大島のざっくりしたメカ講座②
フィクションです。登場する人物・団体等は架空の存在です。
実在する人物・団体等とは無関係です。
「ノーマルヘッド対応ボアアップって何ですか?」
尋ねてくるのは速人だ。部活をせずバイクばかり触っている。
学校以外はバイトとバイク弄り。ある意味バイク部だな。
学業は順調。バイクの維持費は自分で稼いでいるなら文句は無い。
速人はバイク弄りに関してはなかなか筋が良い。最近の子供にしては器用だ。
そう言えば、ジャンクか修理した時に外したピストンが有ったな。
「右が速人や理恵のエンジンに使ってるピストン。左がノーマルヘッド対応。」
ピストンの頭部形状が盛り上がっているか凹んでいるかが違いだ。
何も言わずに見せる。解ればシリンダーヘッドの事も教えてやるか。
「ノーマルヘッド用は凹んでるんですね。」
うん、合格。次はヘッドも説明しよう。
「こっちがカブ90のヘッド。こっちはカブ50のヘッド。」
シリンダー容積÷燃焼室容積=圧縮比・・・だったかな?
「50のヘッドは燃焼室が小さいからピストンの頭が盛り上がった奴を使うと
圧縮比が上がり過ぎてノッキング(異常燃焼)を起こしたりする。
そこで圧縮比を適正にするのにピストン頭部を凹ませる。」
「キャブレターの穴も小さいですね。」
そうやな。よく気が付いた。
「70・90用はシリンダーの容積が大きい分、混合気や排気ガスが通りやすいように
ポートもバルブも大きくなってる。」
「じゃあ、ノーマルのヘッドを使う場合はパワーが出ないんですか?」
「排気量自体は大きくなるからパワーアップはする。ただ、もう一息が
足りん気がするな。息苦しく回る感じと言うかそんな感じやな。」
「でも、2種登録したい場合に使うのは有りですよね。」
「そうやな。お手軽にするなら有りやな。ウチは中古部品が揃ってるから
純正シリンダーヘッドで組んでるけどな。領収書や部品の説明書がないと登録を受け付けん
自治体もあるらしい。高嶋市でも支所によって違うみたいやしな。」
朽樹と蒔野は知らんけど、真旭・安曇河は少し厳しいらしい。
今都はグダグダ・・・Tataniのバイクを見ていればわかる。
・・・グダグダ対応の支所でハーレーを原付で登録するような
ヤクザな事をやる店じゃないけどな。ウチは。
「社外品のヘッド込の値段は・・・6万円!」
速人が驚くのも無理はないか・・・
「少量生産で性能を追求するとそんなもんかな。
性能ではかなわんけどコストパフォーマンスを考えると純正は悪くない。
腹八分って在るやろ? もう少しが足りんと思うくらいが丁度良い訳や。」
「エンジンコンプリートで30万円以上!本体以上ですね!」
「そうや。中毒患者になると、そこまで求めるようになる。気ぃ付けや。」
独学でバイクの事を覚えた大島が素人の速人に教える話です。
本格的にバイク弄りをする方からすると物足りないはずです。




