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第6話 ■チュートリアル その2□~前編~

「まだまだ教えたりないことがたくさんあるのですが、まずはその……服を着替えましょう。魔王専用の部屋がありますので、案内しますね。」


 自分のお城に自分専用の部屋があるって、なんかお姫様気分だなぁ。


 メフィスを先頭にループスと私が後を続く。


 魔王の間を出ると、目の前にはとても広い広間があった。この広さなら、いっぱい人呼んでダンスパーティーとか出来そう。



 ……ん?何あれ?



 広間の壁際に不気味な石像がたくさん並んでいる。今にも動き出しそうで怖い。


「クロム様の"闇"があれば、ここの石像を自在に操ることができますよ。もちろん、城の外から操作することもできます。」

「え、これ全部一度に?」

「はい。先代の魔王様は全て一度に操ることができていました。

 先代以上のお力をお持ちのクロム様ならこれくらい容易いと思われます。」


 やだプレッシャーかけてきたよこの人。

 これで期待させといてできなかったら、失望されそう………。がんばろ………。


 メフィスは広間の真ん中にある大きい魔法陣の上へのって言った。


「この魔法陣の上に乗ってください。これで別の次元に用意した城まで移動します。」

「別の次元って?」

「いつ敵に攻め込まれてもいいように、プライベート用の部屋は別の次元に避難させているんですよ。」



 確かにそれは安全かも。それならゆっくり休めるね。



 そして、私とループスが魔法陣の上に乗ったことを確認すると、メフィスは

「〈テレポート・プライベートキャッスル〉」

と、唱えた。


 その途端魔法陣が光り、私たちは別次元の魔王城へと瞬間移動した。



 ………あまり周りの景色が変わっていないように思えるから、瞬間移動した実感がない。



 よく見たら、あの不気味な石像が甲冑に変わっている。もしかして、これも動かせたりして………。



 さっき魔王の間の扉があったところを見ると、何一つ変わっていなかった。


 メフィスはその扉の前へ行き、

「着きました。ここです。ここが魔王専用の部屋、つまりクロム様専用の部屋です。」

と言った。


「ちなみに、私の部屋はあそこです。何か用があれば、あそこまで来てください。」

そう言ってメフィスは、私の部屋と広間を挟んで反対側にある、ちょっと小さめの扉を指した。


「側近にも専用の部屋ってあるんだね。」

「はい。代々あそこは側近用の部屋となっております。」



 城に仕える人用の部屋がある城ってあまり聞かないような………。



「…っと、部屋に行かれる前に、クロム様の使い魔を召喚しませんか?」

「使い魔って、メフィスで言うところのループスみたいなもの?」

「そうです。」


 まぁ、いつまでもメフィスとループスに頼ってばかりでもダメだよね。


「うん、やってみる。」

「承知いたしました。今からこの床に使い魔召喚用の魔法陣を描くので、そこにクロム様の血を一滴でいいので落としてください。」


 なんかよくある展開だなー。

 血なんて出せるかな…………あ、確か筆箱の中にカッターナイフが入っていたような……。


 自分の鞄に入れてあるかわいいアニメキャラの筆箱からカッターナイフを探し出した。


(あった、これだ。)



 そうしている間に、メフィスは慣れた手付きで魔法陣を書き終える。


「では、クロム様。血を。」


 文面だけ見ると私がメフィスに血を捧げるみたいになってる…。


 そう思いながら私は右手に持っているカッターナイフで左手の指を思いっきり切った。




(思ったよりも痛い…。)




 魔法陣の上に自分の血を垂らす。

 メフィスは一滴でいいって言ったけど、思ったより傷が深かったのか、何滴も落としてしまった。


「………!大丈夫ですか、クロム様!?」


 血をダラダラ垂らしている私の左手の指を見てメフィスが慌てて駆け寄ってくる。





 ───カッ!!!───



 突然、使い魔召喚用の魔法陣が真っ黒に光りだした。






 真っ黒に輝いた魔法陣から出てきたのは一匹の黒猫だった。

 ………それも、左右で目の色が違うタイプの…。



 右目は空のように青く、左目はレモンみたいに黄色だ。

 体は吸い込まれそうなくらい深く黒い色をしている。


 それに額には、トルコの国旗…みたいな逆向きの三日月と小さな星がある。



「……ん、あんたが私のご主人様?」

 私が目の前に現れた黒猫を凝視していると、その黒猫は聞いてきた。


「うん。そうだよ。私が召喚したの。

 えっと…あなたの名前は?」


「私に名前はないよ。ご主人様が付けて?」


 名前かぁ……何にしようかなぁ。


 そんな感じで悩んでいると、


「ク…クロム…様……」

と、隣から聞こえてきた。

 何があったのかと隣を見ると、メフィスがかなり驚いた様子でそこにいた。


「え、あの、どうしたの?」

「ク、クロム様。その魔物は……。」

「もしかして…私、何か召喚したらまずいやつ召喚しちゃった感じ?」

「いえ、そういうわけではないのです…。」


 かなり動揺しているメフィスは、少し深呼吸をした。

 私の筆箱の中にあるカッターナイフは結構錆びていて切れ味が悪いので、血を何滴も垂らせないんです。


 でも、クロムのカッターナイフは切れ味が良いみたいです。


 カッターナイフの切れ味が悪いと紙を切るときに上手く切れないので、そろそろ買い替えたいなーって思ってます。

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