人もいるけども、目立った産業もないけども、素直に言ってはいけないことである。


すぐさま、この国の代表も謝罪の使者を出したが、聞き入れられず開戦となった。


マセナ国自体は、農業では食べていけず、有益な鉱物も採れない為、血の輸出こと、傭兵を産業としている。当然、兵も精強と評判である。


血は意外に儲かるらしい…。


この辺の事情を理解していれば普通、誰も傭兵の国など攻めないだろう。


だが、現在、他国で大国同士が戦争しており、マセナ国の傭兵も大量に派遣している状態である。その為、自国には僅かな常備軍しかいない状態であった。


他国からは攻め時ではある。

土地をかっさらえれば、自国には不要な土地であっても、交渉によっては大金を得る可能性は十分にある。


そのような状況の為、マセナ国は傭兵の国というプライドを捨てて、なくなく他の国の傭兵に頼らざるを得ない状況となった。

すでに派遣している兵は自国に多大な被害が出ない限り、そう簡単には戻せない。

派遣先の国との信用に関わるからだ。


将軍が不機嫌なのもこの辺の事情が関係しているのだろうと思われる。


外交とは弱点を守るためにも行うべきなのだが…。


などと小難しいことを考え、まどろみかけた頬を何か湿っていてざらざらしているもので削られている。


薄目を開けると、黒猫と至近距離で目が合う。そして、


「ヤッホー!!」


黒猫越しに妙に陽気な悪魔がいた。

面白いと思って頂けたら、嬉しいです。

しばらく作品をアップ出来そうです。


道 バターを宜しくお願いします。


他にも作品をアップしています。

作者ページを見て頂くと、なんと!?すぐに見つかります(笑

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