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大島サイクル営業中 2017年度  作者: 京丁椎
9月
68/200

大島のざっくりしたメカ講座

※この物語はフィクションです。実在する人物・団体とは関係ありません。

「ふ~ん。自分で組んだ88㏄か・・・。」

理恵に喧嘩を売ったDAXの事を聞いた大島は

2人にサイダーを出しながら呟くように言った。


「何で88㏄なの?葛城さんのカブと同じエンジン?」


「いや。葛城さんのエンジンはベースが85㏄のカブ90.」


「ストロークが違うんですよね」


「速人、その通りや。カブ90はストロークが長い。」

速人は筋が良い。メカの事や整備のコツをすぐ覚える。


破ったカレンダーの裏を使ってエンジンの絵を描く。

「これがエンジンの簡単な絵やな。

このピストンを大きな物に替えるのがボアアップ。」


横にエンジンの断面図を書いて説明を続ける。

「クランクシャフトを交換してピストンの動く量を

増やすのがストロークアップ。」


「私のゴリラはどっち?」


「理恵と速人のエンジンはボアアップ。ピストンとシリンダーを

交換して75㏄になってる。ホンダの何かのピストンを流用したのが

88㏄になったきっかけらしいけど、その辺りはオッサンも知らん。」


「ふ~ん。」


「で、ピストンどんどん大きくするとシリンダーの内径が大きくなる。

シリンダーの下側はクランクケースに入るからシリンダーの外径は

変える事が出来ない。となると、シリンダーが薄くなる。

それで耐久力が無くなるんや。その限界がピストン52㎜で88㏄。」


「「?」」

2人が不思議そうにしている。

「52mmだと84㏄じゃないの?」


「?」


「2.6×2.6×3×41.4で約84㏄ですよね?」


「? 3って何や?」


「円周率。」


「ああ。今は学校で3って教わるんだっけ?オッサンらは3.14で

習ってたから。2.6×2.6×3.14×41.4で約88㏄やな。」


世代の違いを感じるなぁ。


「じゃあクランクケースに入る所は切ってピストンとシリンダーの

穴だけ大きくしたらアカンの?」

速人は『何言ってるんだ?』みたいな顔をして理恵を見ているが

知らない故に鋭い事を言うと大島は感じた。


「そういうキットも有るけどな、ところがシリンダーを

取り付けるスタッドボルトがあるからそれにも限度がある。」


と雑誌の有名なメーカー広告を二人に見せる。

シリンダーを加工しなくても良いスカートが短い形状の

特別なピストン・シリンダーのキットだ。


「標準の倍以上の排気量やからなぁ。ノーマルの

クランクシャフトやと負荷が掛かりすぎる。

理恵と速人のエンジンはクランクシャフトはカブ70の物で

強化してるから100㏄で組んでも安心かもしれんけどな。」


「それで加速中にボ~ン(と爆発)ですか?」


「多分やけど腰下はノーマルのまま88㏄にしたんと違うか?

弱い所にストレスが掛かってボ~ンや。」


「ふーん。よく解らへんけど私のゴリラは

頑丈な通学用のエンジン?」


「そうや。理恵と速人のエンジンは通学スペシャル。

部品の強度・オイル潤滑・燃費を吟味した純正部品の

良い所取りやな。オイル交換をさぼらず、競走なんか

せんかったら3年どころか大学を卒業するまで乗れるぞ。」


頑丈さ関しては自信がある。90㏄から更に排気量を増やしても

大丈夫な部品で組んだ75㏄。安全マージンはタップリだ。


理恵はよく解らない様だったが、速人は何となく理解したようだ。


「ま、レースなんかしないようにな。」


「はい。」

「もうグリグリは嫌や~。」

と言って2人は帰っていった。


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