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大島サイクル営業中 2017年度  作者: 京丁椎
こちら滋賀県高嶋市安曇河町藤樹商店街大島サイクル
5/200

安井さん来店

※この物語はフィクションです。登場する人物・団体・地名・施設等は全て架空の存在です。

実在する人物・団体・地名・施設等とは一切無関係です。

今日も大島サイクルは仕事が切れない。


修理引き渡しと預かりで気が付けば昼飯時だ。

(あたる)は仕事場で昼食をとる。

奥に引っ込んだ時に限って来客が在るためだ。


最近腹が出て来たのでサラダを食べる事にしている。

おにぎりを食べ終えたところでエンジン音が聞こえた。


「お~い。大島君よ~」

バイク仲間の安井のオッサンだ。


「安井さんもコーヒー飲む?昼飯は?」

コーヒーを淹れながら大島は尋ねた。

安井さんは大きなバイクも小さなバイクも嗜む情報通だ。


「おお、ブラックで頼むわ。ところで今都の平津オートの話聞いたけ?」


「平津オート?大きいのと(ふる)いバイクの老舗やな。何か有ったん?」

コーヒーを出しながら大島は聞いた。


「急に整備の仕事が増えて親父さん過労で倒れたらしいぞ。

何か売るだけで整備を平津オートにまくる所が出来たらしいわ。」


「ふ~ん。そういえばうちもキットバイクの整備の問い合わせが来るわ~

よく解らんから全部(みな)断ってるけんど。整備しない(せん)バイク屋って何処や?」


「いや~店までは解らんけど何か勘違いした連中で煩い奴ららしいな~」

受け取ったコーヒーをすすり安井は言った。

「大島君も気を(きぃ)つけや。ろくな店ちゃうで」


半時間ほど話をして安井さんは帰った。

困って訪れた客に『余所で買ったバイクは整備お断り』なんて言いたくない。

でも今都の連中は例外だ。あいつらは息をする様に嘘をついて人を騙す。


午前中に作業が進んだので午後はゆったりと時間を過ごせた。

工具を磨き、工場を掃除する。労働環境の改善である。


「顧客満足度をアップ~♪」思わず歌ってしまう。


夕方になり、店じまいを考え始めた頃にけたたましい排気音が近づいてきた。

理恵(おさる)のゴリラの音じゃない。


「おっちゃ~ん!助けて~!」


ん?理恵だ。後ろに気の弱そうな男の子が乗ったゴリラ・・・モンキー?

嫌な予感がする。嫌な予感しかしない。


顔をしかめて接客するなんて商売人として失格だ。


「いらっしゃい。えらく派手なバイクを連れて来たな…」


愛想良くしたつもりだけど、顔が引きつっているのが自分でもわかる。


「同級生やけど、バイクが壊れたんやて。おっちゃん見て~な」


理恵(おさる)の声に元気が無い。


「とりあえず動いてるな。具体的な症状を教えてくれるか?」


付いてきた男の子は泣きそうになって答えた。


「バイトして買ったんですけど買った店で見てもらうほど

調子が悪くなるんです…お金もどんどん無くなるし…出入り禁止になって」


「う~ん。おっちゃんが今まで(いじ)った訳じゃないしな~

時間がかかるで~。どうなってるかわからんし預からせてくれるか?」


これ以上の事は今の時点では言えない。


「ざっと見積もりは出すから2~3日預からしてくれるかな?」

「あ…はい。お願いします」


今日は代車を貸して帰ってもらう事にした。





平津オートは旧車メインの老舗です。

ベテランの頑固職人2人で営業しています。

戦前のバイクの修理もしています。


安井さんは長距離はアメリカンの大型バイク

近距離はカブに乗っています。

仕事は運転関係。バイクも安全運転です。

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