速人・マフラーを手に入れる
フィクションです。登場する人物・団体・地名・施設等は架空の存在です。
実在する人物・団体・地名・施設等とは無関係です。
マフラーは適正な音量の物を使いましょう。作者からのお願いです。
『倉庫整理しています。マフラー差し上げます。早い者勝ち』
あるモンキー・カブ系サイトの掲示板を見た速人は
何となく興味があったので
「マフラー欲しいです。いくらですか?」と書き込んだ。
どうやら一番乗りだったらしく、再び掲示板を見ると、
「マフラーは無料です。送料着払いで送ります。」
とサイトの管理人の書き込みが在ったので、連絡先を伝えた。
それから数日後。マフラーが届いた。
マフラーについている銘板を見ると有名なメーカー製だった。
多少のくすみは研磨剤やナイロンたわしで擦るときれいになった。
ところが、処分するだけあって欠品が在る。
「取付金具を買わないとダメか。タダだから仕方ないね。」
元々ついていた時の画像はあるから取付けが出来るのは間違いない。
だが、ダウンタイプの社外マフラーは初めてなので
大島サイクルへ持って行って、アドバイスを求めることにした。
数日後
「なるほどなぁ。有名メーカーの製品や。悪いもんじゃない。」
言葉とは裏腹に表情は厳しい。眉間に皺が寄っている。
「使えますか?」
「これな、昔の音量規制の基準で作られたマフラーや。うるさいで。」
「そこはバッフルを付ければ何とかなるんじゃないですか?」
「あと、8インチのノーマル車に付けると地上高が下がる。
校門の段差で引っ掛かりそうやな。10インチホイールにして
ロンスイも入れるなら大丈夫やと思うけど。」
「・・・・・。」
「それにな、ダウンタイプやとサイドカバーが無いと格好悪いぞ?」
悪い物ではないが学校に乗って行くには音が大きすぎる。
ノーマルに近い自分の車体に使うと地上高不足になる。
「最初に付いてた糞マフラーと較べるとすごく良いんやけどな。」
「はぁ。そんなもんですか・・・。」
結局、速人がもらったマフラーは今のモンキーに付けても
あまり良くないことが解った。
「レースをする時に使うと良いかもしれんなぁ」
大島に言われて使うのは保留することにした。
結局、マフラーは暫くの間、速人の部屋でインテリアとなった。
めでたくなしめでたくなし。
長くインテリアとして飾られたマフラーが
予想外の高値で売れたのは、また、別のお話。