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大島サイクル営業中 2017年度  作者: 京丁椎
こちら滋賀県高嶋市安曇河町藤樹商店街大島サイクル
11/200

△とウインカーブザー①

スーパーカブ50と90って素人には見分けがつきませんよね。

よく見るとテールランプが違うんです。


※この作品はフィクションであり、登場する人物・地名・施設・団体等は架空の存在です。

実在する人物・地名・施設・団体等とは一切関係ありません

「なぁオッチャン。△って要るん?」

ウインカーブザーの取り付けにやってきた理恵が尋ねた。

今日は一人で来た。速人はバイトだ。


((さんかく)?・・・原付2種のマークの事か?)

「義務ではないから表示無しでも大丈夫。何かあったんか?」

※自治体によって違いがあるそうです


「白バイに止められた。」


理恵のゴリラは排気量アップしてある。国道で怖い思いをする事は無いが、

スピード違反で捕まるほど速い訳じゃない。

「何で?一時停止(いってい)無視でもしたんか?」


「31km/hオーバーで検挙される所やった。2台の白バイに追いかけられた。」

理恵の話から察するに新人研修だろう。先輩とコンビで研修中に

かっ飛んでいく原付を見つけたと思って追いかけたのだろう。

制服姿の小柄な女の子が乗る原付・・・練習にはもってこいだろう。


「練習で捕まえやすいと思ったんやろうな。逃げてもすぐ追いつくし

暴れても二人いれば取り押さえられるもんな。」

ウインカーブザーを取り付けながら答えた。

正確にはオーディプルパイロットと呼ぶらしい。カチカチ鳴るやつだ。


「原付と間違って停めたら2種だった。ナンバーを見て慌てたんやろう。」

署に苦情でも入れたら笑われ者になるな。で、付添いの先輩は叱られる・・と。

ステーを加工してネジで固定。速度警告ユニットのビス穴が空いているのでそこに付ける。

ライトを取り付けて作動確認。ウインカーの点滅回数正常。ブザーの作動正常。

スーパーカブと同じ音が工場に響いた。


「ほい、出来た。2000円や。」ブザーは中古の在庫品だが、

分岐ハーネスとステーは作った。妥当な値段だろう。


「何か片方が『紛らわしい!』って怒りだして怖かった。」


「じゃあ次は△が付く様にするか。今のままやと付けるところが無いしな~。」


理恵の様子がおかしい。

「もう一人が・・・。」


整備不良で違反とでも言い出したのだろう。

しかし、理恵は予想外の事を言い出した。


「イケメンやった・・・また会いたいな。」

顔が赤い。風邪ではなさそうだ。


小猿の様にチョカチョカ落ち着かない理恵だと思っていたが

成長しているようだ。

「違反して会うと免許が汚れるしな~会わん方が良いやろうな。」


代金を支払い理恵は家へ帰った。


理恵は大島サイクルのお得意さん。補助輪を付けていた頃から知っている。

「あの理恵がねぇ・・・。」

コンプレッサーの電源を落とし、エアーと水を抜く。


何か取り残されたような気持になりつつ店を閉めた。






速人はバイトに行っています。

ホームセンターの商品陳列(品出し)をしています。

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