第9話 ■君の名前は…□
─同じ頃、魔王城にて─
煙が晴れ、中から出てきたのは、私と身長が同じくらいの女の子だった。
髪は藍色で腰まで伸びており、目の高さほどの前髪は左に流している。
髪型は私と同じだけど、私の方が色は黒い。
…よく見ると、額のところに猫型のときと同じ模様があるように見える…。
それに、頭には猫耳、腰あたりには猫のしっぽが………。もふもふしたい……。
「どう、ご主人様?これが私の人型での姿よ。
可愛いでしょ?」
「うん…。すごく可愛い…。
でも、その耳としっぽは…?」
「あぁ、これ?
私たち『影猫』は人型になるとき、人間との見分けがつくようにって、この耳としっぽを出すことを義務付けられているの。」
そこまで言ったところで、メフィスが口を開いた。
「それなら私たち『魔族』も、人間と見分けがつくようにと、この尾を出すことを義務付けられていますよ。」
メフィスはそう言うと、ローブの中に隠した細い尾を見せてくれた。
なんか、細すぎてちょっとした衝撃で折れそうな感じがする。……大丈夫だと信じよう。
初めて知ったけど、メフィスって『魔族』だったんだね。
思えばメフィスは出会ってからずっとフード付きのローブを着てたから、メフィスの素の姿とか顔とか見てないような……。
というか、暑くないのかな?
「ところでご主人様、そろそろ私に名前を付けて?」
「あ、そうだった!
考えるからちょっと待って!」
「はーい。楽しみにしてるね〜!」
よし!初めての名付け頑張ろう!
…『影猫』か……。
そういえば、額のところに星と月の模様があったんだよね。
星と月…。光凛を思い出すなぁ。
まぁ、光凛のところには陽瀬と燎がいるから安心だよね……。
って、そんなことより名前を決めないと!
そういえば、学校で配られた英語の教材の中に、「ルナ」って言う名前の登場人物がいたなぁ。「ルナ」って月のことだし、『影猫』にも月の模様があるし…。
「よし、決めた!」
「なになに!?」
「今からあなたの名前は、『ルナ』だよ。」
「『ルナ』…。いい名前だね。
ありがとう。
じゃあ、次はご主人様の名前を教えて。」
「私の名前は『クロム』。
よろしくね、ルナ。」
「よろしく、クロム。」
こうして、私とルナの使い魔契約は結ばれた。
これからの生活が楽しくなりそう!
『ルナ』ってなんだかキレイな名前に聞こえますね。
クロムが無事ルナと使い魔契約を結ぶことができて良かったです。




