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大島サイクル営業中 2017年度  作者: 京丁椎
2018年 2月
180/200

リツコ・再挑戦する

フィクションです。登場する人物・団体・地名・施設等は全て架空の存在です。

実在する人物・団体・地名・施設等とは一切無関係です。

バレンタインデーを3日後に控えてリツコは再びチョコ作りに挑戦した。


「もうね、自分の料理下手が身に染みたから簡単なのにする」

「今度は味見してから渡そうね」


試作品は凝った物にして大失敗した。本番は簡単な失敗しない物にする。

2人で相談して溶かしたチョコに砕いたナッツやクッキーを混ぜて固める

シンプルな物を作ることにした。


形も凝った物にせず冷えて固まったら適当に割って袋に入れるだけ。


「リボンくらいは付けよっかな?」

余りに飾り気がなく寂しかったのでリボンを蝶結びにして付けた。


それから3日。バレンタインデーで心躍ったのは遠い昔の事と

あたるは今日もバイクを整備していた。今日は本屋のスーパーカブだ。

オイル漏れにオイル喰い。走行距離も4万キロを超えている。

エンジンの中はスラッジが溜まっているだろう。ここまでになると

分解するよりリビルドしたエンジンに積み替えた方が早い。


仕事で使うので昼までに何とかと言われ急いで積み換えたのだが

作業を急ぐ分、体力と集中力が必要になる。


チェーンとスプロケットも換えた方が良いけど今回は調整して応急処置しておく。

フロントのスプロケットはすぐに交換できるので中古のマシなのに換えた。


(この数年、急ぎの仕事は辛いなぁ。でもまだ老け込むわけにはいかん)

なんとか本屋のオヤジが来るまでに近所を一回りして最終チェックをする。

白煙無し・匂い良し・異音無し・漏れ無し。


割れているレッグシールドに小さな穴を開けてナイロンバンドで固定して完成。

外見はボロだけれどまだまだ走れる。最近はボロい外観を善しとする流れもある。

とは言えオイル喰いで走れなくなっては駄目だろう。カブは走って何ぼだ。


「大島はん、バイク出来ましたか?」

修理を終えた充実感を味わっていたら本屋のオヤジが来た。


「出来たで。でもチェーンとスプロケットが交換時期やね」

「それはまた次に時間作りますし、その時頼みますわ」


代金を受け取ってカブを渡す。去って行くカブの音はずい分静かになっていた。


     ◆     ◆     ◆


リツコは家事を終えてコタツで寝転んでテレビを見ていたあたる

ピンクのリボンが付いたチョコの袋を渡した。


「ありがとう。この歳でチョコを貰うとは思わんかったわ」

「そう?」


袋からチョコを出してボリボリとチョコを食べていた中の動きが止まった。


「はい、良く出来ました」


頭をナデナデしようと伸ばしたあたるの手が空を切った。


「ギュッとして撫でれ…」

リツコは中の胸に顔をうずめて甘えた。




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