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大島サイクル営業中 2017年度  作者: 京丁椎
10月
105/200

滑り込みセーフ

フィクションです。登場する人物・団体・地名・施設等は架空の存在です。

登場する人物・団体・地名・施設等は実在するものとは一切無関係です。

比較的自由だったバイク通学の規定が厳しくなる高嶋高校。

新制度は11月からだが、準備期間が短かったこともあり

一部生徒の中には混乱する者も居た。


「滑り込みセーフ」


何故か絵里からは困り事が逃げていくようだ。

バイク通学の許可が厳しくなる寸前に免許を取れて申請も通ってしまった。


ニコニコと許可証を見せてくる絵里を見てクラスメイトの反応は、

「何とまぁ。絵里がバイクねぇ。大丈夫かな?」


ぽわ~っとした女の子だけに心配する声が殆どである。


ところが、絵里はおっとりとした女の子なのにバイクの操縦が上手だった。

クラッチ操作やシフトダウンの時のブリッピング等は運動神経が良いはずの

理恵よりよほど上手。試しに亮二のエイプに乗せてみたところ

普通に乗れてしまうほどだった。


「お父さんに習ったの~」ぽや~っと話す絵里。

聞けば幼い頃から父親のバイクに乗せてもらい、

見ているうちにおおよその操作は覚えたらしい。


そんな絵里が納車したばかりのカブを持って来た。


「おじさ~ん。ヘッドライト壊れた」

何と、ヘッドライトのレンズが割れている。


「何があったんや?怪我は無いか?コケんかったか?」


「ケガはないけどバイクが傷んだ」

見た感じでは何事もなさそうなのでホッとした。


「バスの窓からビン?を投げられました」


何とまぁ。ひどい奴が居るもんだ。

「どこのバスや?ナンバーは覚えてるか?」


「中学校のスクールバスやった~」


安曇河中学校は創立時から遠いところはスクールバスが出ている。

合併後は何故か今都が観光バス代わりに使っていると噂があるが・・・。


微かに日本酒の匂いがする。カップ酒の瓶が当たったのか?

顔に当たったら怪我をするところだ。


「市役所絡みやったら文句言うても『証拠を出せ』とか非を認めん。

不愉快な事を言われるくらいやったらおっちゃんがタダで直したる。」


友人の娘や。この位はかまわんやろう。

「ちょっとイメージが変わるけど、これにしとき。」

中古のだけどマルチリフレクターのライトをつける。


「キラキラして可愛い」


「みんなには内緒やで」


「本当にお金は要らないんですか?」


「親父さんに何か奢ってもらうわ(笑)」


コーヒーを飲みながら話をする。意外な事に絵里ちゃんはブラック派。

外見はカフェオレやコーヒー牛乳を飲みそうなのにギャップが有る。


「バイクにもドライブレコーダーがあったらエエのに」


「探しとこか?最近物騒やからおっちゃんも欲しいんや」


「でも高い。もうお金無い」

しゅんとする絵里ちゃん。美人ではないけれど愛嬌がある。

この手の女の子は見ていて飽きない。


「お父さんに相談してみ。あいつにおねだりするポイントはな・・・」

絵里ちゃんに必殺技を教えた。


その日の閉店前。


「大島!ドライブレコーダーを仕入れといてくれ!頼むぞ!」


宏和の奴、大声で電話してきやがった。耳がキーンとする。

うちでも初めての事なので少し時間をくれと返事しておく。



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