CBR90の登録
原動機付き自転車の登録に関しては各自治体により対応や手続きに違いが有ります。
フィクションです。登場する人物・団体・地名・施設等は全て架空の存在です。
実在する人物・団体・地名・施設等とは一切無関係です。
原動機付き自転車1種の排気量を50㏄以上90㏄未満に
改造した場合は黄色ナンバーに変更。
では、250CCの軽自動二輪に90㏄のエンジンを積んで
排気量を下げた場合はどうなるのだろう。
「125㏄以上250㏄未満の軽自動二輪車のエンジンを積みかえた。
積み替えたエンジンは90㏄未満なので原付2種で登録したい。」
と言っただけなのに窓口が騒がしい。
(まったく・・・この市の職員はなっとらん・・・。)
廃棄処分するはずだった古いホンダCBRに
カブのエンジンを積んだ『狼の皮を被った羊』
ようやく完成したのだから道で走らせてみたくなった。
陸運局に問合せをしたら「市役所で登録してください。」
と言われたので市役所に来たのに。
「前例が無い。わからない。どうなってるの?」
終いには面倒になって追い払おうとしたのだろう。
「盗難車じゃないでしょうね?」と言って来た。
残念だが警察に照会して盗難車ではない事は解っている。
「あなたには私が盗人に見えるわけですね?」
こういう場合は激高するのではなく静かに聞き返す。
「いや・・・そういう訳じゃなくって・・・。」
しどろもどろになって答える市の職員。
「本庁へ行った方が早いですね?」
「はぁ・・・多分。」
(市になってから職員が腑抜けになったな)
結局、真旭にある市役所本庁まで行き手続した。
エンジンを載せ換えた経緯を書く必要は有ったが、
予想外にすんなりナンバーをくれた。
『エンジン破損。修理を試みるが、部品調達が困難。
その為他形式のエンジンに積み替え。排気量変更。
それによる登録区分の変更の為。』
現車確認は全く無かった。
やっとの事でナンバー登録出来た。
「登録も大島に頼めばよかった。」
高村は市役所を後にした。
※ ※ ※
「と言う事で、無事にナンバーを貰えたわけや。」
真新しいナンバープレートを見せながら高村社長が笑う。
「そうですか。登録出来ましたか。良かったですねえ。」
アイスコーヒーを社長に出しながら相槌を打つ。
「最近はお勉強が出来て市役所に入った連中ばかりやな。
応用が出来ん奴ばっかりで困る。そもそも職員に覇気が無い。」
「合併以降ですよね。職員の質が低下したのは。」
「安曇河町時代は元気やったけどな。合併後に変になったな。」
「で、どうでした?車体の確認とかは有りましたか?」
コーヒーを一口飲んで社長は
「全く無し。Tataniが無茶な事を出来るはずや。
あれは、そのうち問題になるで。」と答えた。
「で、社長。工場は放っておいて良いんですか?」
「あいつらは儂が居んくらいで仕事をサボったりはせん。
たまには煩い物が居んくらいの方が仕事は進む。」
「少し疲れたから休ませてくれ。」と社長が珍しい事を言ったので
休憩所のスペースを提供した。
会社ではゆっくり休めないのだろう。しばらくすると
鼾が聞こえ始めた。
少し前はカブ・モンキー等のエンジンの排気量アップは
124㏄までだったと思いますが、最近は150㏄の物がちらほら。
規制緩和?昔より登録がしやすいのでしょうか?
排気量50㏄未満が原動機付き自転車1種
排気量50㏄以上90㏄未満が原動機付き自転車2種(黄色ナンバー)
排気量90㏄以上125㏄未満が原動機付き自転車2種(桃色ナンバー)




