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大島サイクル営業中 2017年度  作者: 京丁椎
9月
73/200

Battle of Route161

フィクションです。実在する人物・団体等とは無関係です。


公道走行はマナーと法規を守って安全運転を。作者からのお願いです。

国道161号線の側道に高嶋高校の生徒が集まっている。


大村(だいむら)と理恵の対決を見ようとするギャラリーだ。


「ここから安曇川の道の駅に速く着いた方の勝ち。

白藤側からの要望で大村が負けた場合、二度と

ちょっかいを出さない様にとの事。

白藤側が負けた場合、バイクを大村へ渡す。

間違いないな。」


「聞いてないけどいいよ~。私は負けへんも~ん。」呑気に答える理恵。


安曇河(びんぼうまち)は今都にひれ伏せっ!土下座して謝れっ!

我が栄光の今都市民に幸あれ~!」

冷ややかな目で見られているの気付かずに喚く大村。


「それじゃ、カウント始めっぞ!」

空気が張り詰める。


「5秒前!・4・3・2・1・スタートッ!」


ポポポポポッと軽い排気音を出しながら加速する理恵に対し

爆音を轟かせて加速する大村DAX


音の差の割に加速はそれほど変わらない。

「あの女の子、速いよな?」

「大村のDAX・・・音の割に・・・?」


「理恵の奴、軽いもんな。」

亮二は呟きながら綾にメールを送る。


「理恵・・・無茶するなよ・・・。」

2台のバイクを見ながら亮二は呟いた。



「あ~うるさい。排気ガスが臭い!」

大村の後に付いた理恵だが、追い抜くことは出来ない。

何と喰らい付いているが、じりじりと引き離される。


「ここからが勝負じゃ~!」

ギヤを変え、スロットルを開けた大村に離される。


(これ以上のペースだと信号に捕まるはず。)

理恵は敢えて大村を追わず、マイペースで走る。


はるか向こうで信号が変わるのが見えた。

理恵はカウントを始めた。


「くそ~。これからなのに!」

イライラして信号で止まる大村。信号無視するには交通量が多すぎる。


(6・5・4・3・2・1・・・)


信号が青に変わり、大村が黒煙を上げながら発進する横を

スピードに乗ったゴリラが追い抜いた。理恵である。

(私のゴリラはな・・・)


理恵は信号が変わるタイミングを調べてどう走ればストップせずに

走り抜ける事が出来るか下調べしていた。

(大島のおっちゃんが私の為に頑張って作ってくれたんや)


焦った大村はスロットル全開で理恵を追い抜きにかかる。

国道161号線バイパスに乗ってしまえば安曇河まで信号は無い。

パワー勝負・最高速勝負。何も無ければ大村の勝ちだ。


何も無ければ(・・・・・・)の話だが。


信号待ちのロスなどものともせず理恵を追い抜いた。

理恵は60㎞/h+αで巡航。大村は90㎞/hは出しているだろう。


「俺様の勝ちだ~」勝利を確信した大村。更に加速を続ける。

有頂天になっているので気付かない。


刺客が背後に迫っていたのを・・・・。


「3・2・1・・・36㎞/hオーバー。追走」

迫るサイレンと赤色灯。『白バイに乗った王子』こと葛城の登場だ。


「そこのバイク、次のランプで降りて。」

大村は誘導されて161号線バイパスを降りる。


(あんたが遊びで作った玩具(おもちゃ)とは違うんや。)

大村を横目に理恵は法定速度の60㎞/hで走り抜けた。


「こちら真旭ランプ。白藤通過。」

「了解。大村は?」

「白バイの先導で降りました。」2年生たちがざわめいた。


「理恵通過。大村は白バイに捕まった♪」

綾は速人にメールを送った。


ゴールの道の駅安曇河に理恵の乗ったゴリラが滑り込む。

暫く待ったが、大村が姿を現す事は無かった。


結局、理恵は普通に走っていただけで勝ってしまった。

ゴールで「えげつないよ・・・。」と速人に抗議されたが

「わかんな~い。知らな~い。」としか言わない。


レースの翌日、大村は両親と共に生徒指導に呼び出された。


36㎞スピードオーバー・整備不良・検挙時に暴れて

傷害罪・公務執行妨害・・・。


小型自動二輪免許しか持っていないのに運転していたのは

150㏄の普通自動二輪。無資格運転だ。


普段なら停学で済んだかも知れなかったが時期が悪かった。

夏休み中には死亡事故が起こっていた。そして今回の違反。

事態を重く見た学校は大村を退学処分とした。


大村の両親は抗議したが

「義務教育ではありませんから、文句を言うなら来なくて結構。」

と突っぱねられて終わった。


一方、理恵は御咎め無し。警察側より

「しつこく迫られて仕方なかったのだろう。」

と学校へ配慮を求める様、連絡が有ったからだ。


全ては理恵の作戦。妙に携帯を弄っていたのは

葛城と作戦を練る為だったのだ。


大村は理恵の掌で踊らされていただけだった。


「全ては白藤の計画通り。大村は白藤の掌の上で踊っていただけか。

女って怒らせると怖いよな。」


「亮二も気をつけなよ。気が付いたら綾ちゃんの掌の上で踊らされてたりして。」


「怖いこと言うなよ。シャレにならんわ。」


そんな事を話していると、

亮二に柔らかな物体が絡みついてきた。


「怒らせる事なんかしないよね?」

耳元で綾が囁く。亮二は背筋が寒くなった。


理恵はいつも通り元気一杯。ニコニコとしている。

「さ、帰ろっ!」


「「はい・・・。」」


速人・亮二が女性の恐ろしさを知った16歳の秋のお話である。


大村との対決が決まり、亮二に問い詰められた理恵は

自分が考えた作戦を3人に伝えました。


「バイパスに乗ってからしばらく走ると信号に捕まるんだよね。

上手く行けばそこで追い抜けるから。多分、怒って全速力で

追いかけてくると思うんだ~。」


「こっちは制限速度でキープ。追い抜いて調子に乗るだろうから

そこを葛城さんに捕まえてもらう。上手く行けば免停くらい喰らうんじゃない?

整備不良とか何とかで暫く止めてもらっているうちに、

私は安曇河に到着。万事解決。めでたしめでたし。」


「一応、ストーカーかも知れないって警察に相談してるからね。

少なくとも付きまとってくる事は無いと思う。こういう場合は

女の子は有利だからね。葛城さんと相談して決めた。」



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