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大島サイクル営業中 2017年度  作者: 京丁椎
2018年 2月
183/200

大島・パンを買いに行く

フィクションです。登場する人物・団体・地名・施設等は全て架空の存在です。

実在する人物・団体・地名・施設等とは一切無関係です。

「さてと…あとはバゲットやな…フランスパンとどう違うんや?」


リツコさんのリクエストのシチューと食べるパンを買いに…と理由を付けて

軽バンをパン・ゴールへ走らせる。


「いらっしゃいませ~」

華奢な見た目・小柄な可愛らしい…えらくスリムな…女の子…か?

顔からすると20代前半と言ったところだろうか?葛城さんより少し年下だろう。


「あの…何か私の顔に着いてますか?」

ジックリ見過ぎて変に思われてしまった。


「大島君、うちの看板店員に手を出したらアカンで~」


おっちゃんに言われたけどどうも違和感がある。女の子…か?まぁええわ。

夕食のバゲットを買うついでに玉ねぎの乗った『サラダパン』マカロニ入りの『ウエスタン』

更に定番のカレーパンやアンパンを買っておく。冷凍保存して食べる時にオーブンで焼けば

いつでも美味しいパンが食えるのだ。特にサラダパンとウエスタンは表面がカリッとして

焼きたてのふんわりした感じと又違った味わいが在る。


余談だがなぜマカロニ入りのパンが『ウエスタン』なのかと言うと、『マカロニウエスタン』が由来だとか。これは作った本人から聞いた事だから間違いない。


おっちゃんは俺のオヤジと同期だとか。体調を崩す事も多いみたいだけど

無理しない程度でこれからもパンを作ってほしいものだ。


葛城さんが気になっている子は可愛らしい。葛城さんとお似合いだと思う。


     ◆      ◆     ◆


以前は店で昼飯を食べていたけれど、最近は正午から午後1時までは昼休憩として店は閉めている。夕食の買い物や炊事洗濯に時間が掛かるからだ。1人暮らしの時は適当に済ませていた食事だが、リツコさんにそんな食生活を押し付ける訳には行かない。買い物を済ませて時間が許す限りは夕食の準備をする。


今日は可燃物を扱う作業はしない。ストーブを出して上に鍋を乗せる。店番をしながらシチューを煮込む。今日はくりームシチューだ。我が家のシチューは具が大き目だ。焦げ付かない様に、煮崩れない様にジックリ火を通すのはこれが一番…かどうかはわからない。店に居ながら料理が出来るので重宝している。


店番をしながらご近所の奥様方と世間話をする。


「中ちゃん…オバちゃんが言うのもアレやけど…」

「何?何か悪い事したんか?騒がしかった?」


リツコさんが来てから我が家は賑やかになった。葛城さんも泊まりに来るし

お酒を呑んだ2人が騒ぐことも多い。少し騒がしすぎたのかもしれない。


「女の子を何人も連れ込まん方が良いと思うで…」

「2人やん」


「全部で3人いるやろ?遊び過ぎと違うかなぁ…」

「?」


心当たりが無い。下宿しているリツコさんと遊びに来る葛城さん以外は出入りしていない。


「色っぽい娘さんと、清楚な娘さん。若い娘さんの3人来るやんか」

「ん?3人…3人…あ、それ、全部同じ()や」


     ◆     ◆     ◆     ◆


「…という事で、おばちゃんはウチに3人の女の子が出入りして俺が女遊びを覚えたと

 思って注意して来た訳や。リツコさんは化粧で変わり過ぎや。別人と思われてるで」

「シチューおかわり♪」


中さんがぼやくのも無理は無いと思う。自分で言うのも何だけど私はメイクで変わる。


「眼元の黒子が無かったら同一人物って信じてもらえへんで」

「バゲットはまだ有ったよね?」


リクエストしたとはいえクリームシチューとは嬉しい誤算。

ビーフシチューと違ってクリーミーな優しいお味♡


「3人の女の子と付き合ってると思えば?3人の美女とハーレムよ♡」

「理恵の書く小説じゃあるまいし」


「中さんは、どの私が好き?」

「素材の味を生かした薄化粧やな…一番きれいやと思う」

今度は薄化粧で迫るか…それより聞かなきゃいけない事があるんだった。


「晶ちゃんの気になるのはどんな子だったの?」

「ん~何とも微妙な感じで…何て言ったらよいのやら」

微妙って何だろう?


「微妙って何?中さんの眼から見て変な所があるの?」


腕を組んでう~んとか言ってるけどどんな理由があるんだろう?

「フレーム…骨格が女の子では無い気がする」

「フレーム?骨格なんか解るの?」


「足の付け根…骨盤周りに違和感がある」


中さん曰く私や晶ちゃんは骨盤の造りが男と違うんだって。

男が閉断面のトラックみたいなフレームだとすると、私たち女性は

路面の衝撃を変形しながら受け流すしなやかなフレーム…例えがわかりにくい!


「どっちにしろ、付き合ったらお似合いになりそうやな」

「よく解んないけど…」


結局、私たちは『静かに見守る』と結論を出したのだった。


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