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大島サイクル営業中 2017年度  作者: 京丁椎
2018年 3月
200/200

2017年度最終営業日

フィクションです。登場する人物・団体・地名・施設等は全て架空の存在です。

実在する人物・団体・地名・施設等とは一切無関係です。

早起きして朝食を済ませたリツコさんがふんわりメイクをしている。

通称タイプ3。童顔がみるみるうちに『キレイなお姉さん』へと変化する。


「よし、出来たっと。カメラもOK!中さん、早く!」

「三脚が要るやろ?慌てない慌てない」


三脚にカメラをセットしている間にリツコさんがゼファーとリトルカブを出して来る。


「俺のゴリラも出すからちょっと待ってや」

倉庫から久しぶりにゴリラを引っ張り出して2台の横に並べた。


「中さんはもうちょっと横…うん、そこで。行くよ~っ!」

俺の腕にリツコさんが抱きついたところでシャッターが下りた。


パシャリッ!


「もう1枚撮ろっ!」


今度は横に並んでパシャリ。どちらの画像もリツコさんは良い笑顔だ。


「じゃあ、行ってきます」

「今日は昼までやったな。行ってらっしゃい」


2018年。リツコさんのアルバムに数枚の写真が追加された。


今日は2017年度最終営業日。とは言え普段と変わる事は無い。

藤樹商店街はのんびりと動き出し、俺も店のシャッターを開けてコンプレッサーの電源を入れる。


午前中はコーヒーを飲みながら下取りしたバイクやスクーターをチェック。

バイク回収業者に知り合いがいると割安で仕入れできるのが良い。

2017年度はモンキーが生産終了・スーパーカブモデルチェンジと話題が多かった。

モンキーの中古部品が高騰。中国製部品の台頭で4miniと呼ばれるホンダのミニバイクは

レストアではなく、部品交換がメインになってしまった気がする。


もうシリンダーボーリングや穴の開いたタンクをハンダで直すなんて時代遅れかも知れない。いや、とっくに時代遅れだろう。流用していたキャブレターや細かな部品など生産終了・ご相談部品となったものが多い。供給されている純正部品も値上がりしている。


そんな厳しい世の中だけど、俺は小さなバイクが大好きだ。速いバイク・立派なバイクは数あれど、モンキー・ゴリラ・スーパーカブみたいに人を笑顔にするバイクは少ないと思う…なんて言うと言い過ぎか?


ちょっと違うバイクだけど、ホッパー改90を店先に出す。

うん。思った通りヘンテコなバイクだ。良く目立つ。もしかすると売れるかも知れない。


値段は15万円。ウチの商品にしては高値やけど、装備は良いからな…


新しく積んだエンジンが鈍く光っている。


「あの…すいません。このバイクって何ですか?」


見かけない顔の女の子。新しいお客さんがホッパーを見て話かけて来た。


「これはホッパーって言うバイクをおっちゃんが修理してな…」

「今度高嶋高校へ通うんですけど、私でも乗れますか?」


「もちろん。お嬢ちゃん、コーヒー飲むか?」

「はい、免許はこれから取る予定なんですけど…」



ここは琵琶湖の西側にある小さな田舎町、安曇河町。


電車は30分に1本。バスは本数も路線も少ない。

面積は広いから自転車で移動するのは大変な土地だ。


もしも移動手段が欲しいなら商店街の片隅にある小さな店へ行ってごらん。


一見気難しそうなおっさん店主が小さなバイクを弄っている。

コーヒーが出てきたら欲しいバイクの事を話してみよう。

え?自転車とカブしか置いてないって?そりゃ、小さい店やからね。


大島サイクルはホンダの横型エンジンを得意とするお店。

欲しいバイクがおっさんの得意な車種じゃ無くても大丈夫。

知り合いの店を紹介してくれるはず。


おっさんの得意車種だったら質問攻めに会うはずだ。

この言葉が出てきたら質問がスタートする。


「予算はどれだけや?どんな風に使う?…条件を聞こうか…」



2018年度へ続く。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 2017年度が完結していること。 もちろん次の2018年度も読みますが区切りをつけるのは大切。 [一言] 次年度も読みます!
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