大島・リツコを観察する
フィクションです。登場する人物・団体・地名・施設等は全て架空の存在です。
実在する人物・団体・地名・施設等とは一切無関係です。
リツコさんとの暮らして数か月が経った。最初は戸惑うことが多かったが
最近は慣れたのか観察する余裕が出て来た。
彼女は30歳。スッピンで居ると高校生くらいに見える童顔だが、化粧をすると
30歳…にしても少し若い様に見える。年上に弱いお年頃の男子高校生から見ると
素敵なお姉さんに見えるかもしれない。
最初はきつそうなお姉さんと言った感じだったが、中身は子供っぽい。
晩御飯で好物が出ると大喜びをしている。好き嫌いは今のところ見当たらない。
何でも美味しそうにモリモリと食べる。いっぱい食べる彼女が好きみたいな事を
歌った歌もあったみたいだが、何となくわかる気がする。
食べ方は綺麗だ。箸の持ち方・使い方も美しくて一緒に食べていて不快ではない。
お酒は強い。強いが限界を超えると一気に泥酔する。
最初に泊めた時は大暴れ。その後、俺の御稲荷さんを掴んだりした。要注意だ。
気を抜いた時に少しだけ酒量が少なくても酔っているように思う。
好きなお酒はビールらしい。苦みが強く力強い味のビールを好む。ラガーが好き?
食べたり飲んだりは好きだが料理は苦手。危なっかしくて包丁は持たせられない。
料理は一度教えたが一生かかっても無理な気がする。子供と変わらない。
1人の時は外食かコンビニ弁当だったとか。今は弁当を持たせている。
残さず食べてくれている。不満は無いのだろうか?
早くに親父さんを亡くしているせいか、妙に懐いてくる。ファザコン?
よく布団に入ってくる。猫みたいだ。今の時期は温かくて良い。
特に酔った時によく布団へ入ってくる。裸になったりするので困る。
俺も男だ。理性が働いているうちに何とか改善してもらいたい。
服をたくさん持っている様だ。コスプレを良くする。
高嶋高校の制服を着た時は本当に高校生だと思った。卒業生の伝手で入手したとか。
殆どの衣装はお母さんにもらったそうだ。スリットが入った物が多い。
腰を痛めたときにマッサージをしてもらった。その時はチャイナドレスだった。
モトコンポに乗る時は警察官のコスプレ。何処で手に入れたんだ?
バイクは上手に乗るが4輪は苦手らしい。先日軽自動車を処分した。
ボコボコで値段がつかないくらいだったから運転は下手だ。相性が悪いのかな?
メカの事はあまり解らないが、バッテリーの充電くらいは出来る。
彼氏が居た事は無いみたいだ。お尻や裸は大人になってから見せたのは
俺だけだと言われた。倉庫の主のエンジンを掛けた時に俺にしたのが
ファーストキスだったとか。年齢の割におぼこっぽい所が有る。
手を出したりしたら責任を取らんとアカンかもしれん。出す気は無いけど。
顔立ちは整っていて可愛らしい。眼元の黒子が色っぽい。スタイルも良い。
化粧をすると色っぽいお姉さん。素っぴんだと美少女。変化が凄い。
世の男は何故彼女を放っておいたのだろう?何時でも相手は見つかると思う。
先日、少しだけだが酔っていて、彼女の挑発とも取れるキスに対抗してしまった。
あれは大人気なかった。子供の悪戯…子供ではないな。
仔猫の悪戯…これも違う。化粧で化けたりするから30歳の化け猫だ。猫又だな。
で、そんなリツコさんがいつの間にか俺の布団に潜り込んで寝ているのだが
これはどうすればよいのだろう?このまま一緒に寝ていればよいのだろうか?
起こして自分の部屋へ戻るように言った方が良いのだろうか?
時刻は4時を少し過ぎたところだ。余計な事を考えるのはよそう。
今起きると昼間に眠い。もう少し眠ろう…
◆ ◆ ◆
「ごめん!寝過ごした!お弁当が手抜きや!」
「行ってきます!ああっ!今からだと電車に間に合わないっ!」
二度寝した俺は寝過ごした。
フォンッ…クォォォォォンッ…クゥォォォォォォォ…
脚が見えるのも気にせず、リツコさんはゼファーに乗ってかっ飛んで行った。