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大島サイクル営業中 2017年度  作者: 京丁椎
8月
62/200

綾の慣らし運転

フィクションです。登場する人物・団体・地名・施設等は全て架空の存在です。

実在する人物・団体・地名・施設等とは一切無関係です

真旭の速人の家で亮二はイラついていた。


「なぁ速人。綾ちゃん達、ちょっと遅くないか?」


「ちょっとぐらい待てよ。女の子は待たすものらしいぞ。」

と速人がなだめる。


「はい、送信。」

今さらの感は有るが速人は携帯電話を買った。


「じゃ、登録っと。」


野郎二人がウダウダ話していると2台のエンジン音が近付いてくる。


「おまたせ~。」

「ごめんね。待った?」


「遅せ~よ。何処に寄り道してたんだよ。」


「だって~大島サイクルに寄ってたんやもん。」

ふくれる理恵。


「亮二君ごめんね。私のバイク、修理に出してたの。」


「ふ~ん。どこか壊したんか?」

亮二はマフラーを見ているが違いは分からなかった。


「あ、黄色ナンバーになってる。」

女の子が髪型を変えても気付かない速人だが、

ナンバーが変わっている事に気が付いた。


「ボアアップしたから馴らし運転をしろって。」


「しばらく40㎞/までで走って慣らすんですって。」


「じゃあ40㎞/h縛りで行こうか。」

4人は湖岸道路に向けて走り出した。


湖岸道路に乗り綾のDioを先頭に走る。


「おい、そのバイク煙がスゲ~ぞ!壊れてるのか?」

綾の後で亮二が叫ぶ。

「慣らしのオイルが入ってるんですって!」

普段は物静かな綾が声を荒げて叫ぶ。


その後方では速人と理恵が

(綾ちゃんはバイクに乗ると性格が変わるのかな?)

(思ったより(けむ)いよ~)

と思いつつ走っている。


今までは30㎞/hで走っていたが、今回は40㎞/hで走る事が出来る。


(たった10㎞/hで全然違うんだ)


慣らしが終われば3人と同じスピードで走る事が出来る。

綾は少しだけ自由になった気がした。


学校に着くと亮二が書類を見せろと言う。

シート裏に在る書類を見せると

「52㏄?何でこんな中途半端なん?」

不思議そうにしている。


「先に行くよ~。」

速人は理恵に引っ張られるように図書室へ向かった。

「何?何を急いでるの?」

慌てる速人に理恵は

「あの二人な、良い感じやと思わへん?」

とニヤリとして答える。


「きちんと排気量を変えないと違反になるんだって。」


「それでボアアップか。綾ちゃんは真面目だな。」


「しばらく慣らし運転をしなきゃいけないの。」


「ふ~ん。」


「一人で走り回るのも心細いから一緒に走ってくれない?」


「おう。良いよ。」


「そのまま付き合っちゃおうか?」


「お?・・・・おう。」


2人は並んで図書室へ向かった。


窓から自習コーナーで理恵と速人が原稿用紙を前に

苦戦しているのが見えた。


「ねぇ亮二君。」


「何?」


「あの二人って、良い感じじゃない?」


「猿回しにしか見えねぇ。」

極めて失礼な感想を述べながら図書室に入る。


「だから、アニメと小説は全然違うって言ってるでしょ?」


「DVDで観たもん。あれの感想でOKじゃないの?」


どうやらアニメ化された有名な小説の感想文を書こうとしている様だ。




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