第2話 ■それぞれの適性□
「ん…ここどこ?」
魔法陣の物凄い光に飲み込まれ、目を開けると、そこは宮殿のような場所だった。
「え、何ここ!?」
隣を見ると、光凛が驚いた様子で辺りを見回していた。
うん、そりゃあ驚くよね。
あ、そうだ。陽瀬と燎は…?
そう思って後ろを振り返ると、2人も驚いた様子だった。
「うわ、何だよここ。え、城?」
「…みたいだな。俺ら、さっきの魔法陣によってここに飛ばされたんだろ。」
そう呟いていた時、
「その通り!君たちは私がここに召喚したのだよ。」
と、目の前にある玉座に座った、いかにも私が国王です的な雰囲気を出している青年が言った。
「あなた、誰ですか?」
少し警戒しながら光凛はその青年に聞いた。
「私はこのシルヴィ王国の国王、『カトリス』だ。近頃魔王が現れると言う噂を聞いてな。
いつ魔王が現れてもいいように、これから勇者となる君たちを召喚したのだよ。」
あ、国王だったのね。
…ん?いつ魔王が現れるかわからないの?
じゃあ魔王が現れるまでずっとここにいないといけないの?
うわぁ……めんど…。
そんなことを考えていたら後ろから、
「ふざけんな!いつ魔王は現れんだよ!そんなことも分からないのに俺らを召喚したってのか!?早く元の世界に帰せよ!」
と、燎が叫んだ。
それには共感する。
すると国王が、
「まぁまぁ、そう言わずに。とりあえず君たちの魔法の適性を知っておきたい。
おい、あれを持ってこい!」
と近くにいた魔法使いらしき人に声をかける。
その人が持ってきたのは直径15cm程の水晶玉だった。
「今から君たちには魔法の適性を測ってもらう。やり方は簡単だ。この水晶玉に手をかざすだけでいい。誰でもいいからとりあえず測ってみてくれ。」
そう言われて、まず光凛が水晶玉に手をかざした。
すると、水晶玉が目を開けられないほどに輝いた。
「おぉぉ…。これは、"光"か。君は、光の適性があるようだ。この世界で"光"の適性を持つ者は勇者のみ。
よって、君は今からこの国の勇者となるのだ!」
「は、はぁ……。わかりました。」
国王、嬉しそうだなぁ。
……って、光凛が勇者!?
まぁ、当然のことか。
光凛は成績優秀で真面目な優等生。それに加えて見た目も性格も凄く可愛い。だから、先生にも友達にも、皆に好かれている。
そんな光凛だから、勇者になれたんだろうなぁ。
次に測ったのは陽瀬だった。
陽瀬が水晶玉に手をかざすと、今度は青色に輝いた。
すごく綺麗…。
「君は"水"の適性があるようだね。なら勇者の護衛として、魔王を倒す旅に出てもらおう。」
「わかりました。ありがとうございます。」
陽瀬は陸上部に所属していて、多分学年でも1番足が速い。それに真面目だけど話してみると意外と面白かったりするから、男女構わず友達は多い。
その次に測ったのはさっき国王に文句を言っていた燎だ。
燎が水晶玉に手をかざすと、熱そうなぐらい赤く光った。
「ほぉ。君は"炎"の適性があるようだ。では君も、勇者の護衛として魔王を倒す旅に出てもらう。」
「……チッ……。はい、喜んで。」
明らかに嫌そうだね。舌打ち聞こえたし。
燎はバスケ部所属なだけあって、背も高い。バスケが上手いのはもちろん、それに加えてIQも高い。具体的な数値は忘れたけど。
それに私の片思いしている人でもある。まぁ、私なんかが燎と釣り合うわけないんだけどね。
「お前も早くやれよ。」
「うん。」
燎に言われ、私も水晶玉に手をかざす。すると、水晶玉がどんどん黒く変色していった。
そして、水晶玉はパリーンっと音を立て、割れた。
……あれ?どうなってんの、これ?割れちゃったよ…?
大丈夫かな、これ………。
私が混乱していると、国王が、
「な、なんだと…。"闇"……!マズイ!」
と、呟いた。
「え、何がマズイんですか?」
と、陽瀬が国王に聞いた。
国王は、
「今話している暇はない!兵士共!早くこの者を処刑せよ!」
……ん?今、処刑って言った?これ、ヤバいんじゃぁ……?
私はその場から動く暇もなく、兵士に囲まれた。兵士たちは私に剣の先を向けてくる。
「待ってください!何故黒夢を処刑するんですか!?」
私の後ろで見ていた光凛が声を上げる。
「君たちには後で話す。とりあえず、今はこの者を始末するのが優先だ!」
と、国王が言う。
え、なんで私が?
「お前たち、今すぐその者を殺せ!」
ヤバいよどうしよう。私魔法の使い方とかまだ知らないからこの場から逃げられないよ。
あぁ…私、このままここで死ぬのかな…。
兵士が私に向かって剣を振り下ろしてくるのが見える。
どうせなら、燎にちゃんと気持ちを伝えてからが良かったなぁ…。
光凛がこっちに向かって来ようとしてるけど、他の兵士に取り押さえられているのが見える。
私が何をしたって言うのよ……。
なんで私が死ななきゃなんないの…?
「ぐはぁっ…!」
全てを諦めていたその時、周りにいた兵士がいきなり倒れた。
え?何が起こったの?
目の前には、フードー深く被った男がいた。
男は私に向かって跪き、
「お待ちしておりました、我が魔王。私は代々魔王様に仕える『メフィス』と申します。」
と、言い放った。
ん?魔王?
突然のことに、何が何だかわからなくなった。
国王はとても驚いた様子で
「魔王の側近だと……!?」
と呟いていた。
え、今なんて……?魔王の側近…?なんでそんな人物がここに?
てかさっき我が魔王って言ってたような…。
後ろを振り返ると、やっぱり3人とも驚いていた。たしかに、この状況で驚かない方が不思議だ。
「魔王様、ここは危険です。説明は後でしますので、今は私についてきてください。」
そう言って、メフィスは禍々しい感じの渦みたいなのを出した。ここにいて殺されるぐらいなら、この人について行ってみようかな。
「さぁ、行きましょう。」
そう言ってメフィスは渦の中に消えていった。
「待て!貴様!」
と、国王が慌てた様子で言う。
「は?私を殺そうとした人の言うことなんか聞くわけないでしょ?」
私はそう国王に言い放ち、後ろを振り返る。
「光凛、燎、陽瀬、ごめんね。私、ここにいたら殺されるから、行くね。……じゃあ、また。」
そう言って渦に入ろうとした時、
「本当に行っちゃうの?」
と光凛が聞いてきた。
「うん。…光凛、元の世界に帰る時は一緒に帰ろうね。」
私はそう答えると、覚悟を決め、渦の中に入っていった。
最後に国王の顔を見たけど、物凄い形相だったな。
これから私、どうなるんだろう。
前回と比べて話が長くなってしまいました。こんなに本格的に物語を書くのは初めてなんで、直したらいい所とかあれば教えていただけるとありがたいです。




