オートマチック?
シャリ―と言うバイクにカブのエンジンを自動変速にしたものが
在ったそうです。たまにカスタム誌で出てきたりします。
フィクションです。登場する人物・団体・地名・施設等は全て架空の存在です。
実在する人物・団体・地名・施設等とは一切無関係です。
「おっちゃんの所はスクーターはやらんの?」
雑誌を見ながら理恵が聞く。
「ん?お前の友達に1台買うてもらわんかったか?」
理恵の友達はあまり店に来てくれない。
調子良く乗っているのは理恵から聞いているが、
たまに来てくれないと寂しい。
「何となくスクーターが少ないかな~と思っただけ。」
地域性からして仕方の無い面はあるのだが、確かに少ない。
大島サイクルの客は通勤・通学にそこそこの距離を走る。
道の流れも速いので50㏄のスクーターは辛いのだ。
「整備はするけど改造はせんで」
「ふ~ん。じゃ、私のみたいに黄色ナンバーで60㎞/で走れる様には?」
「昔は出来たけど止めた。」
以前は50㏄でも書類を出せば原付2種登録は出来た。
ところが、排気ガス規制後に厳しくなった。
4ストロークの50㏄スクーターを2種登録したスクーターが
遅いのに自動二輪と同じように走って交通の妨げになったらしい。
今ではシリンダーを確認されるようになった。
刻印が50㏄だと原付1種に登録やり直しになるらしい。
「同じバイクで余分に税金を納めてもらえてこちらとしては
歓迎しますけど・・・。」
と、言いつつ登録してくれた頃が懐かしい。
最近のスクーターは排気量アップできない構造だ。
昔の様にシリンダーとピストンだけを換える事が出来ない。
クランクケースとシリンダーが一体になっているからだ。
排気量アップとなればクランクケースも分解して・・・
そこまでやるならもう少し大きなスクーターを買う方がマシ。
「それにな、タイヤも車体も小さいから長距離は辛いんや。
高嶋高校まで通う学生がメインのうちではカブが多くなるな。」
これが一番の理由である。
「でも、私のゴリラは何とも無いで。」
「根本的にスクーターとゴリラは違う気がするな。
同じ原付やけどニーグリップ出来るしな。」
「どっちにしろ私はゴリラしか乗れへんわ。
カブは足が着かんもん。」
理恵はゴリラでも踵が浮く身長で、
モンキーだと踵は地面にべったり着く。
カブに乗ると爪先立ちになる。
「まぁ大きなったら乗れるやろう。
でも、何でスクーターの事なんか聞くんや?ゴリラでは不満か?遅いか?」
「ん~。オートマがあったら楽かなぁって。」
「カブやモンキーには無かったけど、オートマはあったで。」
「在った?今は無いん?」
「シャリィ―やったかな?お買い物に使うソフトバイクって奴に
自動変速の奴が在ったらしい。見た事無いけど。」
「それのエンジンを積んだらオートマ?」
「らしいな。たまに雑誌で出てくる事が有るな。」
「ふーん。何で無くなったんかな~?」
理恵はバイクの機械的な事は解らない。乗るだけだ。
だからであろうか、突拍子もない事を言うので驚いてしまう。
(自由な発想の中に真理があるのかもしれんな。)
理恵を見ているとそう思うのだった。
昔は2ストロークエンジンの全盛期で標準グレードでも6馬力以上ありました。
オバちゃんが買い物に使うスクーターでも理恵の乗る75㏄ゴリラより
速かったのです(理恵のゴリラは6馬力少々)
4ストロークエンジンのカブ系=燃費が良いけど遅いイメージがありました。
今の技術でカブ系のオートマ車を作れば売れそうな気はします。
そんな事を思っているうちにモンキーが生産終了です。寂しいですね。




