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大島サイクル営業中 2017年度  作者: 京丁椎
2017年7月
43/200

理恵の友達

大島サイクルでは『お断り』ではないけれど

今都の客が付かないようにしています。


フィクションです。登場する人物・団体・地名・施設等は全て架空の存在です。

実在する人物・団体・地名・施設等とは一切無関係です。

大島サイクルでは引取り修理をしていない。


大島が一人で営んでいる店なので引き取りに出ると

店が留守になる。防犯上よろしくないし、飛び込み修理の客は困ってしまう。


・・・と言う事にしてある。


実際は今都の高級住宅地の連中を相手にしたくないだけだ。

難癖着けて整備代を踏み倒されそうになってから二度と相手にしない事にした。


今都の人間が全部が全部悪いわけでは無い事は解っているつもりだ。

だが、一部の人たちが強烈過ぎた。


「おっちゃんは今都の人が嫌いなん?」

鋭い質問をするのは理恵である。

今日はゴリラに前カゴを取り付けに来た。


「一括りするのは良くない。嫌な奴が嫌なだけや。」

珍しくムスッとして大島は答えた。


「じゃあさ、私の友達を連れてきてもOK?」


「連れてきても良いけど、今都にもバイク屋はあるやろう?」


「古いバイク屋さんと嫌なバイク屋しかないもん」


「そうやったかいな?どっちにせよウチは引取り修理をやっていないし、

満足なサービスは出来ひんやろな。止めといた方が良い(ええ)んと違うか?」


「おっちゃん。ホンマは今都が嫌いやろ?」


「嫌いやな。ゴキブリとか百足の方が可愛らしいぐらいやな」


そんなやり取りが有った翌日。


「おっちゃん、来たで~」


理恵の声が聞こえたので見ると理恵のゴリラと何やら

オフロード用のバイクが見えた。ヤマハのセローである。


ちんちくりんな理恵と対照的なスラリと手足の長い女の子が

タンデムシートから降りる。クールビューティーな娘さんだ。


「いらっしゃい」


「私の友達の藤谷(ふじたに)さん。免許取りたて~」


「こんにちは。」

理恵とは違い、落ちついた娘のようだ。

冷たい嫌な目をしているのが気になる。


乗って来たセローは平津オートやTataniが相手するバイクじゃない。

ヤマハのバイクを触る店は車輪の会に無かったと思う。

だとすると志賀町辺りにあるバイク店の客か。


スタンドを降ろし降りてきたのはお姉さんだろう。

ヘルメットを外すと・・・ありゃ?お母さんか。

なんとなく嫌な雰囲気の人だな。


「おばちゃんは元々安曇河の人やって。」


「立ち話も何ですし、中へどうぞ。」


◆          ◆          ◆


「娘とツーリングするのが夢で、バイク免許を取れる高嶋高校へ

行かせたんです。」と藤樹さん(母)


親の夢を押し付けるのはいかがなものかと思うが、

高嶋高校へ行くのは悪くない。比較的自由な校風と学力に合せた

コースを選べるのでいろいろな進路に対応できる。


「それに安曇河高校は今都の子が多く行きますし・・・。」

今都の中学生は私立校や安曇河高校の進学校に行く事が多い。

安曇河高校はよく解らないが高嶋高校に対抗していた。

全クラス進学コースで学力レベルは高い。


ただし、落ちこぼれてしまうと救われない。

落ちこぼれた者を受け入れるクラスが無いのだ。

万が一落ちこぼれたらお終いで中退するしかない。

それを心配する親御さんは高嶋高校へ進学させる。


「でも、ウチは引取りはしていませんよ。修理が必要でも取りに行けませんよ。」

実質、断っているのと同じである。


ところが、

「いいですよ。ウチは軽トラもラダーも有るし。

自分で出来る所は普段は自分で直していますから。」

と藤谷さん(母)が答える。


話を聞けば、自宅にはそれなりの工具が揃っているらしい。

自分で修理が出来るプライベーターって奴だ。

それならオークションで車体を買って直せばよいと思うが。


ではなぜウチに来るのだろう?嫌な予感がする。


「お嬢ちゃんはどんなバイクが欲しいのかな?」


「理恵ちゃんみたいな小さいバイクで・・・」


(だとすればレジャーバイクか・・・)


「右足を使わないで運転できるバイク。」


「右足を使わない?」


右足を使わないで運転できるバイクを所望か・・・。


大島が代金を踏み倒されそうになった話は

そのうち出てくる予定です。


フィクションです。登場する人物・団体・地名・施設等は架空の存在です。

実在する人物・団体・地名・施設等とは一切無関係です。

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