第6話 ■チュートリアル その2□~後編~
「………。すみません。少し驚きすぎてしまって。」
少し時間をおいて、メフィスは落ち着きをとりもどした。
「メフィス、この黒猫ってどんな魔物なの?」
「その魔物は『影猫』という種族の魔物です。」
「『影猫』……?」
「はい、魔物の中でも最強と言われる種族です。
魔物の中でも言葉を話すことができる種族はステータスが高いと言われています。…それだけ知能が発達しているということです。
ちなみに私のループスは『魔狼』という種族ですが、ご覧の通り言葉を話すことができません。
使い魔の強さは主人の実力に比例するといいます。なので、『影猫』を召喚することができたクロム様はやはり最強だということです!
それに、血を多く捧げるほどより強い魔物が召喚されます。……まぁ、多すぎても駄目なんですけどね。
ちなみに私のループスは、言葉を話せない魔物の中では一番強いですよ。クロム様には劣りますが、足は引っ張りませんのでご安心を!」
と、メフィスが興奮しながら言った。
「そ、そんなに強い魔物召喚しちゃったの………?今、私多分この子より弱いのに使い魔になんて……。」
目の前の魔物の強さを聞いて不安が募った。
「心配しなくても取って食ったりなんかしないよ。私はご主人様に仕えるために召喚されたんだし。
それに、こんなに強い魔王の使い魔ができるなんて、そう経験できることでもないしね。」
「強い…?私が…?」
「あんた、まだ自分が弱いとでも思ってるの?私らの間でもそんなステータスが高いのは産まれなかったよ。」
「あ、あはは……。」
そんなにすごいのかな、私。
私がまだ半信半疑でいると、『影猫』が
「とりあえず私のステータス見せてあげる。」
と、言った。
「〈ステータス・オープン〉」
『影猫』がそう唱えると、今度はいろんな色が盛りだくさんのカラフルな半透明のパネルが出てきた。
私やメフィスは一色だけだったのに、こういうこともあるんだなぁ。
カラフルってなんか羨ましい……。よくわかんないけど。
「ほら、ご主人様。」
『影猫』は、そう言って自分のステータスパネルを私に見せてくれた。
──────────────────────
レベル:2369
体力:23400 魔力:65300
攻撃力:15300 防御力:27600
物理攻撃力:5400 物理防御力:13800
特殊攻撃力:9900 特殊防御力:13800
知力:4800 命中率:9500
素早さ:3700 運:5000
職業:魔王の使い魔
スキル:"光"、"闇"以外の属性の魔法全て
──────────────────────
………よし、一旦落ち着こう。
RPGゲームやってる人全員が羨むようなこんなバカ高いステータスなんてあるわけないっ!
とりあえず、深呼吸して、目を瞑って……。
さ、もう一回ちゃんと見よう。
…もう一度見ても、やはりさっきと同じ景色だった。
もうこれ、受け入れるしかないのかなー。
メフィスより高いなんて………。
てか、もうすでに職業に『魔王の使い魔』って書いてあるね。召喚された時になったんだろう。
他のステータスも高いけど、何より一番気になるのは、スキルよね。
これ絶対、ステータスパネル側が全てのスキルを表示するのがめんどくさいから、こんな表記にしてあるんだろうなぁ。
それにしても、"光"と"闇"以外の全てかぁ。
まぁそうだよね。
"光"は勇者の適正だし、"闇"は魔王の適正だもん。いくら強いって言っても、全適正を兼ね備えてたら世界征服できちゃうよ……。
私と一緒にステータスパネルを眺めていたメフィスが私に教えてくれた。
「『影猫』は、成長する過程で"光"と"闇"以外の全ての適正を身につけることができる種族です。
さらに、普段は猫の姿をしていますが、大体産まれてから2年ほどで人間と同じような姿に変身することができるのです。」
へぇ。なるほど。
「てことは、あなたも人間の姿になることができるの?」
もしかしたらと思って、目の前にいる『影猫』に聞いてみる。
「えぇ、そうよ。私、今は産まれてから14年目なの。だから、人型に変身することなんて簡単なことよ。
今から人型に変身するから、よく見てなさい。」
そう言って、『影猫』は目を閉じた。
すると、『影猫』の周りに、黒い光が集まってきた。
私が(きれいだなぁ……。)と、眺めていたその時、ボンッと音がして、『影猫』の周りに煙が出た。
やがて煙が晴れ、出てきたのは───。
ステータス設定してから思いました。
なんで私はこんなにバカ高いステータスにしてしまったんだろう。
物語的にも面白いかもしれませんけど、最初からチート級が何人も……。
私もチート級のステータスほしい!