雑誌に載った。
フィクションです。登場する人物・団体・地名・施設等は全て架空の存在です。
実在する人物・団体・地名・施設等とは一切無関係です。
先月、参加したイベントのパワーチェックはバイク誌が
取材に来ていた。コスプレしてウケを狙った葛城さんと
理恵が載っているそうなので、早速購入してみた。
パワーはそれほど出ていなかったけどコスプレは受けたみたい。
クラス下位だけど、写真は少し大きい。
(TEAM大島サイクル・・・か。)
チーム名はも3人が決めたのだろうか。
店の宣伝になった。商売っ気は無い大島だが
店の名前が出るのは少しうれしいのだった。
理恵と葛城さんにも教えておこう。
「え~っと、『この前のイベント、雑誌に載っています。』
送信・・・と。」
◆ ◆ ◆
同じ日の昼飯時。
琵琶湖を隔てた街のバイク店でも同じ雑誌が読まれていた。
「主任、高嶋の例の店のバイクが載ってますよ。」
「お?ちょっと見せてくれ。・・・なんだこりゃ?」
誌面には腕組みをした葛城と女の子らしいポーズの理恵。
フルフェイスのヘルメットなので表情は解らない。
「コスプレですね。自動車バラエティとバイク漫画のキャラですね。」
「それはどうでも良いけどな。きれいなパワー曲線やな。」
「でも、パワーは普通ですよ?ノーマルみたいな数値ですよ。」
若いメカニックは不思議そうに整備主任の中村に尋ねた。
「エンジンは純正シリンダー改75㏄と89㏄。
ピストンは純正補修用オーバーサイズピストンか。
お前、どう思う?」
「市販のキットを買う方が安く出来ると思います。」
「そうやな。何でこんな事するんかな?」
「Tataniさんも出たみたいですよ。うゎ・・・酷い。」
無茶苦茶な改造で驚いたようだ。
「お客さんの事を悪く言うのは止めなさい。」
ところが中村も眉をひそめる酷い結果。
「4台のうち3台が壊れて、1台が大島サイクルのカブ以下か。」
「排気量110㏄で90㏄並みのパワーですか。変ですね。」
「メカニックと何か有ったのかな・・・。」
◆ ◆ ◆
湖西と湖東。2つの店が雑誌を見ていた頃。
今都のセレブリティ―バイカーズTataniは静かだった。
梅雨が明けて以来、年寄り連中は暑がってバイクに乗らない。
乗らなければ壊れることが無いので修理に出す事もない。
『子供に乗らせる』と買って行った親が何人かいたが
その後は何も言って来ない。壊れていないのだろう。
大型・普通自動2輪を原付登録する仕事も止まっている。
「いくら馬鹿でも暑い中バイクで移動する奴は居らんわな。」
クーラーをガンガンに効かせた事務所で缶ビールを飲みながら
代表の他谷はまどろんでいた。
どこかでサイレンの音が聞こえる・・・・。
サイレンの音が子守歌に思える。
◆ ◆ ◆
♪~高嶋警察署より、道路通行止めのお知らせです。先ほど・・・
防災無線が放送されている。
国道161号線では大渋滞が起こっていた。
「何か事故かな?」
湖周道路を走っていた理恵が国道161号バイパスを見ると
炎と黒い煙が上がり、無数の赤色灯が光っていた。
免許を取りたての高校生による単独事故だった。




