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大島サイクル営業中 2017年度  作者: 京丁椎
10月
102/200

絵里のバイク選び

フィクションです。登場する人物・団体等は架空の存在です。

実在する人物・団体等とは無関係です。

「お父さ~ん。バイク何にしたらよい~?」

絵里は愛車のハーレーを磨く父に相談した。


「バイク屋さんにどんな使い方をするか相談して見せてもらいなさい。」

父はいつも『これにしなさい』と具体的に言わない。


「可愛くて、荷物が乗るバイクが良い~」


「どこで買うつもりや?店選びは大事やで」


「えっと、理恵がゴリラを買った店で~大島サイクル」


「ほな、尚更相談した方が良いわ。あいつやったら大丈夫。」


(そうなんかなぁ?お父さんが言うならそうなんやろうなぁ。)


「・・・で、来ましたぁ」


ニコニコと微笑むぽっちゃりした女の子に合うバイク。

可愛らしくて荷物が積めるバイク。ポンヤリしたこの娘に合うバイクか。


「カブかなぁ。で、予算は?」


「6万円。頑張って貯めました~。」


「新車は無理やな。中古でリトルカブなんてどうかな?」

カタログを見せるとパァッと表情が明るくなる。


「でもな、ちょっと予算が厳しいで。探しとくから待ってくれるかな?」


「はい。待ちます~。」


何ともほんわかした娘さんだな。ご両親が大事にしてきたのだろう。

何とか良い車体を見つけ出さないと・・・。


      ◆      ◆      ◆

散々手を尽して見つかったのは『部品取り・書類無し』で8千円のリトルカブ。

苔むして汚いが欠品は無い様だ。セル付きだがキックが降りない。


「汚いですぅ。」

「おっちゃん。何でこんなボロなん?」

絵里ちゃんはガッカリしている。理恵も機嫌が悪い。


「これは書類が無いから登録出来ん。これの部品を磨いて

あっちにあるカブに付ける。あれも部品取りやけど、書類は有る。」

先日引き取ってきた中に書類付きの部品取り車が有った。


幸いフレームの色は同じやから塗装は要らない。磨けば使える。


さて、どんな仕様にしたものか。

「どこかで妥協は必要。出来るだけ要望に応えるから。」


「予算内でみんなと学校に通えるバイクにしてください。」

大丈夫や。おっさんに任せなさい。


「OK。やってみよう。」


「あと、荷物を積めるようにお願いします。」


「荷台にボックスを積もうか?」


「カバンが入る様にしてください~。」




シャッターを閉めた大島サイクルで作業の音がする。

わずかな部品が付いていたカブはフレームだけになった。


カブとリトルカブの部品を並べ、程度の良い物を選別していく。

タイヤ以外に違う部品も多い。


タイヤが小さいだけではない。リトルカブは専用部品が多い。

磯部さんの時より手間が掛かる。人を使ってたら人件費で赤字だ。


分解を始めた郵便カブはひとまず保留。リトルカブを仕上げる。


6万円の予算で組むとなれば、中古部品でやりくりするしかない。

エンジンは72㏄のセル付き。本当は4速がお勧めだけど

その辺りは使ってみて不満があれば、その時考えよう。

キャブ・クラッチ・マフラーも中古70用。


部品はひたすら磨く。ナイロンたわし・ピカール・クレンザー

指紋が無くなりそうだ。ホイール周りはマシになった。


空腹を感じて時計を見ると8時を過ぎている。今日はここまで。

腹が減っては戦は出来ぬ・・・バイクも同じだ。

続きは明日にすることにして店の電源を落とす。


ぼんやり組み立てていると寒い季節がやってきてしまう。

明日は一気に組み立てよう。


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