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大島サイクル営業中 2017年度  作者: 京丁椎
10月
96/200

バイク通学規定変更

轟のオイル交換についてきた理恵。何やら1枚のプリントを出してきました。


バイク通学の規則が変更になったようです。

高嶋高校では1枚のプリントがホームルームで配られたそうな。

「え~っとねぇ・・・おっちゃん。読むで。」


『オートバイ通学規定変更について』

1・原動機付自転車及び小型自動二輪免許(以下バイクと記す)

 の取得は成績・素行を審査し、問題無い者のみ許可をする。

※平成29年11月以降の免許取得許可申請者から適用


2・原動機付自転車1種及び2種での通学は

 学校より半径1.5㎞以上の通学距離の者のみ許可する。

※現在通学許可が出ている者は使用可能

 平成29年11月以降のバイク通学申請者から適用


3・許可無く免許を取得及び通学に原動機付自転車で通学をした者は

 停学及び退学処分とする。


『小型特殊免許の取得について』

小型特殊免許の取得に関しては自由とする。

ただし、通学での使用は許可しない。


以上


「・・・だって。美紀ちゃんの言ってた通りだったねぇ。」

プリントを読み上げながら呑気に大判焼きを頬張る理恵。

今日は轟さんのカブのオイル交換について来た。


1.5㎞か。自転車なら楽勝の距離だな。今都に自転車屋は無いけど。


「来年度は今都中から高嶋高へ入る子は減るんじゃない?

 バイクに乗るために高嶋高校へ入学した子もいるしな。」


ドレンから落ちるオイルを眺めながら轟さんは続ける。


「それより、小型特殊ってなんやねん。」


通学に使うやつは居ないと思うが、規定にあることは仕方が無い。

今都は何をするか解らない『修羅の街』だからだ。


「小型特殊はトラクターとかコンバインの免許や。

 今都の生徒に配慮したんやないか?田畑と自衛隊しか

 無い町やしな。」


轟さんのカブはオーバーホールはしていない。鉄粉は無いけど

オイルの色は濃い。タールが溶けだしたか・・・そのうち

クラッチに溜まったスラッジだけでも取りたいところだ。


「それは知ってます。でも、わざわざ決める事?」


「決めんとアカン事情でもあったんやないか? おっさんは知らんけど。」

オイル交換を終えて一息つく。


ココアを入れて二人に渡す・・・って、理恵。大判焼き何個喰った!?


「理恵は食いしん坊やね~。」


轟さん・・・それで済ますのか? 男が引くくらい食ってるぞ。


「磯部先生なんか『生徒と同じ目線で』ってリトルカブに

乗り換えてしもたし。格好良かったのに。」

理恵はカバンから鯛焼きの詰まった箱を出した。


どれだけ喰うんだよ・・・。


「格好良かったのにね、リツコ先生(せんせぇ)。リトルカブ変えてから

スカートも長くなって男どもはガッカリしてる。」


それは残念だ・・・誠に遺憾に思う。


「|れもふぁ、ふふぃっほはふふぁいふふぁーふぉふぁふぁら

(でもさ、スリットが深いスカートだから)・・むぅ!」


言わんこっちゃない。鯛焼きを喉に詰めたな!

喰いながら話すからだ。お行儀が悪い。


「よしよし。飲み物で流そうね~。」

轟さんは妹の面倒を見るお姉ちゃんみたいだ。


「死ぬかと思った。」理恵はぜぃぜぃと息をしている。


「遅くなるから帰ろっか?」

「うん。おっちゃんご馳走さま。」


もしかすると、二人はウチの店の事が心配で来てくれたのかもしれない。

高嶋高校がバイク通学禁止になったら商売にならない。

バイクの販売台数が減った今では死活問題だ。


一部地域だけバイク通学は出来なくなったが仕方ない。

今都の学生が何に乗って学校に通うかはどうでも良い。

2人を見送りながら思うのだった。


理恵たちの通う高校は第2次ベビーブームの頃に駐輪場が整備され

生徒が減った今では小型バイクくらいなら余裕で収容できます。


トラクターを停めるほどのスペースはありません。


フィクションです。実在する人物・団体等とは無関係です。

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