理恵の恋①
運動神経が良いのに理恵は帰宅部です。
気が向くと大島サイクルに現れます。
※交通ルールを守って安全運転。マナーを守って楽しいバイクライフ
大島サイクルのからのお願いです。
※この作品はフィクションであり、登場する人物・地名・施設・団体等は架空の存在です。
実在する人物・地名・施設・団体等とは一切関係ありません
走り屋のメッカ県道304号線。通称湖周道路
「にゃ~しつこい~。」
背後にミニバイクが張りついて離れない。
メーターは振り切っているが車体はまだ加速する。
だが振り切れない。ミラーからミニバイクの姿が消える。
ミニバイクは私を追い抜いて行った。
まるで狂おしく身を捩る様に・・・・
「これは・・・アカンやろ?」
理恵が考えた小説のあらすじを見た大島が言った。
「女の子とバイクの組み合わせは悪くない。走り屋に注目するのも
解らんではない。でもこれは駄目!」
「なんで~?女の子とバイク。公道最速を目指すライダーの話。
絶対売れる組み合わせじゃないの?」
「あのなぁ・・・狂おしく身を捩る・・・昔あったぞ。漫画で。
このミニバイクが『悪魔のZ50』とかになるんと違うんか?
『地獄のチューナー』とか出すんと違うやろな?」
「な・・・何で解るん?おっちゃんエスパー伊東なん?」
「伊東は要らん。エスパーだけで良い。とにかく訴えられるからアカン!
それに公道最速って何やねん。危ないがな。」
大島はどこかにメールを送信して続けた。
「公道で危ない事は駄目。それだけは解ってくれな。」
「このあと高村ボデーさんでフレームの補強・・・」
「それもアカン!」
「じゃあ、壊れ物を山道を通って配達する話は?」
「駄目だねぇ。」
・・・・そんな事が有ったのだ。
(大島のオッチャンは『小説を読もう』を見なさいってか・・・。)
そんな事を考えていると信号が近付いてきた。
赤信号で停まっているとカブが止まっていた。
(スーパーカブの小説は最近出たんだよね。ゴリラで小説を作りたいな。)
理恵はカブの後ろに付いて止まった。
信号は変わったがカブは発進しない。
理恵は青信号で発進しないカブに苛立って追い越した。
(何人たりとも私の前は走らせない・・・ってのは駄目かな?)
追い抜いたカブが走り出した。ミラー越しに姿が大きくなる。
(追いかけて来てる?もしかして変質者?)
以前しつこく付きまとわれて必死に逃げた事が有る。
あの時はバイク屋の勧誘だったが今度は違うかもしれない。
アクセルを全開にした。
1・2・3速と加速して4速に入れた。4速は加速が鈍い。
メーターの針は振り切っている。正確な速度は解らない。
それでも走り続けると、徐々にカブの姿は小さくなった。
(振り切った・・・。)
理恵は安堵した。
大島は読書家です。以前は文学作品も読んでいましたが
この数年は漫画誌・ライトノベルなどを読んでいます。
「最近目が疲れるようになった。歳かな?」
と言いつつ楽しんで読んでいる・・・という設定。




