第7話 ■いつもの日常会話□
──その頃、王城では──
俺は自分の部屋に入ってから、荷物を置き、部屋の中を物色した。
この部屋にあるものは全部好きにしていいらしいから、まずはこの制服を着替えようかな。
バカでかいクローゼットを開けると、中にはたくさん服が入っていた。
俺は暑がりだから、なるべく半袖の服がいい。
とりあえず、この動きやすそうな半袖半ズボンの格好でいいか。色もそんな派手じゃないし、なにより軽い。
「しっかしこの部屋、ほんと広いな。
アイツらの部屋も同じぐらいかな。
制服はとりあえずクローゼットに入れるか。」
自分の制服をハンガーに掛け終わったとき、扉をドンドンと叩く音と、
「燎ー!晩飯の用意出来たってー!」
と言う陽瀬の声が聞こえてきた。
「おう。今行く。」
俺はそう答え、扉の近くにあるスイッチを押して、部屋の電気を消し、部屋を出た。
「なー。さっきから呼び掛けてんのに光凛が返事しないからさ、お前ちょっと中入って見て来て。」
「は?なんで俺が?」
「いやー、俺女子の部屋入るの抵抗あるからさ、お願い!」
「……まぁ、仕方ないか。じゃあ見てくるから中覗くなよ。」
俺は光凛に変なことはしないが、あのクソ煽り野郎の陽瀬に誤解されるのだけは嫌だ。
「お、中覗くなって事は、もしかして…?」
俺、早速陽瀬に誤解されてしまった。
コイツニヤニヤしやがって腹立つなぁ…。
「起こすだけだから…マジで殺すぞ……!」
まぁ俺がこう言うのもいつものことなんで、さすがに陽瀬も怯まないな。
てかコイツ、いつまでニヤニヤしてんだよ。
はぁ……。とりあえず中入ろ。
俺は光凛の部屋の扉に手をかける。
「すぐ起こしてこいよー。俺結構腹減ってんだからなー。」
「へいへい。」
扉を開け、中に入ると……
ベッドの上で光凛が眠っていた。
……光凛って、普段すごく可愛いけど、寝顔も結構可愛いな。
とりあえず、陽瀬を待たせているし、とっとと起こして行くか。
「おーい!起きろー!」
…呼びかけても返事がない。
もう少し近づいてみるか。
俺は、光凛の顔に自分の顔を少し近づけ、もう一度起こした。
「いい加減起きろよー!」
(……なぜだ、なぜ起きない……!)
疲れすぎて爆睡してんのか?
少し衝撃与えてみるか。
光凛のほっぺをペチペチたたいたり、少しつねったりしてみた。すると……
「ん…?あれ?私、いつの間に寝て……
あ!燎が起こしてくれたの?」
「あぁ、そうだよ。お前がいつまで経っても返事がないから起こしに来たんだよ。」
「あ、そうなんだ。なんかごめんね?
それから、起こしてくれてありがとう。このまま明日の朝まで寝るところだった。」
「まぁ別にいいけど。あ、それと、夕飯出来たって陽瀬が言ってるぞ。」
「え、嘘!?危なかったぁ。私お腹ペコペコなのよ。
あ、そうだ。私まだ着替えてない…。
今から着替えるから、外に出てて!」
「お、おう。じゃあ着替え終わったら出てこいよ。」
「はーい。」
扉を開けて部屋を出ると、相変わらず陽瀬がニヤニヤした顔でそこにいた。
やっぱ腹立つコイツ。
「あれ、光凛は?」
「あぁ、今から着替えるってさ。」
「ふーん。…で、どうだった?」
「どうもこうもねえよ。ただ起こしただけだ。」
「えー。つまんないの。」
ヤバい、殴りたいマジで。
その時、扉が開いた。
意外と着替えるの早かったなぁ。
光凛はシンプルな白のワンピースを着て出てきた。
「お待たせ。さ、夜ご飯食べに行きましょ!
もうほんとにお腹すいたー。」
制服姿もいいけど、やっぱり私服も可愛い…。
女子一人に男子二人だと、争いが起きたりなんかはしないですかね?
三角関係とか起こりそうな……。