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failure  作者: 御嶽 樹
序章
3/7

クローン人間の役割


あの後、ちょうど帰りに会った幼馴染の双子の姉弟、鈴木 春菜&春輝と行き付けのラーメン屋に入る事になり、無事付き合えた事を報告していた。


「え!?佐藤さんと付き合った!?あやくんが!?!?」


「おう」


「へー良かったじゃん。おめでと、あや。」


「あやくん絶対に振られると思ってた〜…」


「ひでぇな…。春輝は相変わらず適当そうだし、お前ら祝う気ねーだろ!」


「なく…なくもない。」


「春菜は複雑なんだもんっ!春菜だってぇー…」


「なんだよ」


「あやくんには春菜がお似合いだと思うもん…!!」


「あー春菜は昔からあやの事好きだもんね。」


「ち、ちっがーう!!ただ春菜のが佐藤さんよりもあやくんと一緒にいた時間長いから…!」


「それ僕には好きって言ってるようにしか聞こえないけど」


「もー!春輝うるさーい!!!///」


「なるほどな。兄貴的な存在の俺に彼女が出来たから、構ってもらえなくなりそうで寂しいんだな!安心しろ!春菜はずっと妹みたいなもんだから!」


俺がそう言うと何故か二人に大きな溜め息をつかれた。






《〜続いては、今日未明、総理大臣のクローンが身代わりとなり殺害された事件についてーーー》


TVから流れこんできたNEWSに反応する。


クローンか…。



「へー、総理大臣も命拾いしたね。ま、僕らにとっても影武者みたいなもんだしね。」


「クローンって本当に助かるよね!今も春菜達の代わりに戦争に行ってくれてるもんね!」



クローン人間。

それは十数年前に第一号が造られて以来、今では人類全員に1人づつクローンが存在している。ただ1人…俺を除いては…。


「でも、クローンって自分と全く同じ外見で全く同じ性格なんだろ?それが死ぬとかちょっと考えつかねーっつーか。」


「あー、あやくんはクローンいないんだもんね」


「そうそう。だから、あやは有名人だしね。赤髪だから尚更目立つし。」



そう、俺には何故かクローンが存在しない。クローンが造れないらしい。遺伝子に珍しい抗体があるんじゃないかと言われているけど、実際に詳しくは俺自身もわかってはいない。


「有名人っつーか…俺は良い見せ物なんだろ。今更気にしてねーけどさー」


「まー、あやには想像つかないかもだけど、感情で考えてないんだよ僕らは。」


「ん?感情で?」


「理論的にしかクローンの事を考えてないって事だよ。クローンがいなければ僕達は戦争に行かなくちゃいけなくなるし、そうなると各地で人口が減るでしょ?家族や友人も悲しむし」


「まー…」


「けど、クローンは僕達が生きてる限りまた造れるし、死んでも誰も悲しまない、困らないし、政府からしても人口は減らないから支持率にも影響無いしね。だから皆わりきって考えてるわけ。」


「んー、俺には難しい話だわ…。」


「まーあやくんは特例だもんね!」


「特例ねー…」


「あ、噂をすれば。 ほら、あやが出てるよ」


あぁ…またいつものあれか…。


《〜♪今日の綾斗様特集〜!今日の綾斗様は…》



「いつも思うんだが… 俺取材とか全部断ってんのに、いつの間に映像とか撮ってるんだ…?」


『隠し撮りだろうね〜』


「そこの双子! 息ピッタリにハモらせて怖い事言うんじゃねーよ!!!」





この時の俺達はあと十数時間後に

この平穏な日々が終わりを告げるなんて

夢にも思っていなかった。


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