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大島サイクル営業中 2017年度  作者: 京丁椎
9月
81/200

ダックス(分解)

理恵と速人はヘルメットを被ったまま震えている。

綾ちゃんと佐藤さんは何が起こったのか分からず混乱している。


う~ん。らちが明かない。らちが何か知らんけど。


そこへカブのエンジン音が聞こえてきた。葛城さんだ。


「あ!」


葛城さんも絡んでいるのか。


「理恵ちゃんから相談を受けまして、このダックス?の持ち主を・・・。」

仕事柄、葛城さんには守秘義務があるので言わない様に制した。


「レースを吹っかけて来た奴を葛城さんを使って捕まえたって処か?」


頷く4人。


「で、どんな競争をしたんや。おっさんに言ってみぃ。」


「今都から安曇河まで161号を走るレース。私は法定速度で走ってた。」

「相手が調子こいて追い抜いたところを葛城さんが捕まえました。」

震えながら2人が話す。


「正直に話してくれたから許す。おっさんは鬼やないで。」

笑顔で答えた。

「もうヘルメットは外しいな。暑いし重いやろ。」


2人はホッとした様子でヘルメットを外す。


「どうや。競走するようなバイクやないことが解ったやろ?

君らのバイクは通学用。目一杯スロットルを開けてもギリで

スピード違反出来んようにしてる。」


「161バイパスで10km/hオーバーくらいなら捕まえませんね。」


スピードメーターには誤差が認められている。

時速40㎞でプラスに15%・マイナスに10%の範囲を示す・・・だったっけ?


実際は時速40㎞で走っていても、メーターは時速36~46㎞の範囲を指せばOKだとか。

時速60kmの場合だと54~69㎞の範囲。案外いい加減な物だ。


で、捕まえた後、学校で何かあったんか?


大村(だいむら)は退学処分になりました。」

「免許も取り消しだって。」

「いい気味だよな。」

「私は悪くないも~ん。」


まぁええわ。親からして馬鹿者揃いみたいやし。心も痛まん。


とりあえず分解して要らない部品を売ろうと思っている。

写真を撮ったり発送する手間が面倒だ。そんな事を話すと


「じゃあ、僕がその辺りをやります。」と速人が引き受けてくれた。

報酬は落札額の半分。良い小遣い稼ぎになるだろう。


速人が外した部品の画像を撮ってオークションに流す。

理恵と綾ちゃんで送り状を書いて、速人と佐藤君は梱包。

入金の確認と宅急便の営業所への持ち込みは俺。


役割を決めて解散となった。


閉店後。さぁやるぞと気合を入れてて分解に取り掛かる。


エンジンに150㏄と刻印がある。125㏄以上で登録区分が変わる。

普通自動二輪で登録すれば高速道路を走ることは出来るが

登録の変更が面倒なので使わない。処分する。


小型限定免許で150㏄を運転した代償は大きかったんだねぇ。

高校退学に免許取り消し。高嶋市では致命的かも。


でも、あの親の子だと思うと心が痛まない。俺は今都(いまづ)の人間は嫌いだ。


キャブレターも妙に大きなレース用部品が付いているので処分する。

妙な形のハンドル・短すぎるリヤサスペンションも処分。


ウチでは使わない部品がたくさん付いている。


最初は直す事も考えていたが、分解していくうちに基本骨格だけになってしまった。

もうフレームや配線もオークションに出品してしまおう。


最後の部品は『Dax フレーム 書類付きだけどジャンク』だ。


部品はボックスに小分けしておく。あとは高校生4人組の仕事だ。


乗っていた奴はアレだったようだが、部品は良い物だった。


高く売れると良いな・・・そう思いながら店の明かりを消した。




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