表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
大島サイクル営業中 2017年度  作者: 京丁椎
2017年7月
39/200

CBR250入庫

「原動機付き自転車2種以上の大きなバイクは修理出来ない。」

と言っている大島ですが、珍しく250㏄のバイクを触っているようです。


少し古めのホンダCBR250.如何にも速そうです。


フィクションです。登場する人物・団体・地名・施設等は全て架空の存在です。

実在する人物・団体・地名・施設等とは一切無関係です。

「売り上げ自体は変わってね~んだよな。」

Tatani代表の他谷(たたに)は帳簿を見て呟いた。


Tataniの自称『選ばれたセレブ』はプライドの高い連中だ。

自分が店選びで失敗した事など決して他人に言わない。


もしも店の悪い評判を流せば名誉棄損と営業妨害で訴えてやれば

示談金や手打ち金で銭になる。


店を離れなかった連中は修理で入庫してきた。


これはこれで金になった


少し持ち上げて「高級車ですから・・・」と言えば

修理代に陸送代を足して更に上積みした代金を請求しても

文句も言わず金を払った。


「宅のバイクはクラシックバイクだから修理にお金がかかるざます。」

と自慢しているババァには感謝感激雨霰だ。


結果としてTataniの杜撰な整備や適当な改造の噂は広まらず、

店の評判は落ちることなく売り上げも落ちていない。


幸い、書類の無い大型・普通の自動二輪を原付登録する仕事も順調だ。

旧車会?そんな輩の400㏄のバイクを車検の無い原付2種として

代行登録する仕事もちょくちょく入っている。


(バイクは馬鹿しか乗らん。やはり馬鹿相手の商売はボロイ。)


※                ※                ※


一方、大島サイクルでは珍しく少し大きなバイクが入っていた。

(寸法は原付2種の規定で収まるな・・・。)


車輪の会(ホイラーズクラブ)の店が

古いCBRの修理を引き受けた事から話は始まる。


ある店の客がスペアエンジンを単体で買うより

車体ごと買った方が割安と部品取り車を仕入れた。

転倒歴ある程度の悪い車体で外装は傷だらけ。

処分を待つエンジンが無い車体。


それを見つけた高村ボデーの社長が、

「これに原付のエンジンを載せたら原付になるんか?」

と言い出したのだ。


「どうせなら車体と一番かけ離れたエンジンにしよう。」

と世界で最もありふれたバイクのエンジンを積むことにした。


カブのエンジンである。


「寸法取りに捨てるようなカブのエンジンを持って来てくれ。」

と高村ボデーからの電話を受け、使うあての無かったコピーエンジンを

高村社長に渡した。それから数日後。


CBRにカブのエンジンを取り付けるための

高村社長手作りのエンジンマウントが出来ていた。


「エンジンを積んでかけられる様にしたら戻してくれ。

エンジンはお前に任せる。」


・・・で、今の状況である。

(車体が大きいから90のエンジン。セル付きで行こうか。)


元々水冷250㏄エンジンが載っていた広いスペースだ。

エンジンは御手製マウントのおかげで難なく収まった。


カブの配線とCBRの配線を配線図と照らし合わせ結線する。

同じメーカーなので共通した色が多いので比較的楽だった。


大島サイクルの在庫部品で何とも出来なかったのが駆動系。


まったく違う前後のスプロケットはカブのエンジンに合せた。

リヤスプロケットに工業用の物を加工して取り付けた。

スプロケットの加工は鉄工所の旋盤でお願いした。


カブのウインカーやライト関係を仮付けして灯火類をチェック。

仮のマフラーを付けてエンジンを始動してみた。


キュルキュル・・・トトトトト・・・


レーサー然とした高剛性のフレームに不似合いな

長閑(のどか)なカブのエンジン音が響く。

指示された作業が無事に片付いたので大島の仕事はここまで。


「あ、ボデーさん。作業終わりました。はい。はい。じゃあよろしく。」


高村ボデーに電話。夕方に高村ボデーの若い衆が取りに来てくれた。


カブやモンキーの車体に排気量アップしたエンジンを

積むことはいつもやっているが、逆に大きな車体に

小さなエンジンを積むのは初めてだ。


「これは仕事で引き受けたんかな?それとも社長の遊び?」

と引き取りに来た若い衆に聞いた。


「新人の練習台っす。外装は新人が仕上げます。」


「完成したら売るんかな?」


「社長は何か考えているみたいですよ。」


そのうち車輪の会(ホイラーズクラブ)で披露されるのだろう。


楽しみだ。



大昔のモトチャンプでスズキのGSX-R(だったかな?)に

ビジネスバイクの空冷単気筒90㏄のエンジンを載せていた

のを思い出して出来たお話です。


Tataniの原付ハーレーと違い、こちらはエンジンを90㏄に載せ替えたので

問題は無いはず。実際にやったらどうなんでしょう?登録できるのかな?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ