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大島サイクル営業中 2017年度  作者: 京丁椎
10月
103/200

絵里のリトルカブ

フィクションです。登場する人物・団体等は架空の存在です。

実在する人物・団体等とは無関係です。

店内でカチャカチャとラチェットレンチの音が響く。


今日はリトルカブを組んでいく。

車体は汚いけれど欠品は無い。故障らしい故障と言えばキックが降りない事。

中がどうなっているか分からないがエンジンは分解整備が必須だ。


エンジンを積みかえて洗車でもすれば乗れる。そんな状態だった。

だが、登録に必要な書類が無かった。


再打刻済みの新品フレームはあるが、それを使うには

予算が少なすぎる。予算は6万円。


結局、ジャンク書類付き車のフレームと2個1だ。


エンジンを交換してタイヤ・バッテリー・細々した部品・・・。

消耗品は交換しておく方が良いし、工賃も貰わないと商売が成り立たない。

儲けに走り過ぎると信用を無くす結果となりかねない。


難しいところだ。


午前中でリトルカブはほぼ形になった。

理恵の希望はカバンが入るボックス。フロントキャリアも付けるが

耐荷重は3㎏とシールが貼ってある。あまり実用的と思えない。


バイク用のボックスは予算の都合で使えない。


ここは実用性を重視することにする。

リトルカブの可愛らしい荷台ではなくて、プレスカブの荷台と

ホームセンターで売っているボックスを使う事にした。


遠出するカブ乗りには多く使われている手段の様だ。

とはいえ、キャンプに出る訳じゃないから比較的小型の物にする。


作業のめどが付いたので休憩していると葛城さんがやって来た。


「わぁ。可愛い♡」


「可愛いやろ? 乗る女の子も可愛らしい()やで。

今日はどないしたんですか?」


「今日はお買い物です。ご飯の材料を買いに。」


まぁココアでもと作業を中断して世間話をする。

「へぇ~。磯部さんと晩ご飯を食べにですか。」


磯部さんの連絡先を伝えた後、葛城さんは連絡先を彼女に教えて

連絡を取り合っているそうだ。休みが合えば買い物に行ったり、

食事やツーリングに行ったりして親睦を深めているらしい。


「やっぱり、女性同士は気を使わないから気楽ですね。」

嬉しそうに話す葛城さん。今日もイケメンだ。


葛城さんのフェロモンに惹かれてだろうか。奥様方が

集まり始めた。今日もお茶菓子に困らない。


何となく『受け』『攻め』と聞こえた気がするが

気にしない事にする。


夕方になって葛城さんと葛城ファンクラブ(仮)の帰った後に

絵里ちゃんが様子を見にやって来た。


「わぁ~。ピカピカや~。」

うん。ワックスをかけたからね。


「あ、荷台の箱・・・お父さんと一緒や~。」

ホームセンターで売ってるボックス。多分同じ店で買ったのだろう。


スマホでリトルカブと一緒に記念撮影。SNSに投稿するそうだ。


「今週中に乗れますかぁ?」


「明日にでも登録に行くで。土曜の午後には乗れるようになるで。」


土曜に来ますと言って、絵里ちゃんは自転車に乗って帰っていった。


今日は休んだのか店を開けたのか解らない一日だった。

シャッターを閉めて明かりを消して電源を落とす。


冷凍しておいたご飯を解凍しながら鶏肉の味付けと野菜を炒める。

食事の方付けの後、風呂に入り、しばらく修理書を読んでから眠る。


大島の夜は静かに過ぎるのであった。



『リトルカブに70が在ればこんな感じ?』が絵里のリトルカブです。

大島は忘れていますが、葛城は女性です。イケメン女子(笑)

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