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大島サイクル営業中 2017年度  作者: 京丁椎
12月
136/200

大島・3段ギヤを観察する

フィクションです。登場する人物・団体・地名・施設等は全て架空の存在です。

実在する人物・団体・地名・施設等とは一切無関係です。

スーパーカブのミッションは大きく分けて2種類。3速と4速だ。


大島の知る限りでもカブの4速ミッションと言えば80年代の燃費競走で生まれた

エコノミードライブ・お馴染み角ライトのカブ50カスタム・リトルカブセル付き。


世の中の猛者はCD50の部品を使ったりタイカブやCD90のギヤを組み合わせて

ギヤ比を換えて好みの走りを追求したりしている。


3速ミッションのカブを4速に改造する例はインターネットでも良くある。

4速ミッションのギヤ比を弄る例も結構ある。


では、3速ミッションのギヤ比を弄る者は居ないのか…


急坂を上る為・荷物を積んだ状態で発進を考えて設計されたスーパーカブの

ミッションは乗用車的な乗り方をすると少し都合が悪い。


1速がすぐに吹け切って2速に入れる。2速で少し引っ張ってから3速で巡航。

あとは殆ど3速で走る。信号待ちで止まって3速から1速に入れて発進。

大概そんな感じで乗っているのではなかろうか?


大島はモンキー・ゴリラの遠心クラッチ車に4速ギヤを組んでいる。

加速の繋がり・走りの楽しさ・燃費・・・理由は色々あるが


「カブは3速と2速が離れすぎなんやな、それでも普通に走るけんど…」


粘りのあるエンジンに助けられて妙なギヤ比でも普通に走るスーパーカブ。

だが、高嶋市に多い微妙な上り坂では3速で失速してしまう。ところが

シフトダウンして2速で走るとエンジン回転が上がり過ぎる。


まぁその辺りを改善する為の4速だが、問題は費用だ。

新品部品で組めば間違いは無いけれど、それでは部品代が掛かり過ぎて儲けが出ない。

部品取りでカスタム50やリトルカブセル付きのエンジン丸ごと仕入れているが

これも最近は値上がり傾向にある、程度が良ければ2万円を超える。


カブ90の1速とカブ50の2・3速ギヤを組み合わせてと考えるが

あまり意味が無いようにも思える。


「1速が少しハイギヤになって2速を3速に近寄せることは出来んかな?」


実験にカブ70のエンジンにカブ90のギヤを組んだ事が有る。

発進の慌ただしさは緩和され、巡航時のエンジン回転は少し下がった。

乗っている客は何も言わないので不満は無いのだろう。


『3速から2速にシフトダウンしたらエンジンブレーキでビックリした』

カブあるあるとして語り継がれるエピソードの1つだ。

そんな話もカブ乗りにとっては笑い話だ。幸いここは安曇河町。

カブの2速と3速が離れている事をメーカーへクレームを入れる奴は居ない。


(プロが設計した物を素人がどうこう出来るもんじゃないな)


大島はジャンク箱とサービスマニュアルを片付けて作業に戻った。

冬休みに免許を取りに行く学生がいるだろう。何台か中古車を作る予定だ。

今年はインフルエンザで寝込んでしまった分、予定が遅れている。


「さて、在庫を整備しておくか」

大島は腕まくりをして倉庫へ向かった。



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