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failure  作者: 御嶽 樹
序章
4/7

惨劇



「あいつら散々人の事からかいやがって…。」


ラーメン屋を出た俺は

本屋に行くと言う双子と別れて

帰路についていた。


双子とは同い年で小さい頃から家が近所で、幼稚園から小、中、高と一緒だ。


双子の姉、鈴木 春菜は姉のわりには、妹気質が強く、小さい頃も弟の春輝や俺に よく引っ付いてきてた。小さい頃から俺に懐いてくれている。俺からしても手の掛かる妹みたいな存在で大事な奴。


双子の弟、鈴木 春輝は春菜があんな感じだからか、ぼーっとしてそうで実はしっかりしている。頭も何気に良い奴。俺の唯一の親友。



「クローンに対して感情は無いか…」


ふいにさっきの春輝の言葉を思い出していた。


俺にはクローンが存在しない。

存在しないというか

何故か俺のだけは造れないらしい。


今の世の中でクローンが存在しないのは俺だけらしく、小さい頃から毎週研究施設に行ったり、特例だからとTVに勝手に映されたり…。


もし、俺にクローンができたら俺も感情無しでクローンを見るのか…


「いや、俺にクローンが出来たら嬉しくて絶対に仲良くなるっつーか、感情無しで見るとか無理だわ!」


うんうん、と 自分に言い聞かせるように頭を上下に振って、自宅の近くのコンビニの角を曲がった。


このコンビニの角を曲がれば

俺の家が見える。


「つーか、もう20時か…結構ラーメン屋にいたんだな。やべー… 母さんに夕飯いらねーって連絡してねーや…」


っても、今更連絡しても意味ねーよな…

もう家につくし、ついたら言うか。





ガチャッ


「ただいまー…うっ…なんだよ、この臭い…」



家に入った瞬間、鼻にくる今まで嗅いだ事の無い悪臭が漂っていた。


「母さん!なんだよこの臭い…!」


…………………。



母さんを呼んだが返事がない。


TVの音声らしきものしか聞こえてこない。



靴を確認してみたら、靴は母さんだけじゃなく父さんのもある。


おかしい…。

それにいつもなら聞こえてくる

母さんのお帰りって返答も今日はない。



異様な悪臭が漂いながらも

シーンとした静かな空気に

嫌な予感がして急いで靴を脱ぎ

リビングへと向かった。


「母さん?父さん?いるよな??」


ガチャッ


リビングを開けた俺は 状況を理解するのに 少し時間が掛かった。


な…なんだよこれ…嘘だろ…?


そこには両親らしき面影を残した物体が無残な姿で倒れていた…。



「ーーーっ!!!!母さんっっ!!!父さんっっ!!! 」


駆け寄って上半身を少し抱えて何度も耳元で繰り返し呼んだ。


どう見ても、もう返答なんか返ってきやしない事はわかるはずなのに…。



「ヒッ、なんでだよ…… どうして……」


涙ながらに目に映る光景は

真っ赤に染まったリビングと

真っ赤に染まった両親の亡骸だった。


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