復讐は復讐を呼ぶ
「美月…ありがとな」
「ううん。 少しは落ちつけた?」
「うん。 後であいつらにも礼言って謝らないとな…」
「あいつらって、鈴木さん達?」
「そう。 あいつらも美月が来る前に……、そういえば、美月 よく俺がいる場所わかったな?」
春輝達は家も近所だから騒ぎを知って、すぐに何かあったのかって連絡してきてあれだったけど…。
俺はそんな何気なく抱いた疑問を美月に向けた。
それに対して美月は
一瞬間を開けて
少し微笑んでから
俺の問に答える。
「たまたま通りかかったら綾斗くんがいたからだよ。事件の事もNEWSで見てたから心配で…。」
もうNEWSになっていたのか…。
「そっか…」
どうせ面白半分で視聴率目当てだろうな。
けど、さすがに今回の事件に関しては
いつもみたいに面白がって放送されてたのかと思うと腹が立ってくる。
こんな… こんな状況の時くらいは
騒がずにそっとしといてくれよ…
いくら俺が特例だからって
なんで両親が殺された時まで
騒がれないといけないんだよ…
俺がそんな事を考えていたその時ーーー
ーーーーヒュイーンッ、ヒュイーンッ、ヒュイーンッ!!!!
突如地震速報のような音が鳴り響いた。 どうやらスマホが鳴っているようだ。 俺だけじゃなく、美月や、近くにいた周りの人達のも鳴っていた。
「地震かな?」
「そうかもな…」
美月の問いにそう答えて
美月と一緒に俺はスマホを見る。
そしてその内容に俺は唖然とした。
「なんだ…これ…」
“人間の皆様へ
昨夜、あの有名人 高橋綾斗くんの両親殺害に1人のクローンが成功致しました。これを期に我々クローン一同は
散々我々を利用してきた人間達への復讐… 名付けて、人間達皆殺し計画を決行致します。
クローン一同より”
その文章はその場にいた周りの人達にも送られてきたみたいで、周りはざわつき始め、混乱していた。
俺の両親をある1人のクローンが殺害しただと……?
この時、俺の中の何かがプツンッと切れたような気がした。
「あ、綾斗くん…これって…」
「ハハハッ…アッハハハハッ!!!!」
「………綾斗くん…??」
「ハハハッ… 美月… 俺、決めたよ。」
「え…?」
「クローン達がその気なら、俺もクローン達を抹殺してやる。 んで、俺の両親を殺したクローンを探し出して復讐してやるんだ…。」
お前らクローンが俺達人間に復讐しようが構わないさ。俺はただ 母さんと、父さんを殺したクローンがどいつなのかを吐かせて、そいつを見つけ出して必ず復讐してやる…!!!!!そして…お前らクローンを俺が皆殺しにしてやる…!!!!!
クローン達が俺達人間に
復讐を決行すると発表したこの日
俺、高橋 綾斗はクローン達への…
俺の両親を殺したという
まだ誰かもわからないクローンへの
復讐を決意した。