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大島サイクル営業中 2017年度  作者: 京丁椎
10月
94/200

恋する女とリトルカブ

「じゃあ、私はこれで。また何処かでお会いしましょうね。」

葛城さんは帰った。


「トイレに行ってる間の店番をお願いしていたんですよ。」


待たせてしまった。リトルカブの説明をしないと。


でも、彼女はリトルカブより気になる事が有るみたいだ。


「あの・・・葛城さんってお付き合いしている人は居るんですか?」


なるほど。彼氏を紹介してとでも言われたかな?

「居ないらしいですね。休日はカブで甘い物屋巡りやそうですよ。」


「あの・・・葛城さんの連絡先とか解ります?」


葛城さんも迂闊だな。連絡先を教え忘れるなんて。


「解りますけど、個人情報やから教えられませんよ。」

本人の承諾も無く教えることは出来ない。店の信用にかかわる。


「じゃあ、お友達になりたいから私の連絡先を葛城さんに伝えるのは

出来ますか?」


偉くグイグイくるねぇ。友達が居なくて寂しいのかな?

女の子のバイク乗りは高嶋高校にわんさかいるけれど

大人になって乗る()は少ないしなぁ。


メールアドレスを葛城さんへ伝えることを約束してリトルカブの

説明をすることにした。


「基本、リトルカブの車体にカブ90のエンジンです。マフラーだけ

社外品のJ製の物を使っています。」


「ギヤは3速?」


「いや。4速。」ゴリラに組んだミッションと同じだ。

細かな説明を聞いた後、磯部さんは満足してくれたのだろう。

「じゃあ、明日に取りに来ますね♡」と

ゼファーに跨り颯爽と去って行った。


恐らく、本当の磯部さんの中身は見た目より幼いか可愛らしいのだと思う。

葛城さんと連絡を取りたいと言った時の表情は恋する女の子だ。


やはり惚れたか。


恋する女性は良いものだ。美しさ・愛らしさに磨きがかかって輝く・・・

女性を虜にする葛城さんは罪な男だ・・・


何か大事な事を忘れている様な気がする。


「考えすぎか・・・。」


今日は閉店。シャッターを下ろしてコンプレッサーの電源を切る。

明かりを落とすと店内には静寂が訪れた。


夕食後、葛城さんにメールをしたら、すぐに返事が来た。


「バイク友達が出来るのは嬉しいです。連絡しておきます。」


これで約束は果たせた。2人の恋の行方を見守ることにしよう。





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