ノーマル風カスタム
大島サイクルの中古エンジンはパッキン交換してあります。
分解・清掃して点検・タペット調整済みです。
※この物語はフィクションです。実在する人物・団体とは関係ありません。
ホンダモンキーはシンプルで弄りやすいバイクだ。
一昔前はフレームとクランクケースが在れば1台組めると言われたが
今は社外品のフレーム・エンジンが有るのでホンダの部品を使わず
1台組む事が出来る。
「はぁ。うちの店では取り扱ってまへんな。」
近頃純正で無いエンジンについての問い合わせが多い。
エンジンの構造はほぼ一緒だが細かな所に違いがある。
メーカーによってはガスケットの供給が無い所もある。
交換必須の物が無ければ組み立ては出来ない。
故障したら分解して組み直すよりエンジン丸ごと交換した方が
安上がりな事も多いようだ。
150ccの排気量で自動車専用道路を走る事が出来る。
モンキーの車体で高速道路を走るのはどうかと思うが
国道161号線バイパスを走る事が出来るのは魅力的だ。
今日のお客は近所の婆ちゃん。エンジンからのオイル漏れが激しい。
ぶつけたらしくクランクケースに亀裂が入っている。
「婆ちゃんよ。エンジンが割れてるわ。直す?中古にする?」
大体こんな場合の返事は解っている。中古に載せ替えだろう。
婆ちゃんは「安い中古ないか?早よう直してほしいんや」
と泣きそうになって答えた。お年寄りにとってカブは大事な足なのだ。
「ギヤが少ないけどセル付きがあるで。割れたエンジン下取りして8000円。」
年寄りに大事なのは4速ミッションよりセルなのだ。
常にセル付き3速のエンジンを用意してある。
午前中に預かれば夕方には渡せるので好評だ。儲けは少ないけど。
閉店後、下取りしたセル付き4速のエンジンを分解してミッションを取り出す。
カブ70の中古エンジンと組み合わせて4速の72ccエンジンを作るのだ。
カブ70の部品は50ccの物より強化されていることが多い。
太いコンロッド・大きなサイズのベアリング・大容量オイルポンプ。
50用よりバルブ・ポートが大きなシリンダーヘッド。
これにボーリング済みのシリンダーを組み付ける。
ピストンは純正オーバーサイズをつかって75ccだ。
カブに積む場合はカブ70・90のキャブレター
モンキーに積む場合は他車純正のキャブレターを使う。
ついでに遠心クラッチをカブ90用にしてある。
うちの店で弄ったエンジンは手間をかけた割に外見は全く変わらない。
弄ってあるのはプロなら一目見れば解るはずだ。
だが、今都のバイク店にはノーマルとしか見えなかったらしい。
理恵は何故ノーマルと言われたのだろう。
婆ちゃんは80歳を超えています。
2速入れっぱなしで走らせるのでFスプロケを1T小さくしてあります。
理恵のゴリラはカブ70のエンジンにカブ50カスタムのミッションを組んだ
通学仕様です。遠心クラッチとオイルポンプはカブ90の物を使用しています。
細々としたところに流用部品と社外品を使っています。
外見はリヤサスを変えたごく普通のゴリラです。