理恵の恋④
葛城は可愛い物好きです。
※この作品はフィクションであり、登場する人物・地名・施設・団体等は架空の存在です。
実在する人物・地名・施設・団体等とは一切関係ありません
スマホを確認した葛城さんは
意を決して告白した理恵に笑顔で返事をした。
「いいよ。何処に行くの?買い物?バイクイベント?
今度の日曜に浜大津でイベントが有るの。一緒に行く?」
予想外の天然ボケ返しである。
「葛城さん。そうじゃ無くて、理恵は恋人になってくださいって
意味で付き合って欲しいて言うてるんですよ。」
「ゴメンなさい。そういう意味だとは思わなくて。でも無理。」
困ってはるな。当たり前か。
(子供相手に一刀両断せんでも良かろうに・・・。)
理恵はボロボロと泣き始めた。
「・・・私が子供だからですか?」
「そうじゃなくて・・・え~っと・・・どう言えばよいのかな?」
「はっきり言ってください・・・。」
(頼む。この状況を何とかしてくれ。)
「私、・・・女性です・・・。」
「「へ?」」
葛城さんが言うには
「背の高い家系ですし、男性用の服しかサイズが合いませんから・・・
仕事柄髪の毛を伸ばせませんし・・・よく間違えられるんです。」
「兄もバイクに乗っていたんでウェアとか貰って着ていたんです。」
「声がハスキーなのは自覚しているのですが・・・。」
そういえば学生時代に女子にモテる女子が居たなとか
そういえばこんなキャラが出てくるゲームが在ったなと思いながら聞いた。
理恵はポケーとしている。声をかけても反応が無い。
へんじがない・・・たましいがぬけているようだ。
とんでもない間違いをしていた。客商売として最悪だ。
「いろいろと御苦労をされたのでしょうね。大変ですね。」
思考がまとまらない。
「お付き合いは出来ませんけど、友達にはなってほしいな。
理恵ちゃん。電話番号を交換しない?」
「します~。」
徐々に魂が戻って来たらしい。
「今度の日曜日にバイクのイベントに行かない?多分楽しいよ。」
「行きます~。」
「速人も誘ったらどうかな?たまには遠出も良いぞ。」
「誘う~。」
「4人で出かけるとなればインカムが欲しい所ですね。」
「インカムか・・・持っている所は在ったかな?」
大島はソロツーリングがメインなので持っていないのだ。
理恵と速人は通学ライダーなので持っていない。
(どこか持っている所に貸してもらうか・・・)
「白バイ用を借りるんですか?」
理恵・・・お前、まだ呆けているのか?
「装備を使用に使うことは出来ませんね。兄の伝手で借ります。
多分、まだ持っているとは思うんですけどね。」
「ウチの方でも当たっておきます。無ければ大声でいきましょう。」
こうして、理恵は失恋したが、イベント見物を兼ねたツーリングをする事が決まった。
翌日、速人が店に来てくれた。
理恵から事の顛末を聞いて必死になって笑いを堪えたらしい。
「も~~~!って言ってましたw」らしい。
出掛けるのは大丈夫らしい。これで4人だ。
インカムは知り合いに声をかけてみたら中古が買えた。
オークションに流すより手間が掛からないと格安で売ってくれた。
見てくれはイマイチだが使えればOKだ。
「何だか白バイみたいですね。」
「白バイはもう少し強い(電波)らしいけどな。
マイクテスト・マイクテスト。聞こえますか?」
「はい聞こえます。こちらの声は聞こえますか。」
「はいOK。あとは女子2人やな。」
「パワーチェックとか大規模なイベントみたいですね。
僕のモンキーもチェックしてもらおうかな?」
残念だが、速人のモンキーは自慢するほどパワーは無い。
「その辺りはもう一人の女の子が手配してくれるから任せてる。
天気は大丈夫みたいやし、ツーリングを楽しもう。」
今回は保護者の役目がある。万全の態勢で準備しなければいけない。
葛城は小さい物好きでもあります。
理恵をナデナデしたいのを我慢しているらしい。




