△とウインカーブザー③
スーパーカブは中古部品を使っての修理も承っております。
※この作品はフィクションであり、登場する人物・地名・施設・団体等は架空の存在です。
実在する人物・地名・施設・団体等とは一切関係ありません
調子が悪そうなスーパーカブと共に青年が現れた。
随分頑丈そうなヘルメットを被っている。
ヘルメットの値段は守る物の値段だと言われるが
男前な顔を守るためなら安くないのだろう。
レッグシールドを外しエンジンをかけてみる。
タペット音が大きいが異音は無い。
たまにアイドリングが不安定になる・・・プラグコードから
火花が見えた。リークだ。
「えーっと、お客さんのお名前は?」
「葛城です。葛城 晶です。」
「葛城さんね。ここのコードから電気が漏れてプラグに行かへんのです。
コードを変えたら直ります。在庫で新品と中古が在りますけど
どうしましょう?」
少し考えて
「直ぐに買えられるなら。新品でお願いします。」
と葛城さんは答えた。
作業後にチェックをして代金を貰う。
葛城さんはバイク好きだがメカは解らないらしい。
良い乗り方なのだろう。車体の痛みは少ない。
興味があるのか速人のバイクと社外製エンジンを見ている。
華奢な後姿だがガッシリしているようにも見える。
これが中性的って奴かな?女の子にモテるだろう。
作業後にコーヒーを飲みながら話した。
仕事の都合でこちらへ引っ越してきたらしい。
何の仕事かは聞かなかったが、平日休みだそうな。
休日はスーパーカブに乗って蒔野へジェラートを食べに行くらしい。
流行のスイーツ男子か。
「次の休みにタペット調整とオイル交換をお願いします。」
と言って葛城さんは帰って行った。
近所の奥様が買い物がてら自転車を引き取りに来る。
受け渡しや世間話をしていると宅配便が来た。
△が付くサブフェンダー付きナンバーホルダーが着いた。
物を見ると悪くない。念のためクリヤー塗装をしておく。
少しの手間をかけるだけで部品は長持ちするからだ。
携帯へ部品の到着を知らせるメールをしたら
理恵が来店してくれた。早速ナンバーホルダーを取り付けた。
「これで安心やな!」ご機嫌である。
「白バイには気を付けんとアカンよ。まぁ理恵のゴリラは頑張っても
平地で70チョイしか出ん様になってるしスピード違反は無いと思うけど。
ところで速人はどうしてるんや?」
「速人はホムセンでバイトしてる。エンジン代稼ぐって。」
「良さ気なエンジンが1台有るから見においでって言っといてくれるか?」
「言うとく。」と言って理恵は帰った。
葛城は大型自動二輪免許をもっています。
カブに乗るのは「クラッチ操作が面倒で嫌い。」だからです。
クラッチ無しでもスクーターは好きじゃないそうです。
大島や理恵の乗るゴリラが気になります。可愛い物好きです。