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【十八】寄り道

授業にも間に合い、普段通り学校で1日を過ごした。

ただ久しぶりの授業は退屈で普段より、より一層50分が長く感じる。






キーンコーンカーンコーン…



まだかまだかと待ち続けていたHRの終了を告げるチャイムが校舎中に鳴り響く。それと同時に今まで静かだったどのクラスも一気にガヤガヤとし始め校舎内が一気にざわついた。




うちのクラスの生徒も待ってました!と言わんばかりにせっせと帰宅準備をして慌ただしく進めている。






担任の先生もいつもの事で慌ただしい生徒を横目に、

「早く帰れよー」と流れるように言い放ちそそくさと教室を出ていった。





んーっ、やっと終わったぁ。




凝り固まった肩と腰をググッと精一杯伸ばした。

元々少なかった体力も入院期間により、一層体力ダウンに拍車がかかっているわね。このままではいけないどんどん体が訛ってしまう。




「はぁ、この生活がまだ4日あると思うとドッとする。」




流石に1週間も休むと人間怠けちゃうものね。




そんな呑気なことを考えながら疲れきった体にムチを打って今日の課題をカバンに詰めこんでいるとふと後ろから人の気配がする。




気になり振り振り返ろうとしたその時






「なにやってんの。」






「わぁ!びっくりした。」





ちょうど気配を感じとったと同時に頭上から声が降ってきた。

振り返るとそこには彼方の姿があった。



呆れた顔をして見下ろす彼方だがイケメンはどんな表情でも絵になるのね。羨ましい限り。





「おいその顔また変なこと考えてんだろ」





「失礼ねそんなわけないじゃない」






「どうだか」





そういい鼻で笑う彼方。




「何してたんだ?」



「ん?なにって?」






「ずっと廊下で待ってんのに中々机から立ち上がんないわ、帰る用意もしないわだったから。何してたのかなって具合でも悪いのかと思って教室入ってきたけどそうでもなさそうだし。」






「え、ずっと待っててくれたの?」





「うん。待ってた。」





「それに一緒に帰んないの?俺帰るつもりしてたんだけど。」





「私も一緒に帰りたいなとは思ってたけど急に後ろから声かけるからびっくりした」







「悪い悪い。そうだ今日退院祝いで帰り美味しいものでも食べて帰ろうか。」






「美味しいもの!?食べたい!!」






「よしじゃあさっきから何も進んでないその手を動かしてくれ」






「置いて帰るぞ」





「ちょ、ちょっと待ってよ!今の今まで一緒に喋ってたじゃない!」




「じゃあ5秒だけ待ってやる。急げ。」




そう言い放つと指を曲げながら、いーち、にー、さーんと一定のスピードで数えている彼方は意地悪そうな顔をしてこちらを見ている。




私もゆっくりすればあっという間に終わる用意も横で数え続けられるとなにするんだっけ!?と焦ってしまってもう何が何だかよく分からなくなってきた。





「ちょ、ちょっと急かさないでよ。」




「遅い舞梨ちゃんが悪い。」





「意地悪な表情しててもキレイな顔してるのなんだかむかつくわ」






「はいはい。俺の顔が綺麗なんて当たり前の事をぬかしてないでさっさと帰るぞ」





「え?今この人認めた!綺麗な顔は事実だけど本人が言うのはなんだか気に食わない!」





私の文句を彼方は笑いながらスタスタと教室の扉へと向かっていった。

慌ててカバンのチャックを閉めて勢いよく肩にかける。

彼方を追いかけようとして振りかえるとそこには、開け放った扉から大勢の生徒と教室中の生徒の視線が私たち1点に向けられていた。




そうだった。彼方この学校1の美少年だった…。

顔が綺麗な事は重々承知しているが一緒に居すぎて感覚が麻痺していたわ。彼方は綺麗なんてレベルではなかった。




至る所から「あの2人どういう関係なの?」

「私彼方くんの事推してたのにショックなんだけど!」

「ちょっと付き合ってるのか聞いてきてよ!」

なんてあちこちからそんな言葉が飛び交っていた。





誰かに呼び止められては困る。

急いで彼方のあとを追い学校を後にした。





誰からも追いかけられることも無く無事校門を出ることが出来た。それから彼方とは他愛のない会話をしながら帰宅路を進んでいた時ふと彼方が少し表情を歪めた。そんな彼方が口を開いた。





「なぁ、その手首の傷の件だが。」




その一言を聞き視界を左手首に向ける。





「明日の放課後空いてるか?」





「うん。予定は無いけどどうして?」






「舞梨ちゃんと一緒にとある人の所に行きたいんだ。うちの亡くなったおじいちゃんの知り合いで妖や霊、神にとても詳しい人がいるんだ。その手首の印の手掛かりになるようなことが分かるかもしれない。だから一緒に行ってくれるか?」





「当然よ。早くこの問題を解決しなくちゃだしそれに私の為に色々と本当にありがとう彼方。」





「こちらこそ当然の事をしたまでだ。」





「ただ問題はここから少し距離があるんだ。街から離れた山手まで行かないといけない。父さんが明日送ってくれるらしいんだが門限は大丈夫か?」




「そのことならお母さんに伝えとくよ。彼方と一緒なら頼りになるしお母さんも安心だと思う。」






「じゃあそうと決まれば今日は思う存分美味しいものを食べて気分転換でもしよう!」





「そうね!今日はパーッとはっちゃけちゃいましょう!」










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