彼女
「佐藤が好きだ!」
ジリジリと日差しが照りつける
7月始めの放課後。
赤髪がトレードマークの
俺、高橋 綾斗(16)は
同い年のクラスメイトの女子
佐藤 美月を校舎裏に呼び出して
今まさに告白中だ。
「え…わ、わたしですか!?!?」
「そ、そうです…」
なんで俺まで敬語になってるんだ!!!
とか思いつつも、珍しい桃色セミロングの髪をなびかせ、震える小柄な美月を見て、あー俺絶対に振られるなって冷静に思ってみたり。
「やっぱ、俺なんか嫌だよな…佐藤と俺とじゃ釣り合わないしな…」
落胆する俺を見て佐藤は首を左右にめいいっぱい振る。
「わ、わたし…わたしも高橋くんが好きだから…」
「だよな〜…って、えぇっ!?マジで!?だって俺だよ!?」
「高橋くんだからだよっ!それに…高橋くんは自分が思ってるよりもカッコイイよ?結構女子で高橋くんカッコイイって言ってる子もいるし…」
いや、有名人ではあるけども… モテる云々ってのは、今まで告られた事もないからお世辞なんだろうけど、佐藤も同じ気持ちだったのはスゲー嬉しい…。
「じゃ、じゃあ…俺と付き合ってくれるって事?」
「はい…こんなわたしだけど…宜しくお願いします///」
「俺の方こそよろしく!えっと、美月…って呼んでもいいかな?」
「ふふ、はい!良いですよ!私も…あ、綾斗くんって呼んでも良いですか?///」
「もちろん!!つーか、良かったら一緒に帰らない?」
「あ、ごめんなさい… 今日はこれから用事があって…」
「そっか… まー急だしな」
「あの、今日はダメですけど…良ければ明日とか一緒に帰っても良いですか?」
「おう、 じゃあ明日一緒に帰るか!」
やべー…めちゃくちゃ幸せだ…。
「あっ!そうだ、綾斗くん!」
綾斗くんってまだ呼ばれ慣れなくて照れくさいな。
「ん?なに?」
「綾斗くんは好きな色とかありますか?」
「好きな色? んーやっぱ赤かな!戦隊モノとかでも、レッドが目立つし!」
「赤… やっぱり一緒ですね」
「えっ?」
「あ、もうこんな時間…わたしそろそろ帰りますね」
「あーそっか!用事あるのに時間取らせてごめんっ!!」
「いえ…綾斗くんの彼女になれるなんて思ってもみなかったから、嬉しかったです… じゃあ、明日また学校で…!」
美月は少し頬を赤らめながらそう言うと、俺に手を振り、駆け足で帰って行った。
人生初の彼女が出来た俺は浮かれていた。
全てはこの時から始まっていたとも知らずに…。