Dio納車
フィクションです。登場する人物・団体・地名・施設等は全て架空の存在です。
実在する人物・団体・地名・施設等とは一切無関係です
今日は綾ちゃんがDioを取りに来る予定の日だ。
エンジンをかけて、少しでも多く慣らし運転をしておく。
昨日、市内で慣らし運転していたら通報されてしまった。
念の為とガソリンに混ぜた2ストオイルが多過ぎた様だ。
減った分のガソリンは混合ではなく単なるガソリンを入れた。
煙は少し減った。これなら通報されないだろう。
大島が走らせた慣らし運転の距離は約100㎞
(これだけ走らせて異常が無いならOKか・・・)
「おはようございます。バイク出来てますか?」
「オッチャンおはよ~。」
綾ちゃんと理恵だ。ゴリラは2人乗りが出来ないので
押しているが理恵がゴリラを押すと普通の大人が400㏄クラスの
バイクを押しているように見える。
「おはようさん。出来てるで。」
「何か煙いね。何したん、これ?」
「慣らし運転でな。ガソリンにオイルを混ぜてるんや。」
「オイルは別に入れるんじゃないんですか?」
綾ちゃんが不思議そうな顔をして聞くので
慣らし運転の事と合わせて説明することにした。
「普通は混ぜんでよいけどな、エンジンの部品を換えたから
馴染むまでの間、少しだけ混ぜてやると馴染みやすいんや。」
「おっちゃん、私の時『しばらくゆっくり走れ』って言うてた
あれの事?ブーツイン?だっけ?」
「理恵、それを言うなら『ブレークイン』や。」
「じゃあ、まだ皆と同じスピードでは走れないんですね」
がっかりした様子の綾ちゃん。
「今までよりは速く走れるで。昨日100キロほど走らせて慣らした。
とりあえず1週間ごとにだんだんスピードを出して行こう。
まずは来週1週間は40㎞/hまで、次の週は50㎞/hまで。
その後は普通に乗ったら良いよ。」
「何か面倒だな!」
「う~ん。今回はオッチャンも初めてやる改造やしな。
面倒でも安全マージンを取りたいんや。」
「距離だとどの位ですか?100㎞ごとですか?」
「うん。100㎞走るごとに10㎞/hアップしてくれたら大丈夫やろう。」
「じゃあ、今日で20㎞やね。」
「うん。」
「今日は二人とも制服で学校か?」
「うん。速人ともう一人で図書室。」
理恵の表情が暗くなった。
「綾ちゃんは読書しそうやけど、理恵は・・・。」
「課題です。みんなで監視して読書感想文の片付けです。」
「も~本の感想なんか『面白い』『つまらない』で良いんや~!」
喚く理恵を放置して綾ちゃんから代金を受け取る。
「タイヤと今回の改造で車体よりお金が掛かって申し訳ない気分や。」
整備代は学生割引と思って安くしたつもりだけど、
部品代もかかっているから安くするにも限度がある。
「女の子には勝負どころが有るんですよ。」
と微笑む綾ちゃん。
(何と勝負するんや?)
「綾ちゃん、行こう。亮二が文句言うで。」
「じゃあ、おじさん。行ってきます。」
「おう。気をつけてな。」と2人を送り出す。
(要望通りになっていると良いが・・・)
久しぶりのスクーターの改造、しかも正体不明の部品で
エンジン内部の改造だ。大島は心配だった。




