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大島サイクル営業中 2017年度  作者: 京丁椎
2018年 1月
152/200

2018年正月

フィクションです。登場する人物・団体・地名・施設等は全て架空の存在です。

実在する人物・団体・地名・施設等とは一切関係ありません。

(この柔らかな感触・・・そして頬ずり・・・磯部さん?)

大島は柔らかな感触で目を覚ました。時刻は朝の6時前。


寝惚けた磯部が抱き枕の如く大島を抱きしめていたのだった。


(酒臭いっ!スリスリと頬ずりして・・・ネコか?)


夢を見ているのだろうか。何やら寝言を言っている。


「おとうしゃん・・・」


(楽しそうな寝顔してからに・・・親父さんの夢か・・・)


大島はそっと磯部を寝かし直して台所へ向かう。


「雑煮は餅を入れるだけ。御屠蘇は準備万端・・・」


冷蔵庫から栗きんとんと数の子・黒豆を出してコタツの上へ。

大島が正月の食卓を準備している間、磯部は夢を見ていた。


「リツコ。危ないから離れなさい」

「やだ~お父さんのラジコン見てる~」


「仕方が無いな。しっかり掴まってぇよ」

「わ~い。お父さん大好き~」



「お父さん・・・あれ?夢か」


大島の起床から遅れる事約2時間。リツコは目を覚ました。

身支度をして居間へ向かうと大島が雑煮と御屠蘇を準備して待っていた。


「あけましておめでとう。ニューイヤー駅伝、スタートしてるで」

「あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いします」


新年の挨拶もそこそこに御屠蘇を呑む。


「ああ・・・大吟醸独特のフルーティな香りが私を惑わせる」

「磯部さん。御屠蘇は湯呑みで呑むもんと違うで」


「お雑煮なんて久しぶり。お餅大好き」

「たんとお食べ」


実は大島も正月らしい料理は久しぶりだった。

(一人だと面倒やからな)


磯部の酒は進む。雑煮で呑み、数の子で呑み、栗きんとんでも呑む。


「中さん。こんなに酔わせてどうするつもり?」

「自分から呑んでおいて何言ってるの?」


あっという間に栗きんとんの栗と大吟醸は無くなった。

「芋だけになってしもた。あれをやるか」


栗の無くなった栗きんとんに溶かしバターを混ぜて容器に入れる。

表面に溶き卵を塗ってオーブンで焼くと家中に甘い香りが広がった。


「中さん・・・先月から無いの・・・」

「吟醸酒?純米酒?焼酎?」


「甘い物で呑むならウイスキーでしょ?この前から無いの」

「お菓子用のリキュールまで呑むから隠しました。梅酒でも呑んでなさい」


「や~んウイスキー呑むの~」

「梅酒の梅でも齧って待ってなさい。出して来るから」


まったく・・・呑み過ぎや。


「これは高いから大事に呑まんとアカンで」

「うん。味わって呑む」


磯部さんはスイートポテトを肴にウイスキーを呑んで楽しそうだ。

余程機嫌が良いのだろう。歌まで歌い始めた。


「近江~今都の~名物は~♪」


ずいぶん古い歌だ。続きはこんな感じだったかな?


「そ~れ~が~今都~の~♪」


「中さん。一行抜けてるよっ!」

「そうやったかいな?うろ覚えやからなぁ」


どうやら違ったらしい。年々記憶力が悪くなるのが悲しい。


「「過去の~遺物~と、誇り~だ~け~♪」」


2人で食べて呑んで、時々歌っての正月も悪くない。


「うえへへ~中さん。楽しいね~」

「うん。楽しいな。1人よりも楽しいな」


朝は雑煮、昼は呑みながらハムや刺身等を食べたせいだろう。


「晩御飯はお茶漬けでサラッといきたいな」

随分あっさりした物をリクエストされた。


梅干入りのおにぎりを焼いて刻み海苔とワサビを乗せる。そこへ熱い緑茶を注ぐ。


「はい、焼きおにぎりの茶漬け」

「器用に作るね~。う~ん。このお焦げが何ともうれしい不意打ち」


新年初日は二人とも酔っぱらったので早めに寝た。


呑み過ぎたせいだろうか。変な夢を見た。


磯部さんが俺のゴリラに乗って湖岸道路を走っている。

何処へ行くのかは解らないけど楽しそうだ。


磯部さんの後には見慣れたバイク達。速人・理恵・綾ちゃん・佐藤君・葛城さん・・・

轟さんに木原さん・・・おおっ安井さんまで居る。


(凄いな。大編隊やないか。何の集まりやろうな)


・・・・気が付けば朝。今日も一日が始まる。



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