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第3話 ■それぞれの進む道□ ~勇者編~

前回まで黒夢視点だったけど、

今回は光凛視点になります!

 ─その頃、王城では─


「クソッ!なんてことだ…!まさか、勇者と一緒に魔王まで召喚してしまうとは…!」

と、国王が血走った目で、怒りに任せて嘆いていた。


「あの、そろそろその『魔王』っていうのを教えてもらっても……?」


 黒夢が禍々しいオーラを放っていたあの渦のようなものの中に消えていくのを見届けて、私は聞いた。


「あ、あぁ。

 …この世界では、"闇"の適正を持つ者には『魔王』の称号が与えられる。

 だが、"光"の称号を持つ者には『勇者』の称号が与えられるのだ。君のようにな。」


 そうなんだ…。

 だから、さっきあんなに焦っていたんだ。


「本当にすまない。

 まさか、近々現れる魔王が異世界者とは…。

 私も、もっと噂をちゃんと確認すべきだった。」


「いえ、それは大丈夫ですよ…?」


 だって、あの黒夢だよ?仮に魔王になったとしても、別に害はないと思うし。



「王様、僕達はあの黒夢が、あなたの考えるような魔王にはならないと思うんです。」


 私が考えていたことを、代わりに陽瀬が国王に言ってくれた。


「……そうか。あの者は『クロム』という名前なのだな。

 だが、万が一もある。君達には明日から訓練に入ってもらう。


 と、その前に…

 〈ステータス・オープン〉と唱えてみよ。」


 国王がそう言うと、私達3人は同時に



「「「〈ステータス・オープン〉」」」

と、唱えた。


 すると、半透明の黄色の半透明のパネルのようなものが私の目の前に表れた。


 陽瀬と燎の方を見ると、2人の目の前にもそれぞれ青と赤の半透明のパネルがあった。


「それは、『ステータスパネル』というものだ。

 それを、私に見せてくれ。」


 私たち3人は、それぞれステータスパネルを国王に見せた。



「ふむふむ……。

 勇者殿の名前は『ホシヅキ・ヒカリ』というのか。まさに勇者にピッタリな名前だな。」


「ありがとうございます…。」


 なんか、個人情報を見られるのっていい感じしないなぁ。


「お前、俺のより能力値高いな。

 さすが、勇者様だな。」


 隣から、燎が覗いてきた。

 私も燎のパネルを覗き込む。


 私の能力値は、

──────────────────────

 レベル:1

 体力:1500  魔力:1000

 攻撃力:500  防御力:300

 物理攻撃力:250  物理防御力:150

 特殊攻撃力:250  特殊防御力:150

 知力:600  命中率:300

 素早さ:400  運:450

 称号:勇者


 スキル:なし

──────────────────────

となっている。


 私、ゲームとかしたことないからよくわかんないんだけど、これっていい方なのかな?


 そして、燎の能力値は、

──────────────────────

 レベル:1

 体力:1000  魔力:500

 攻撃力:400  防御力:500

 物理攻撃力:300  物理防御力:350

 特殊攻撃力:100  特殊防御力:150

 知力:650  命中率:500

 素早さ:600  運:200

 称号:炎の守護者


 スキル:なし

──────────────────────

と書いてある。


 いや、勇者である私より能力値高いところあるじゃない……。


 でもこうやって見ていると、元の世界にいた時の力の大きさとかに関係しているっぽいね。


 実際、燎は私よりも走るのが速いし、勉強もできるから。


 まぁ、燎よりもはるかに速いのが、逆隣にいる陽瀬なんだけどね。


 そう思って、陽瀬のステータスも見てみる。

──────────────────────

 レベル:1

 体力:2000  魔力:750

 攻撃力:500  防御力:600

 物理攻撃力:400  物理防御力:450

 特殊攻撃力:100  特殊防御力:150

 知力:300  命中率:450

 素早さ:800  運:300

 称号:水の守護者


 スキル:なし

──────────────────────

 やっぱり、素早さは陽瀬がいちばん高い。

 体力も陸上部なだけあってすごい高いなぁ。


「なるほど…。

 水の守護者は『ハヤミ・ヒナセ』、炎の守護者は『コウエンジ・リョウ』というのだな。」

 この世界では、ステータスパネルに書いてある名前はカタカナ表記になっている。



「…うむ。やはり、魔王が誕生してしまったのは良くなかったが、結果的に、能力値の高い人間を召喚できて良かった。」

と、一通り私達のステータスを見終わった国王が言った。


「ちなみに、ステータスパネルを閉じるときは、右下にある『閉じる』というところを押せば良いぞ。」


 見てみると、ほんとにあった。『閉じる』が。

 これはワンタップで閉じるから便利?なのかな?


 ポチッと『閉じる』を押して、私たちはステータスパネルを閉じる。





 その時、後ろから、

「うぅ………。

 あれ、俺何してたんだっけ…。」

 と、倒れていた兵士達が次々と起き上がった。


 どこにも怪我は見当たらない。

 よかった。気絶させられていただけなのね。


「おぉ。生きておったか。

 ちょうどいい。この者たちを、それぞれ部屋まで案内して差し上げなさい。

 君たちは、今日は自分の部屋でゆっくり休むといい。」


 なんか、兵士の使い方が荒いような…。

 まぁでも、今日はゆっくり休めるんだし、これからのことについて3人で話し合おう。


 私はそう決めて、

「では、勇者様、ついてきてください。」

と言う兵士の後を追った。





 部屋に向かう途中、

「なあ、黒夢はどうなったんだろうな?

 アイツがいないと俺、燎のリア充姿見れないじゃないか。」

と、陽瀬が私にこっそり言ってきた。


「もう!

 ここまで来て黒夢と燎をくっつける気?今そう言う時じゃないの。もっと緊張感持たなきゃ。

 それに、黒夢は絶対生きてる。」


「ま、それなら元の世界に帰ってからでも遅くないか。

 ちゃんと帰って、あの二人をくっつけような!」



 コイツ、緊張感とか全く感じないタイプだ絶対。



「さっきからお前ら、何こそこそ話してんだ?」

と、私達がコソコソ喋っているのを見て、燎が聞いてきた。


「いや?別に何も?」

と、ニヤニヤしながら陽瀬が答えた。

完全に煽ってるなこれ。


「なんだよ。教えろよー。」

そう言って、二人は軽くじゃれあった。




 そうしているうちに、

「さぁ、着きました。ここが勇者様のお部屋です。そして、その両隣が守護者様のお部屋です。」

と兵士が教えてくれた。


 よく見ると、部屋の入り口には、赤、黄、青の紋章?みたいなものがそれぞれある。


 たぶんこれ、それぞれさっき水晶玉が光ったときの色なんだろうな。


 二人もそのことを察したらしく、

「じゃあ、またね。」

「おう。」

「じゃあなー。」

と、左から燎、私、陽瀬の順に部屋に入っていった。




 ここの部屋は、元の世界の私の部屋よりも広い。もしかしたら2倍近くあるかも。


 とりあえず、大きいベッドの近くに荷物を置く。


 ごろんとベッドに寝転がってみると、とてもふかふかで、寝心地が良かった。


「黒夢、絶対に私が行くまで死なないでね…。」


 そう、祈るように呟いたとき、だんだんと意識が遠のいていった。



 このベッド……寝心地良すぎ……………。

 今回、3人の名前を漢字付きで出せなかったんで、ここに書いときます。


《隼海 陽瀬》

 これで『はやみ ひなせ』と読みます。


《紅炎寺 燎》

 これで『こうえんじ りょう』と読みます。


《星月 光凛》

 これで『ほしづき ひかり』です。

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