他店の仕事を見る。
中古のミニバイクは何らかの整備やカスタムが行われているはずです。
「ああ、これを触った人はこんな事を考えていたんだな。」とか
「良く考えて弄ってあるな。」と思う事が有ります。
逆もある訳で・・・。
※この物語はフィクションです。実在する人物・団体とは関係ありません。
閉店後、預かったモンキーらしき車体をチェックした。
エンジン周辺からチェックしていく。
マフラーにJMCAの銘板が付いていない。
音からして音量規制適合ではないのは解っていた。
高価そうなキャブレターがついている。
埃の多い一般道を走るバイクでエアクリーナー無しのファンネル仕様だ。
「砂埃でボアアップをするつもりか?」
毒々しいアルマイトで着色されたインマニアダプターの下には
社外エンジン。シリンダーの刻印は49cc。本当だろうか?
イリジウムプラグは良いのだが、煤でまっ黒だ。
「最高速狙いか?普段使いじゃないな~。」
ぶつくさ言いながら点検を続ける。
CDIは社外品だ。物自体は悪くなさそうだ。
点火時期はレース仕様みたいになっている。
何でもかんでもスイッチをONにすれば良いと思っていたのだろうか?
エンジンの特性に合わせて調整すれば使えるだろう。
続いて電装品。格好は良いが機能しなければ意味が無い。
LEDウインカーは点いたりつかなかったり。
点いても点灯が速すぎる。意図的にか偶然かはわからない。
配線に違和感がある。加工もしてあるし・・・。
ところどころビニールテープが巻かれてある。
テープの下には寄り合せた配線だ。
ハンドルは動かすと何かが引っ掛かる。
ステムのベアリングだろう。レースを打ち替えだな。
エンジンのマウントボルトはナットが無くなっている。
スイングアームは長い。気のせいか捻じれているように見える。
雑な溶接だ。国内メーカーの物とは思えない。
変な所だらけで疑い出せばきりがない。
フレームは・・・歪みはなさそうだ。車体番号も正規の打刻だ。
「これで社外フレームやったらアウトやったな。」
とりあえず今日はここまでとしよう。
風呂に入りながら考えてみた。どう考えても
フレ-ムまで分解して一から組み立て直すのが良いだろう。
中はどうやって伝えたものか考えながら眠りについた。