ドライブレコーダーは高い?
市役所所有の行政バスから絵里にぶつけられた酒ビン。
幸い絵里は無事でしたが、万が一のことを考えた大島サイクルの常連は
ドライブレコーダーを付ける相談の為に大島サイクルを訪れました。
高嶋市役所の行政バスから投げ捨てられたビンでヘッドライトが壊れた絵里。
それを聞いた理恵・速人・綾・轟の4名は自分たちも
ドライブレコーダーの取付けを相談しようと大島サイクルへ向かった。
ちなみに亮二のエイプは別の店で買ったので、そちらで買う事になった。
「勝手に余所で部品付けてたら店も気分悪いやろ?」
亮二は義理堅い男なのだ。
「おっちゃ~ん。ドライブレコーダーおくれ~。」
そんなもん急に言われて『はいどうぞ』なんて渡せるかっ!
「今、何台仕入れようか考えてたところや。」
正直な話、最低でも高校生5人には買ってもらいたい。
こいつらは運転が未熟だ。そこへ付け込んでくる悪い奴が居るかもしれない。
今の今都は昔に比べると平和だが油断は出来ない。
今都は『修羅の街』『欲望の街』だ。用心にやり過ぎは無い。
だが、2万円は高校生にとって安い金額ではない。
速人と綾ちゃんは、この前の臨時収入で買うと言ってくれた。
理恵は何とか買える位の金額は残っているらしい。
絵里ちゃんは宏和におねだりして買ってもらうとして・・・
轟さんの表情が暗い。貯めているお小遣いでは足りないらしい。
そこで、足りない代金の分はウチでバイトしてもらう事にした。
バイトの内容は、食事の買い物と料理をやってもらう事。
店が休みの日にレコーダーを5台も取り付けていると家事をする時間が無い。
昼にみんなで食べる食事を作るのをやってもらう。
「それにしても、あれやな。市役所のバスの利用者は酷いな。
理恵達を連れて行った時は叩かれそうになるし、絵里ちゃんは
納車早々にライトにビンぶつけられたし。どうなってるんや?」
「中学の時、学校行事で乗ったけど酔っ払いみたいな臭いがする。」
「臭いです~酔いました~。」
「亮二なんか酔って吐きかけたから中学は自転車通学やったもんね。」
「確かに臭いますね。お酒ですか?市のバスで?」
「椅子なんか砂だらけ。運転手さんが『今都中を乗せたから』って言ってました。」
どうやら酷い利用者が多いらしい。
安曇河の人間なら行政バスの利用規則は守るはずだが・・・
合併後は妙にバスが痛んだ気がする。
「とにかく、入ったら連絡する。その週の日曜に取付けする。
それまではくれぐれも注意して運転する様に。」
「は~い。」と返事をしたのち、5人はそれぞれ帰っていった。
どうしてこの街は物騒になってしまったのか?
高嶋の合併は間違っていたのではと思う。ろくなことが無い。
店を閉めた後、パソコンから業者に発注した。
2~3日後には届くだろう。それまで事故が無い事を祈る。
ドライブレコーダーなんか付けた事が無意味と思えるのが良い。
そんな事を思いながら、今日も一人で夕食を済ませるのだった。
フィクションです。登場する人物・団体・地名・施設等は架空の存在です。
実在する人物・団体・施設・地名等とは一切無関係です。