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大島サイクル営業中 2017年度  作者: 京丁椎
8月
50/200

雑誌に載った。

フィクションです。登場する人物・団体・地名・施設等は全て架空の存在です。

実在する人物・団体・地名・施設等とは一切無関係です。

先月、参加したイベントのパワーチェックはバイク誌が

取材に来ていた。コスプレしてウケを狙った葛城さんと

理恵が載っているそうなので、早速購入してみた。


パワーはそれほど出ていなかったけどコスプレは受けたみたい。

クラス下位だけど、写真は少し大きい。


(TEAM大島サイクル・・・か。)

チーム名はも3人が決めたのだろうか。

店の宣伝になった。商売っ気は無い大島だが

店の名前が出るのは少しうれしいのだった。


理恵と葛城さんにも教えておこう。

「え~っと、『この前のイベント、雑誌に載っています。』

送信・・・と。」


◆     ◆     ◆


同じ日の昼飯時。


琵琶湖を隔てた街のバイク店でも同じ雑誌が読まれていた。


主任(チーフ)、高嶋の例の店のバイクが載ってますよ。」


「お?ちょっと見せてくれ。・・・なんだこりゃ?」

誌面には腕組みをした葛城と女の子らしいポーズの理恵。

フルフェイスのヘルメットなので表情は解らない。


「コスプレですね。自動車バラエティとバイク漫画のキャラですね。」


「それはどうでも良いけどな。きれいなパワー曲線やな。」


「でも、パワーは普通ですよ?ノーマルみたいな数値ですよ。」

若いメカニックは不思議そうに整備主任の中村(なかむら)に尋ねた。


「エンジンは純正シリンダー改75㏄と89㏄。

ピストンは純正補修用オーバーサイズピストンか。

お前、どう思う?」


「市販のキットを買う方が安く出来ると思います。」


「そうやな。何でこんな事するんかな?」


「Tataniさんも出たみたいですよ。うゎ・・・酷い。」

無茶苦茶な改造で驚いたようだ。


「お客さんの事を悪く言うのは止めなさい。」

ところが中村(なかむら)も眉をひそめる酷い結果。

「4台のうち3台が壊れて、1台が大島サイクルのカブ以下か。」


「排気量110㏄で90㏄並みのパワーですか。変ですね。」


「メカニックと何か有ったのかな・・・。」


◆     ◆     ◆


湖西と湖東。2つの店が雑誌を見ていた頃。

今都のセレブリティ―バイカーズTataniは静かだった。

梅雨が明けて以来、年寄り連中は暑がってバイクに乗らない。

乗らなければ壊れることが無いので修理に出す事もない。

『子供に乗らせる』と買って行った親が何人かいたが

その後は何も言って来ない。壊れていないのだろう。


大型・普通自動2輪を原付登録する仕事も止まっている。

「いくら馬鹿でも暑い中バイクで移動する奴は()らんわな。」

クーラーをガンガンに効かせた事務所で缶ビールを飲みながら

代表の他谷(たたに)はまどろんでいた。


どこかでサイレンの音が聞こえる・・・・。

サイレンの音が子守歌に思える。


◆      ◆      ◆

♪~高嶋警察署より、道路通行止めのお知らせです。先ほど・・・

防災無線が放送されている。


国道161号線では大渋滞が起こっていた。


「何か事故かな?」

湖周道路を走っていた理恵が国道161号バイパスを見ると

炎と黒い煙が上がり、無数の赤色灯が光っていた。


免許を取りたての高校生による単独事故だった。

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