表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
大島サイクル営業中 2017年度  作者: 京丁椎
2017年7月
40/200

最近妙な客が多い

フィクションです。登場する人物・団体・地名・施設等は全て架空の存在です。

実在する人物・団体・地名・施設等とは一切無関係です。

今都のホームセンターが閉まって以来自転車修理の問い合わせが多い。


「取りに来い。」なら

「引取りはしていません。」でほぼ解決する。


「直しに来い。」は

「出張修理はしておりません。」と断る。


どの問い合わせにも持って来れば直すと答えるが

「どうやって持って行くんや!頭がおかしいんじゃないか?」

「持って行く運送賃を払え。」

「宅は20年も今都に住んでいるざます!」

「俺様は今都のセレブだぞ!さっさと来て土下座して謝れ!」

・・・等々。


電話対応で仕事の手が止まるのと精神的に良くないので

顧客名簿に無い番号だと出ない事にした。


何処の店にも同じような電話がかかって来るらしい。


バイク修理の問い合わせは少し減った気がする。

陸王・目黒・その他旧車と呼ばれるクラシックモーターサイクルの

平津オートさんが営業再開したからだ。

休業前と違い、店の前に

『他店で購入の方、当店での整備お断り』

と大きな看板が出してあった。

Tataniの仕事を受けて懲りたのだろう。


もうすぐ来る夏休みに備えてかバイクを買いにくる者も居る。


「宅の息子ちゃんにバイクが欲しいざます!」

と訪れたご婦人。嫌な予感がしつつ対応すると

「時速100㎞で走れて転んだりしないバイクが欲しいざます!」

と来たもんだ。


そんな速いバイクはウチでは扱ってないと丁重にお断りしたら

「今都で商売が出来ないようにしてやる!このキ〇〇い!」

と捨て台詞を吐いて帰ってしまった。


(暑さのせいか困った客が多いな・・・)


そもそも今都にもバイク店は有るのだ。セレブを相手しそうなお店が。


「何でウチみたいな安曇河の小さな店に来るかねぇ。」


「中途半端に金持ちなのを自慢したいだけですよ。」

と、モンキーのオイルを抜いている速人。


「モンキーのエンジンオイルなんて自分で交換できる」

と言う人は多いけど、自宅でのオイル交換は廃オイルをどう処分するかが問題だ。

うちでやれば回収業者に引き取ってもらう。

一応、回収費はもらうけど廃オイル処理パックの半額程度。

オイルさえ買ってもらえれば利益は出るからそれで良い。


「本当のセレブが行く店だと丁寧に扱ってもらえないそうです。」

廃オイル回収缶にオイルを捨てながら速人が答える。


「だからウチみたいな今都より格下の街の店に来る訳か。」

自分で言っておいて何だが面白く無い。


「少なくとも修理に関してはTataniより格上だと思います。」

速人はメガネレンチを拭きながら答える。


「もしかすると速人の方が整備の腕は上かもしれんぞ。」


「まさか・・・。」


「そういえばTataniの評判てどないや?聞いた事が有るか?」


「同期で買ってる奴は何人かいるみたいですけど・・・。」

あんな店で買う事が信じられない。


「音がうるさくて生徒指導に呼ばれてました。

故障が多いみたいな事は聞いた事が有ります。」


「見た目は派手やけどな。コピーバイクは信頼性がな・・・。」


「駄目なバイクなんですよね?」


「いや。駄目じゃない。手が掛かることが多いだけや。

弄るのを楽しめる人なら本物より面白いかもしれん。」


「僕はエンジンが不調で困りました。」


「通学で実用に使うのには向かん物かもしれん。

『修理が趣味です』って人にお勧めやな。」


「でっかいバイクもモンキーのコピーですか?

生徒指導と揉めてましたけど。」


「でかいバイク?マグナ50か?マグナのコピーは知らんなぁ。」


「原付2種でも大きいのが有るんですね。」


「そういえば、この前面白い改造をしてな。

同じ原付2種やけど完成したら見に行こか?」


この前のCBRが完成する頃だろう。速人だけじゃなくて

理恵も連れて行くか・・・。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ