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大島サイクル営業中 2017年度  作者: 京丁椎
9月
72/200

理恵・挑戦を受ける

フィクションです。実在する人物・団体等とは関係ありません。


作品中に速度違反の表現が有ります。作者はスピード違反は推奨しません。

公道では適切なスピードで安全運転を。作者からのお願いです。

放課後、理恵たち4人と他の同級生が駐輪場に集まっていると

案の定、大村が声をかけてきた。


「おい!『湖岸のお猿』俺と勝負しろ!」

何とも工夫が無い・・・皆が呆れていた。


「良いですよ~大村先輩♡ギャラリーをたくさんお願いしますね♡」

愛らしく理恵が答えるのを見て皆、吐き気を催した。


「国道161号線。最高速重視で勝負しましょう♡」

よりによって最高速勝負?大村のDAXは車高短の族仕様。

カーブの多い道なら勝機があるのに。


「日は指定する。首を洗って待っとけよ!」

大村は一言吠えて去って行った。


「ショック~私って『湖岸のお猿』?酷いよね~。」

呑気に言う理恵を3人は不思議そうに見ている。


「お前・・・俺が言った事を忘れたんか?」

亮二は怒りに震えながら言った。


「法定速度内で走るのが気持ちいい・・・だよね。

忘れてないよ~馬鹿じゃないもん。実はね・・・」


理恵から作戦を聞いた3人は驚愕した。


「だから、ギャラリーが多い方が良いの。」


(((お・・・恐ろしい()っ!)))


ニコニコと微笑む理恵を見て3人は思うのだった。


◆      ◆      ◆

理恵と速人には「競走なんかするな」的な事を言ったが、

大島自身は競走は好きだった。

ただし、それはサーキット内でのこと。

『競争はサーキットでする』が信条の大島にとって

公道でのレースは周囲に危険をまき散らすだけの愚行としか思えない。


レース用にカリカリのチューニングをした事はある。

しかし、それによりエンジンの寿命は確実に縮む。

もう古いスーパーカブのエンジンは製造されていない。

モンキーのエンジンだってキャブレター時代のエンジンは

タマ数は減っている。


キャブレター時代の昔ながらのシンプルなエンジンが

生産中止となった時、


「レースで得た技術で壊れにくいエンジンにしよう。」

心に決めた。


学生にとってバイクは大事な足代わりであり

決して安い買い物ではない。


小遣いやお年玉を長年貯めて買ったバイクがすぐ壊れては

気の毒だ。


必死にバイトをして買ったバイクを壊して泣く者も見てきた。


だから、せめて自分の所へ来たカブたちは壊れない様に組む。

「刺激が無い」「寝惚けたようなパワー」と言われる事はある。


でも気にしない。パワーやスピードだけがバイクの魅力じゃないのだから。


◆    ◆    ◆

次の日、大村は対決の日を指定してきた。

「はぁい♡ギャラリーも一杯お願いしますね~♡」

普段と全く違う理恵に3人を除く周囲の同級生は驚いた。


理恵はスマホで何やらやっている。

「フンフ~ン♪葛城さ~ん♪」


機嫌は良さ気だが眼が笑っていないのを3人は見逃さなかった。





理恵のゴリラの足周りはフロントのインナーフォークとリヤサスを換えてあります。

法定最高速度+α位までなら普通に走ることは出来ます。

それ以上のスピードだと危なっかしくて走れない筈です。


大島の手によってスピードを出し過ぎると敢えて『怖い』と感じる様に、

自然とスピードを出し過ぎない様にセッティングされています。


競争には向きません。


そんなゴリラで何をするのやら?

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