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【六】嬉しさと悲しさ

『私またやらかしました』



そう私はいわゆる「見える」体質。

私の母方の家系が昔から妖や霊といったものが見えた。

母の感も強いのはこれも関係しているからなのだろうか。



家では見えるのが日常茶飯事で特に私は


“生きている”人なのかまたは

“亡くなっている”人なのか

の区別をつけるのが昔から苦手だった。



生きている人のように振る舞う霊もいる。

強い力を持つ妖も人にばけられる。



それ故に他人には理解し難い行動や言動が多く小さい頃は気味悪がられていた。

なので区別出来ないので人と絡むことを避けていた。



なのに。

彼氏に振られてこんなにも大事なことが頭から抜けていた。完全にやってしまった。



狐の子も、今日助けてくれたのが彼方だったから良かったものの見えない人であればこの子を助けてはあげられなかった。




「で、舞梨ちゃんは見えるか?」



彼方は止まっていた私の顔を覗きみながら膝の上にいる狐の子を撫でながら再度聞いてきた。



「はい。昔から見えてました。」



苦笑いして2人の顔を見るとおじ様は


「今回だけではなく昔からか~すごいね!」

そっかそっかと満足気な顔をして私に微笑んでいた。



彼方は何か考えているのか顎に手をやり真剣な表情をしていた。



おじ様と彼方が目を合わせているな。

何を言うのかとまっていれば、



「「仲間だねぇ~!」」



「ねぇ~!!」



ねぇ~!じゃない!

ふたりが首を傾げながら言うもんだからつられてしまった。



「見えるといいこともあるけどとその殆どは大変な事だよね。今まで辛いことも多かったでしょ」


そんな優しい言葉をかけて貰えるとは思わず少し目が潤んだ。本当にそうだった。もう別れてしまったが彼にも変な人だと思われたくない一心で努力してきた事もあった。それは彼だけではなく学校の友人とも。




そんな事で私の過去の話を2人は親身に聞いてくれた。

あれからどれくらい時間が経っただろう。

おじ様の面白い話も聞いたりして楽しく過ごしていた。




「あ。」


彼方はステンドガラスに目をやり数秒止まった後時計を見た。



「舞梨ちゃん外真っ暗だけど門限大丈夫か??」




「え?あ!もうこんな時間!?」



時計の針はもう8時になろとしていた所だった。




「もうすぐで8時だね。

盛り上がってしまうとなかなか時間の流れが早く感じるなー。」



本当にそうだ。

美味しい珈琲に落ち着く喫茶店。

今日初めてあった2人だけどいい人でとても楽しかった。




「ではここら辺で今日は帰りますね。

今日は本当にありがとうございました。」



深々く頭を下げてお礼をすると2人は笑いかけてくれた。さすが親子笑い方は違うくても美形な笑顔が眩しい。




「また来なさい舞梨ちゃん。

この子のことはもう少し回復するまでしっかりと面倒を見ておくよ。いつでもこの子を見においで」





「じゃあ俺駅まで送ってくるよ」




「いや!大丈夫!自分で帰れるよ。

今日はありがとう。えっと彼方もゆっくり休んで」




何度か口に出して見たが名前を呼ぶのは恥ずかしい。




「じゃあ商店街出るまで送ってく」




首に手をやりながら扉を開けてくれた彼方。

優しいけど黙って着いてこいオーラが滲み出ている。

大人しく着いていくとしよう。



その後彼方とは解散をした。

何か特に話すわけでもなかったが居心地が良かったな。

もうすっかり雨のやんで澄んだ綺麗な星空が目の前一面に広がっていた。



駅のホームへ向かい電車に揺られて帰るいつもの帰り道がどこか寂しい気がした。



今日色々なことがあったけれど、

結果楽しい素敵な出会いもあったが、それと同時にすぐに手放しがたい悲しい別れもあった。

もうこんな日は二度と来ないで欲しい。




また明日も学校か…でもなんだか頑張れる気がする。




一人電車窓から見える景色を見ながら頑張ろうと決意した。




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