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大島サイクル営業中 2017年度  作者: 京丁椎
9月
69/200

ああ、栄光の今都市民

※この物語はフィクションです。実在する人物・団体とは関係ありません。

自慢のバイクで競走を仕掛けたら負け。しかも相手は1年生女子。

88㏄のカブ型エンジンを積んだ奴らで作った88クラブで

最後まで残っていた清水も離れていった。


「面白く無え。何で安曇河(びんぼうまち)の奴に・・・」


幼い頃から大村は『今都は高嶋市で最も誇り高く、気高い街』と

教育されてきた。今都は高嶋でナンバーワン・・・

本当は『高嶋市』では無く『今都市』となるべきだったと思っている。


「高嶋市は今都にある自衛隊の補助金目当てに合併した。

言わば他の町は物乞いと一緒なのだ。」と両親から言われている。


「88㏄でダメならもっと大きな排気量で・・・」

もう88㏄にこだわる必要は無い。必要なのは勝つ事だ。


免許を取ったばかりの1年生が俺様に勝つなど許せない。

もう手段は選ばない。とにかく勝てばよい。

大きなエンジン=パワー・・・成功への道しるべだ。


「150㏄で5速ミッション・・・これだ!これで勝てる。」

オークションの評価は低い店だったが迷わず購入した。


「パパ~ママ~お金が欲し~い。ちょうだ~い♡」

甘えた声を出して大村は両親にすり寄った。


「パパはお金持ちなんだぞ~ボクちゃん、何でも買ってあげるよ~」


◆     ◆     ◆


「えらく御疲れで・・・忙しいみたいですね・・・。」

店に訪れた葛城を見た大島は驚いていた。


眼元にはクマ、髪はボサボサ、顔色も良くない。

「忙しいのも有りますけど暑さも堪えますね・・・。」

上からは日射、下から照り返しとエンジンの熱。

夏でも長袖・ヘルメットでは当然だろう。


イケメン白バイ隊員でも人間なのだ。弱って当然だろう。


「弱ってもカッコいいわね♡」

「わ~萌える~♡」

「愁いを帯びた姿がたまらないわ。」


御菓子や飲み物をもって奥様方が葛城さんを観に来る。

(葛城さんが女性なのは黙っておくことにしよう。)


「オイル交換は・・・まだ大丈夫ですね。」


「走りに行く元気が無くて・・・あ・美味しい。」


近所の奥様御手製の梅ジュースだ。酸味が爽やかで

体力が回復する様だ。体に染みる。


(イケメンは得だねぇ・・・)


「あんまり真面目すぎると潰れまっせ。たまにサボりに

寄ってもろても誰も文句言いませんで。何やったら

『警察官立ち寄り所』の看板付けますで。」

看板があれば立ち寄っても問題ないだろうと思う。


どうやらカブのメンテナンスの事でなく、ただ寄っただけの様だ。


「最近よくサイレンが鳴ってますけど、事故が多いんですか?」


「バイクの事故が増えていて・・・。」

青菜に塩を擦り込んだようにうなだれる葛城さん。

こりゃ相当多いらしいな。


「仕事の事は言えんことが多いでしょう。詳しくは聞きませんけどね。」


「はい・・・・・。」


「暑さが和らいで、年寄りがバイクに乗り始めて事故。」


「・・・・・。」


「そのバイクが不正な登録がしてあってややこしい事に。」


「・・・・・・。」


「『おじさん。Tataniの事、何か知ってます?』でしょ?」


「はい・・・・。」


車輪の会(ホイラーズクラブ)で在った事、休業に追い込まれた店の事。

知っている事は全て話した。


「古いCBR250にカブのエンジンを積んで登録したのは

Tataniへの当て付け。警察が不審に思って動けばな~って。」


「・・・・・。」


「それは警察に任せるとして、ウチも困った事が有りましてな・・・」


「?」


「ヤンチャする学生が居るらしいんですわ。」




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